今回は「保温材や保冷材や断熱材の種類」についての記事です。
保温材は工場や住宅関係だけでなく、機械装置にも使用されることがあります。例えば、熱源となる部分、結露対策、雰囲気に左右されたくない、などの場合には保温材を使用することがあります。
しかし、保温材と聞きますと「黄色のモフモフした」グラスファイバーが思い浮かびますが、調べてみますとものすごく種類が多いことに気が付きました。
そこで今回の記事では、保温材の種類と特徴について簡単にまとめておこうと思います。
記事の目次
保温材や保冷材や断熱材の種類
保温材や保冷材や断熱材とは
「保温材」「保冷材」「断熱材」とは、熱を伝えにくい材料のことです。
保温材や保冷材は工業用に使用される呼び名で、断熱材は住宅関係(建築用)での呼び方のようですがどちらも同じです。
*以下、保温材に統一して表現します。
保温材の目的
保温材は「温かさ」や「冷たさ」を「逃がしたくない」「伝えたくない」目的で使用し、保温材で覆うことで外的要因に影響されにくくなります。
例えば保温材は下記のものに使用されます。
- 配管
- ダクト
- タンク
- 炉
- 住宅の壁や天井
このように様々な用途で必要となるので、保温材の種類は豊富にあります。
種類
代表的な保温材の種類は下記の3つに区別されます。
保温材の区分(これら以外にもあります)
- 人造鉱物保温材・・・人造的に作られた無機繊維
- 発泡プラスチック保温材・・・合成樹脂に気泡を分散させた多孔質プラスチック
- 無機多孔質保温材・・・無機質で高温に強い多孔の保温材
これらの区分ごとに多くの保温材があり、代表的な保温材を紹介しますと次のようになります。
人造鉱物保温材
-
ロックウール
-
グラスウール
-
セラミックファイバーブランケット
発泡プラスチック保温材
-
硬質ウレタンフォーム
-
フェノールフォーム
-
ポリエチレンフォーム
-
ポリスチレンフォーム
無機多孔質保温材
-
けい酸カルシウム保温材
-
はっ水性パーライト保温材
この中でも、私が普段使用している保温材は「ロックウール」「グラスウール」「ポリエチレンフォーム」の3種です。
正直それ以外の保温材はどのような特徴があるのかわかっていませんでした。
そこで次項からは、上記で紹介した保温材について簡単に紹介していきます。
人造鉱物保温材
ロックウール
ロックウールとは、天然岩石が主原料で成分は酸化ケイ素と酸化カルシウムの人造鉱物繊維です。繊維質なので、繊維のすき間に空気を確保するのことで断熱と保温します。
出典:山九興産株式会社 ロックウール
メリット
- 耐熱温度600度~700度
- 断熱性
- 不燃材
- 撥水性
- 吸音性
- グラスウールよりも性能は高い
デメリット
- グラスウールよりも値段が高い
- 重量が重たいので、しっかり固定しないと脱落する
- 吸湿すると繊維のすき間が少なくなり性能が低下する
- 撥水性があるが湿気に弱い
グラスウール
グラスウールとは、リサイクルガラスが主原料の人造鉱物繊維です。ガラスを高温で溶かしてガラス繊維とした後に綿状にしたものがグラスウールとなります。繊維質なので、繊維のすき間に空気を確保するのことで断熱、保温します。(空気は熱を伝えにくい)
出典:旭ファイバーグラス
メリット
- 耐熱温度200度~350度
- 断熱性
- 安価 入手が容易
- 吸音性
- 防振性
- 経年劣化があまりない
- 軽い
- 不燃材
- 施工が簡単
- シロアリに強い
- 人体への影響がなく、発がん性も紅茶と同レベル
デメリット
- 撥水性がなく湿気に弱い。ビニールで覆って使用
- 濡れると潰れてしまい元に戻らない
- 施工するときにすき間があると効果が低下する
- 施工するときに押し潰して詰め込むと機能は低下する
セラミックファイバーブランケット
セラミックファイバーブランケットとは、アルミナとシリカを主成分とした人造鉱物保温材です。耐熱性に特化しています。健康被害の懸念があるため防塵マスク装着が望ましい
出典:ニチアス ブランケット状断熱材
メリット
- 耐熱温度1000度~1600度
- 断熱性
- 耐薬性
- 蓄熱性
- 加工性
- 耐衝撃性
- 軽量
デメリット
- 収縮する。縮んでしまう
- ポロポロと崩れる、ばらける
- 強度が弱い
- 耐風速性が低い
- 耐水性がない
発泡プラスチック保温材
硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームとは、ポリウレタンを発泡させることで得られる発泡プラスチックです。内部に無数の気泡があり、空気や断熱ガスが封じ込められていいるので断熱に優れています。
出典:アキレス株式会社
そもそもウレタンフォームは軟質と硬質の種類がありますが、このような違いです
- 軟質ウレタンフォーム・・・内部の気泡がつながっているため柔らかい。クッションなどに使用
- 硬質ウレタンフォーム・・・内部の気泡がつながっておらず独立しているため硬い。断熱材、保温材として使用
メリット
- 耐熱温度 ~100度
- 断熱性がかなり高い
- 自己接着性(対象物に接着する)
- 耐水性
- 耐湿性
- 耐薬品性
- 成型品だけでなく、吹付けが可能(すき間なく施工)
- 経年劣化が少ない
デメリット
- 難燃剤が入っているが燃える
- 吹付けの場合の熱伝導はグラスウールと大差ない
- 自己接着性が高いので、吹付けのウレタンフォームは剥がせない
- 吹付けは均一に厚さをそろえることが難しい
- シロアリに弱い
- 高価(グラスウールの2.5~3倍程度)
フェノールフォーム
フェノールフォームとは、フェノール樹脂を発泡させることで得られる発泡プラスチックです。内部に無数の気泡があり断熱ガスが封じ込められているので断熱に優れています。
出典:フクビ化学工業株式会社 フェノバボード
メリット
- 耐熱温度 ~100度
- 断熱性が非常に高い
- 経年劣化が少ない
- 不燃性(グラスウールほどではない)
- 難燃性
- 耐薬品性
- 耐候性
- 耐熱性
- 低毒性
- 低発煙性
デメリット
- とにかくかなり高価(グラスウールの3倍)
- 衝撃に弱い
ポリエチレンフォーム
ポリエチレンフォームとは、ポリエチレン樹脂を発泡させることで得られる発泡プラスチックです。内部の気泡は独立したものとつながっているものがあり、発泡倍率に種類があります。発泡倍率の倍率が少ないと硬く、倍率が大きいと柔らかい特性になります、
出典:富士ゴム産業株式会社 発泡ポリエチレンフォーム
メリット
- 耐熱温度 ~120度
- 断熱性
- 発砲倍率で硬さを変えられる
- 柔軟性がある
- 耐水性(水を通さない)
- 耐湿性
- 吸音性
デメリット
- シロアリに弱い
- 難燃剤が入っているが燃える
ポリスチレンフォーム
ポリスチレンフォームとは、ポリスチレン樹脂を発泡させることで得られる発泡プラスチックです。一般的には発泡スチロールと呼ばれる素材で、非常に熱に弱いです。
出典:デュポン・スタイロ株式会社 スタイロフォームFG
メリット
- 耐熱温度 ~80度
- 断熱性
- 耐吸湿
- 耐吸水性
- 加工性
- 軽量
- リサイクル
- 安価
デメリット
- 可燃性、燃えやすい
- 紫外線に弱い
- 耐風速性が低い
- 強度が低い
無機多孔質保温材
けい酸カルシウム保温材
けい酸カルシウム保温材とは、ケイ酸カルシウムを主成分として繊維や混和剤などを複合した無機多孔質保温材です。高温環境に非常に強いのでプラントで使用されることが多い。
出典:日本インシュレーション U-ブリッド
メリット
- 耐熱温度 600度~1000度
- 断熱性
- 防食性
- 耐水性
- 耐火性
- 耐熱性
- 加工性が良い
- 高強度
- 軽量
- 不燃性
- 経年劣化が少ない
デメリット
- 塗装やパテの密着性が悪い
- 劣化すると表面から剥がれる
はっ水性パーライト保温材
はっ水性パーライト保温材とは、火山岩のパーライト原石などを主成分として繊維やバインダ、はっ水剤などを混合して高温処理して作られる無機多孔質保温材です。高温環境に非常に強いのでプラントで使用されることが多い。
出典:株式会社:冨士パーライト フジパーライト保温材
メリット
- 耐熱温度 ~900度
- 断熱性
- 撥水性が高い
- 防食性
- 不燃性
デメリット
- 経年劣化で撥水性が低下
- 温度が高くなると吸水性が高くなる
保温材のポイントまとめ
それでは、保温材の特徴を大まかにまとめますとこのようになります。
まとめ
- 人造鉱物保温材は、コスト、耐熱性に優れているが、断熱性は劣る。配管や炉などに使用されることが多い。
- 発泡プラスチック保温材は、断熱性に優れているが燃えやすい。住宅関係に使用されることが多い。
- 無機多孔質保温材は、耐熱性に特化していれ不燃性。プラントに使用されることが多い
以上3つの項目が大切だと思いました。参考にしてください。
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以上です。