今回は「ブラインドリベットの種類と下穴と使分け」についての記事です。
私はブラインドリベットをDIYで使用することが多いです。穴あけだけで簡単に材料と材料を締結できるし、かしめが強いので強度的にも安心です。
ところが、ホームセンターや通販でリベットを購入しようとすると、材質や形状に種類が豊富で何を使用すればよいか迷ってしまうことがあります。
そこで今回の記事では、ブラインドリベットを使用する上で知っておくべきポイントをまとめておこうと思います。
記事の目次
ブラインドリベットの種類と下穴と使分け
ブラインドリベットとは
ブラインドリベットとは、かしめによって材料や部品を半永久的に締結するものです。容易に取り外しはできませんが、簡単に施工できるメリットがあります。
ブラインドリベット
ブラインドリベットの特徴
ブラインドリベットには多くの特徴があります。
- スピーディに施工できる
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ボルトを使用しないので軽量
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リベット作業に特殊な技能は必要ない
- 締結する材料や部品の材質を選ばない
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タップ加工ができない薄板の締結ができる
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裏側に手が入らない(袋状)形状でも施工できる
このような特徴があり、簡単にまとめると「薄物で軽量な材料の締結に向いている」といったイメージで理解しておくと良いと思います。
*リベットをかしめるためには、専用工具の「ハンドリベッター」や「エアーリベッター」が必要です。
種類と下穴と使分け
リベットはタップ加工やねじを必要としないので手軽に使用できるのですが、「リベットなら何でも同じでしょ」といった考えで施工すると失敗したりケガをしたり何かとトラブルが起きてしまいます。
そうならないように、リベットを使用する上で知っておいたほうが良いことがあるので紹介します。
知っておくべきことは5つです。
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材質の種類・・・使い分けるために必要な知識
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形状の種類・・・使い分けるために必要な知識
- 板厚の許容による種類・・・確実な締結に必要な知識
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下穴の大きさ・・・施工するために必要な知識
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締結する材料との相性・・・腐食させないための知識
この5点を理解しておくと、「確実に締結できる」「迷わず作業ができる」「腐食のトラブルが起きない」と言ったメリットがあります。
次項から解説していきますので、是非覚えておきましょう。
ブラインドリベットの知っておくべき5つのこと
それでは、ブラインドリベットの知っておくべき5つにのことを解説していきます。
材質の種類
リベットの材質は主に下記の4種類あります。
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スチール(鉄)
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アルミニウム
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ステンレス
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銅
私は銅のリベットを使用したことありませんので、それ以外の3種類について比べてみます。
材質の違いと価格差
リベットは、スリーブ&フランジ(ボディ)とマンドレルの構成ですが、コストを抑えるために「スリーブ&フランジの材質」と「マンドレルの材質」は「同じ材質のパターン」と「異なる材質のパターン」があります。
*材質の違いと価格差
スリーブ&フランジの材質 | マンドレルの材質 | 価格 |
ステンレス | ステンレス | とても高価 |
ステンレス | スチール | 高価 |
アルミニウム | アルミニウム | 普通 |
アルミニウム | スチール | 安い |
スチール | スチール | とても安い |
材質の違いによる特徴
リベットは材質によって価格に違いがありますが、それ以外にも耐腐食性、強度、打ちやすさ、入手、などの違いもあります。
*材質の違いと特徴
スチール | アルミニウム | ステンレス | |
耐腐食性 | 腐食しやすい | 腐食しにくい | 腐食に強い |
強度 | 普通 | 弱い | 強い |
打ちやすさ | 普通 | 簡単 | 打ちにくい |
入手(私の感覚) | ホームセンターに売っている | ホームセンターに売っている | ホームセンターに売っていない |
簡単にまとめますと、強度はステンレス、打ちやすさはアルミニウム、価格はスチール、このような感じです。
また、マンドレルがスチールの場合は、かしめ後にスリーブ&フランジに残ったマンドレルのスチールだけが腐食することがあります。
形状の種類
リベットの形状は主に下記の3種類があります。
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丸頭
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ラージフランジ
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皿頭
出典:株式会社ロブテックス
左側:丸頭 中央:ラージフランジ 左側:皿頭
*形状の違いと特徴
丸頭 | ラージフランジ | 皿頭 | |
特徴 | 標準タイプ | フランジが大きい(締結が強い) | 頭が沈み込むのでフラット |
下穴の形状 | 丸穴 | 丸穴 | 皿モミ |
入手(私の感覚) | ホームセンターに売っている。一般的 | ホームセンターに売っていないかもしれない | ホームセンターに売っていない |
ホームセンターでは丸頭以外は打っていないかもしれません。特に、皿頭のリベットはDIYで施工するほど一般的ではなく、特に皿モミの穴あけ加工が必要なので板厚が厚めでフラットにしたいときにしか出番がありません。
板厚の許容による種類
リベットには締結できる板厚の範囲があるので注意が必要です。
板厚があっていないとこんなことが起きます。
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材料が厚すぎる場合・・・かしめられない。リベットの裏側のかしめによる「くびれ部分」が材料にめり込んでスカを食らう
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材料が薄すぎる場合・・・かしめられない。かしめが効いていないので、グラグラな状態となる
このようなことがないように、カタログやリベットのパッケージに記載されている「適正かしめ板厚」と「かしめる材料の厚さ」が適合しているか確認して使用しましょう。
*カタログには下記のように、適正かしめ板厚が記載されています。
出典:株式会社ロブテックス ブラインドリベット(丸頭)/LST
下穴の大きさ
リベットの下穴は、調べなくても使用するリベットから算出することができます。
下穴径の求め方
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スリーブ外径 +【 0.1mm ~ 0.2mm 】 = 下穴サイズ
カタログから調べてもいいですが、簡単なので覚えておくと良いでしょう。
厳密には各メーカーやリベットの種類によって若干下穴径に差がありますが、私の経験上この計算で問題ありません。
リベットの名称
下穴径が大きすぎるとリベットのかしめの面積が少なくなり効きが弱くなりますので、必ず上記で計算したサイズのドリルで下穴をあけてください。
もし、マンドレルと【 同径 】または【 -0.1mm~0.2mm 】のドリルしか持ち合わせがない場合は、穴あけ後に穴の側面にドリルを擦り付けながら往復させると穴が若干大きくなります。
この方法はおすすめはしませんが、リベットで締結する材料は比較的薄いのでこのような荒業が可能です。
リベットの使分け
リベットの締結には腐食に関係する注意点があります。
腐食の注意点
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リベットと材料の材質が違う場合(異種金属の場合)は後に腐食が進行し締結強度がなくなる
参考
*異種金属の腐食についてはこちらをご覧ください。
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異種金属接触腐食やガルバニック腐食【イオン化傾向と金属の腐食】
続きを見る
出典:株式会社ロブテックス リベットの電食対策資料
腐食の対策
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材料とリベットの材質は同じ金属が基本
電気が通らない環境(水分がない)状態ならば腐食するリスクは少ないのですが、正直そういった予測は非常に難しいと思います。
しかしもし、強度重視やコスト重視などの理由で異種金属の接合をする場合には対策があります。
異種金属の接合の腐食対策
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リベットと材料を絶縁する
電気が流れなければ腐食しないので、塗装や樹脂などで材料とリベットを絶縁すると異種金属接触腐食の対策になります。材料が樹脂系だと電気は流れないので、どの材質のリベットを使用しても腐食することはありません。
ブラインドリベットのポイントのまとめ
それでは、ブラインドリベットについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ステンレスのリベットは、高価、強度がある、打ちにくい、腐食に強い、特徴がある
- スチールのリベットは、安い、強度も普通、打ちやすさも普通、腐食しやすい、特徴がある
- アルミニウムのリベットは、価格は普通、強度が弱い、打ちやすい、腐食しにくい、特徴がある
- リベットには、丸頭、ラージフランジ、皿頭、の3種類の形状がある
- リベットには適正かしめ板厚があるので、その範囲ないの板厚で使用する
- リベットの下穴は、スリーブ外径 +【 0.1mm ~ 0.2mm 】 = 下穴サイズ
- リベットと材料は同金属の組合せで使用することが基本
以上7つのポイントを基に、どのリベットを使用するかを判断しましょう。参考にしてください。
*ハンドリベッターの購入はこちらから
*エアーリベッターの購入はこちらから
*ブラインドリベットの購入はこちらから
関連記事:【材料/溶接/加工/表面処理】
以上です。