溶接ヒュームに関する法令が施行されましたが、みさなんの職場ではきちんと守られていますか?
私の職場では環境測定を行いそれを基に対策を講じていますが、時々困るのが客先の生産工場のような現場で溶接作業をおこなうときです。
現場は溶接ができる環境ではないことが多いので局所排気を設置しなければなりませんが、それができないことがあるんです。ではどうしたいいのか?
私の結論は、局所排気できなければ溶接をおこなわない方法で対応すると言うことです。
記事の目次
客先の生産工場での現場溶接はヒューム対策が難しい
溶接ヒュームは有害なので対策必要
溶接にはいろいろな種類がありますが、なかでもアーク溶接、半自動溶接、TIG溶接が身近な溶接ですね。
この3種類の溶接は溶融溶接に分類されていて、長時間連続して金属を溶かして接合する作業となります。
金属を溶かして溶接すると、溶接ヒュームと呼ばれる「金属が溶けて蒸気になり空気で冷却されて粒子になったもの」が発生します。分かりやすく言うと、溶接している部分から発生している煙が溶接ヒュームです。
この溶接ヒュームは人体に有害で、吸い込むと神経障害やガンの発症リスクが高くなることから、令和3年4月1日から溶接ヒューム対策が義務化されました。
出典:厚生労働省 金属アーク溶接作業について
まとめるとこんな対策が義務化されました。
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防塵マスク使用
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粉塵、スパッタの床清掃
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全体排気または局所排気をする
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特定健康診断を6月以内ごとに1回受診する
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作業場のヒューム濃度測定を行い最適な環境に改善する
作業者が金属の粒子を吸い込まないために、そして健康状態を把握するために、そんな対策を義務化です。
客先の生産工場では対策が難しい
職場での溶接に関わる対策は資金さえあれば割と簡単です。
ところが私のように「客先の生産工場で溶接をしなければならない場合 = 現場溶接」は対策が難しくなります。
客先でのヒューム対策が難しい理由
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ヒュームの局所排気が必須だけど排気できない
ヒュームを溶接作業者が吸い込まないように、客先の生産工場に飛散しないように、そのために局所排気が必要になりますが、それが難しいのです。
そもそも、局所排気の方法は2つあります
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送風機&蛇腹での排気
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ヒュームを吸煙や集塵する装置
送付機&蛇腹での排気について、、、
送付機と蛇腹で排気する方法は古くからある方法です。例えば、FRPや塗装の匂い、有害物質が飛散したとき、空気の換気などに使われてきました。
この方法は吸引力が高く蛇腹の延長やファンの継ぎ足しが可能なので溶接の局所排気に効果的です。
ただし、屋外に排気する必要があるので蛇腹を屋外まで引っ張らないといけません。これが難しいのです。
客先工場によっては、通路を塞いでしまう問題、窓がない問題、窓や扉の開放厳禁問題、などがあり蛇腹を屋外まで引っ張れない場合があるのです。
出典:荏原製作所 エバラポータブルファン
ヒュームを吸煙や集塵する装置について、、、
装置を使ってヒュームを吸引してろ過すれば、その場で排気しても問題ありません。厳密にはろ過できる粒子の大きさに制限があるので、100%有害な金属粒子を除去できるわけではありません。人体に影響がない濃度にすることが可能ということです。
ヒュームを吸煙や集塵する装置を使えば、溶接している場所で排気できるので送風機の蛇腹問題は解決できるのですが、それ以外の新たな問題が発生します。
溶接ヒュームを吸煙や集塵する装置の問題点は2つある
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装置の値段が高い
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サイズが大きいので現場に搬入できない
送風機に比べたら数十倍の金額なので、購入することをためらいますね。
しかも、サイズが大きいので狭い通路を通ることができません。幅で言えば、台車サイズ、ハンドリフトサイズ、までコンパクトにならないと溶接する現場にたどり着くことが難しい可能性があります。
例えば吸引の蛇腹を5mとか10m延長しても吸煙、集塵できるなら全然使えますが、現実的には吸引力がかなり低下する、延長用の蛇腹のラインナップが無い、などの課題があるので現在のところ難しそうです。
出典:ヤマダコーポレーション ウェルドフィルターユニット
出典:株式会社 赤松電機製作所 オニカゼヒュームコレクター
結局どうやって溶接ヒューム対策するのか
と言うことで、結局どうやって溶接ヒューム対策すればい良いのか考えてみますと、、、
これしかないですね
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防塵マスク使用
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粉塵、スパッタの床清掃
- 必要に応じて簡易テントで囲う
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送風機または吸煙や集塵の装置で局所排気
ここまでの話しに出てこなかったことですが、客先なので第三者がヒュームを吸い込むことが無いようにテントなどで囲うことも検討したほうが良いかもしれませんね。
では次に、前述の通りもし局所排気できない状況の場合を考えてみますと、、、溶接なしで対応できる方法を考えた方が良いでしょう。
溶接なしで対応できる方法は?
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部品で対応する
- FRPで補強する
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溶接部品を取外して別場所で溶接する
例えばですが、
部品を交換する、部品を追加する、部品を追加工する、ことによって溶接せずに目的達成する
FRPで補強することで溶接せずに強度を確保する(FRP作業には排気が必要になるので無理かもしれませんが、、、)
溶接部品を取外して、溶接できる環境に持ち出して溶接する
このような方法で対応するしかないですね。
ポイントまとめ
それでは、現場溶接はヒューム対策について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 溶接ヒュームは防塵マスクと全体排気または局所排気と粉塵、スパッタの床清掃が必要
- 現場の溶接では局所排気が必要だが排気できない場合もある
- 局所排気には送風機または吸煙や集塵する装置が必要となる
- 排気できない場合は溶接以外の方法で対応を検討すること
以上4つのポイントです。
今後、溶接ヒュームの吸煙や集塵の装置が台車サイズまでコンパクトになることを期待します。
*防塵マスクの購入はこちらから
*送風機の購入はこちらから
*ヒュームのろ過装置の購入はこちらから
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以上です。