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【仕事と思考】

設備に不具合が起きたら客先の評価は上がります【数値をデータ化して客観的判断】

 

ここ最近、設計で対応できない設備の不具合が数件発生しました。私は現場側の人間ですが組立として現場対応から原因特定と対策をおこない、激怒していた客先に納得してもらうことが出来ました。

なぜそんなことが出来たのか?それは「不具合データ」があったからでした。

 

設備に不具合が起きたら客先の評価は上がります

客先の評価を上げる方法

普通、客先工場で稼働している設備に不具合が発生したら設備メーカーの評価は下がると思いますよね。

ところが、「不具合の対応次第」で必ずしも評価が下がるとは言い切れない場合があり、逆に評価が上がることがあります。

 

客先からの評価を上げる方法はコレ

  • 不具合をデータ化して改善案を提示する

*不具合を数値化して、その数値を整理して肉付けしたものをデータと解釈しています

 

そもそもですが、不具合が起きたらやるべきことは2つあります

  • 謝罪する
  • いつまでにどうするのか説明して実行する

 

もう少し深堀すると、、、

謝罪するときは「責任転嫁しない」「言い訳しない」「曖昧表現をしない」ことが大切で、ストレートに「ごめんなさい」します。

そして、ただ謝罪するだけでなく、いつまでにどうするのか、つまり「改善案」を説明します。もし、その場で改善案が決められないときは改善案の提示期日を決めて一旦区切り、期日までに不具合をデータ化してデータに基づいて改善案を客先に提示します。

ここでポイントになるのが「不具合のデータ化」です。不具合のデータ化によって客先の評価が左右されることが多くの場面で見受けられます。

現にここ数年の私は不具合のデータ化が少しづつ身についてきたので、全面的にこちら側に非があるのにも関わらず、調査費や改善費が認められたり、継続して仕事を受注できたりしています。

 

データの画面

 

これは偏見かもしれませんが、不具合をデータ化する作業は中小企業の設備メーカーだと苦手な人が多く、特に私のような現場寄りの作業者はできない人が多いです。自分でテーマを決めて測定して不具合の原因や改善案を抽出する、、、これって結構ハードルが高いのだと思います。

しかも、社内規定によって不具合データを客先に公開しないようにしている設備メーカーもあります。色々な事情があるのでしょうが、客先が自然と納得できるような情報は提示できなければ「お客も馬鹿じゃない」ので簡単に見抜かれて「あそこの設備メーカーは当てにならない」と言われてしまいます。

そういった設備メーカーがある中で、客観的に判断できる不具合データを提示できることは強みであり、客先に「信用できる」と認めてもらえる可能性が高い訳です。

 

不具合データの中身

さて、不具合のデータ化と言っても一体どのような内容であればいいのか?という疑問がありますね。

皆さんの置かれている環境、状況、分野の違い、によって一概には言い切れませんが、私が意識していることは2つあります。

 

どんな不具合データならいいのか?

  • 数値によって原因が特定、推論できること
  • 数値によって改善することが見込まれること

 

やはり、設備の不具合を感情や直感で判断するのはおすすめできません。何故かと言えば、感情や直感は人によって差があるからで、自分自身のことを判断するのなら良いですが、複数の人が関わっていたり会社同士の話しとなると客観的に判断できるものが必要になります。

それが数値と言うことです。「数値」と「あるべき姿の値」や「基準値」と比べる、そして「経験則」「過去の事例」などを加えて総合的に判断するのが不具合データとなります。

 

不具合起きたら数値化する

では、実際に不具合に直面したらどのように対応したらよいかまとめておきます。

 

設備に不具合が発生したら、おおよそ下記のフローに従って対応する

  • 状況を整理する
  • 原因を予測する
  • センサや設定値を確認する
  • 動作や部品を確認、測定する
  • 原因の特定、推論をする
  • 何をしたらどうなるか実験する
  • 対策案をいくつか決めて提案する

 

不具合の状況だけで原因を予測できることもあれば、設備の動作や部品の精度を測定しないと原因を予測できないこともあるので、状況によって順番が変わります。

ここで重要なことは、このフローを進めるにあたり、途中途中で数値化できる要素を徹底的に集計して「あるべき姿の値」や「基準値」と比べてどうなのか?の判断材料を集めていくことです。

 

例えばこんな情報を集計して数値化する

  • 部品の摩耗具合
  • 部品単体の精度
  • 部品の取付け精度
  • 動作の繰り返し精度
  • センサの取付け位置
  • センサの検出の精度
  • 製品(ワーク)の精度
  • 不具合の発生頻度や発生時間帯

 

私の場合はこのような項目が「良くあるパターン」ですが、このほか状況に応じて数値化できる情報はいろいろあることでしょう。

大切なことは、「あるべき姿の値」や「基準値」と比べてどうなのか?の判断材料を集めていくことを意識することです。

 

マイクロメーター

 

数値化した情報を「あるべき姿の値」や「基準値」と比べ「経験則」「過去の事例」などの情報を加えてデータ化したら、そのデータをもとに「原因の特定、推論をする」「何をしたらどうなるか実験する」「対策案をいくつか決めて提案する」と言った作業をおこないます。そして最終的には全ての情報をまとめて不具合データを完結させます。

 

数値はグラフにして認識し易くする

数値と言うのは、沢山あればあるほど「良いのか悪いのか」の判断が分かりづらくなります。ましてや客先に提示する不具合データなのですから、誰が見ても「なるほど」って理解してもらえる工夫が必要です。

 

数値を理解し易くする工夫はコレ

  • 数値をグラフにする

 

グラフ一覧

 

グラフは数値を図で表すものなので、沢山ある数値をグラフにするとイメージで捉えることができ短時間でざっくり理解することができます。

ただ、グラフには種類があり、どのグラフで表現するのが最善なのかは状況によって異なります、お手軽に学ぶのに総務省統計局から無料公開されている「なるほど統計学」がおすすめなので紹介しておきます。

もっと詳しく知りたい場合は、統計学や品質管理(QC検定)の本で勉強するのがおすすめです。あとは、実際に仕事に活用しながら自分のモノにしていくしかありません。

 

出典:総務省統計局 なるほど統計学

グラフの種類

  • 絵グラフ:同形の絵を並べ、量の大小を比較する。
  • 棒グラフ:棒の高さで、量の大小を比較する。
  • 折れ線グラフ:量が増えているか減っているか、変化の方向をみる。
  • 円グラフ:全体の中での構成比をみる。
  • 帯グラフ:構成比を比較する。
  • ヒストグラム:データの散らばり具合をみる。
  • 箱ひげ図:データの散らばり具合をみる
  • パレート図:全体に対する各項目の構成比の集中度合いをみる。
  • ローレンツ曲線:集中の度合いをみる。
  • レーダーチャート:複数の指標をまとめてみる。
  • 散布図:2種類のデータの相関をみる。
  • バブルチャート:2つの変量の相関関係に加えて円の面積で3つ目の変量をみる。
  • 統計地図:地域別の比較をする。

 

と言うことで、設備に不具合が発生したら「不具合 ⇒ 数値 ⇒ データ」の流れで「不具合データ」を作り、データに基づいて改善案を客先に提示する、不具合データを分かりやすくするために「グラフ」を用いる、となります。

このような対応が出来れば、不具合が起きて不信感を抱いている客先の評価を挽回することが可能です。最後まであきらめずに誠意をもって対応しましょう。

 

ポイントまとめ

それでは、重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 不具合が起きたら「謝罪する」「いつまでにどうするのか説明して実行する」が定石です
  • 客先の評価を上げるためには不具合をデータ化して客先に改善案を提示するのがおすすめ
  • 感情が直感ではなく数値をもとに判断すること
  • 不具合データにはグラフを活用して第三者が理解しやすい工夫が必要

 

以上4つのポイントです。

 

 

*統計学を学ぶ入門の本です

 

*QC七つ道具の入門の本です

 

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以上です。

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