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【作業/工事/ユーティリティ】

ユーティリティの切り離し部分にはバルブとプラグで栓をする【設備の移設除却の工事で必要】

2023年1月28日

 

今回は「ユーティリティの切り離し部分にはバルブとプラグで栓をする」についての記事です。

設備を移設したり除却する工事の場合、ユーティリティの切離し作業がありますが、一体どこから切り離せば良いのか?が分からないことがあります。

私のやり方を紹介すると、切り離す部分は「2次側と設備の境目でばらす」または「1次側から2次側の取出し部分でばらす」とし、具体的なばらす部分は「バルブ、ダンパーを閉にして設備側で切り離す」です。そして「切離しができたら必ず末端処理としてプラグで栓をする」ことを忘れずにおこなっています。

それでは詳しく説明してきます。

 

ユーティリティの切り離し部分にはバルブとプラグで栓をする

設備とユーティリティの関係

一般的に、設備、機械、装置、を稼働させるために、ユーティリティが接続されているので、移設や解体をするならば、まず初めにおこなうことはユーティリティの切離し作業となります。(*以降、設備、機械、装置をまとめて「設備」と表記します)

 

参考

ユーティリティとは設備、機械、装置の稼働に必要な「動力」、製品を作るために必要な「材料」、安全に稼働させるための「環境」を供給(提供)する意味のことです。また、動力、材料、環境を担っている設備をユーティリティ設備といい、一般的には生産工場の一部分に集約して設置されていて、そこから工場全体に供給したり回収したりしています。

 

こんなユーティリティが設備に接続されています

  • 電力
  • 通信
  • 燃料
  • 原料
  • 集塵/排気
  • 給水/排水
  • エアー/油圧
  • 特殊な気体/液体の供給/回収

*今回の記事では電力、通信以外のユーティリティの切離しについて話しを進めます。

 

押し出し機の断面

 

そして、設備とユーティリティを接続するために、こんな部材が使われいます

  • 電線
  • 配管
  • パイプ
  • ダクト
  • ホース

 

一般的にユーティリティの基本仕様として、接続している部材には「表示」または「色分け」がされているので一目で「なんなのか?」が分かります。

もし、一目で判断付かない場合は客先に確認するしかないのですが、例えば知識経験があれば「SUS配管」や「PP配管」であれば「危険性が高い液体」と予測がつきますし、危険な液体を使っている設備のダクトであえば「中身に危険な固形物が堆積している」と予測できるので、慎重な作業が必要になります。

 

設備とユーティリティを切り離す部分

さて、設備を移設や解体する場合に接続された電力以外のユーティリティを切り離すとなったら、一体どこから切離しをすればいいのでしょうか

 

設備とユーティリティを切り離す部分

  • 2次側と設備の境目でばらす
  • 1次側から2次側の取出し部分でばらす

 

一般的に2次側は設備の真上から立ち下がっていますので、立ち下がった部分の端から切り離すことを「2次側と設備の境目でばらす」とします。「1次側から2次側の取出し部分でばらす」とは、例えば工場の天井付近に張り巡らされている1次側から2次側を取り出す部分の根元でばらすことです。そして、切り離した部分から設備まで接続されているモノは撤去となります。

どちらで切り離すのかは客先都合であったり現場工事都合であるので、その場の状況に応じて切り離す部分を決定します。

 

 

実際にはバルブやダンパーで切り離す

実際に切り離すとなったら、具体的に「2次側と設備の境目」と「1次側から2次側の取出し部分」のどこでばらせばいいのでしょうか?どこでもいいから切断してしまえば良いのでしょうか?いやいやそれではリスクが高すぎますね。

 

具体的なばらす部分はコレ

  • バルブ、ダンパーを閉にして設備側で切り離す
  • 切離しができたら必ず末端処理としてプラグやフランジで栓をする

 

配管のバルブ

バルブを閉にして設備側で切り離し、閉止フランジを取り付ける

配管のケートバルブ

 

一般的に、1次側から2次側を取り出す部分や、2次側と設備の境目にはバルブやダンパーなどの「流れを遮断する部品」があるのが普通なので、バルブ、ダンパーを「閉」にしてバルブ、ダンパーの「設備側」で切り離しをおこないます。もし閉にしなかったとしたら、気体、液体の何かしらの物質が噴出したり吸い込まれたりするので必ずユーティリティ側の供給、回収は遮断してから切り離します。

とここで補足ですが、なぜバルブやダンパーがあるのが普通なのか?と言いますと、将来の切り離しやルート変更や改造などを容易にするためです。そのため、ユーティリティ接続を施行する場合は、取出し部、境目、には「バルブやダンパーを必ず入れておかなければならない」となります。

 

パイプの継手

パイプの継手

 

では話をすすめます。

ユーティリティ側と設備の切離しができたら必ずおこなわなければいけないことがあります。それは末端処理としてプラグやフランジで栓をすることです。実はこの作業は忘れることが多く、そしてトラブルの原因になるリスクが高い作業です。

なぜ、栓が必要なのでしょうか。バルブやダンパーで止めているからいいでしょ?って考える人もいるかもしれませんが、それは違います。

 

栓が必要な理由

  • 後々になって残留物が漏れてくる
  • 第三者がバルブを開することがある

 

プラグやフランジで栓をしておかないと流出の危険があります。残っていた残留物であったり、誤ってバルブ、ダンパーを開にして「ダダ漏れ」が起きたする可能性があるのです。もし、栓がなければユーティリティの切り離しをおこなってはいけません。

実際に私が知っている事故として、設備の除却工事の際に使用しない配管を切断したけど、プラグがなかったので切りっぱなしで帰宅。客先の夜勤者がバルブを開にしてしまい、環境に影響がある薬品が大量に流失した、、、という事例がありました。いったいどのような事態が発生するのか?それは予測不能です。だから、何が起きても流失しないように末端にはプラグをするのです。

 

もしバルブやダンパーがなかったら?

ユーティリティの切り離しをしようとしたら、バルブやダンパーなどの遮断する部品が取り付けられていない場合があります。

 

もし、バルブやダンパーがなかったら?

  • 1次側の運転を止めて切り離す
  • 1次側の上流にあるバルブやダンパーで止めて切り離す

 

ユーティリティの供給や回収が遮断できなければ切り離しができないので、1次側の運転を停止するしかありません。もしくは、1次側を遡っていったときの途中にバルブ、ダンパーがあればそこで遮断する、ということになります。

ただ、こうなってしまうと、1次側の系統と接続している他の設備への供給、回収もできなくなってしまうので工場全体に影響する事態となります。なので、客先としっかり打合せをする必要があります。

とここでポイントですが、1次側をとめたら切り離しをするわけですが、もし将来切り離した部分を再度使用するのなら、その部分にバルブやダンパーを入れて閉をするのが最善となります。

 

切り離すと残留物が出てくる

ユーティリティを切り離すときの前提として、切り離すユーティリティの中身がなんなのか?を調べたうえ切り離す必要があります。それは、切り離すときには必ずと言っていいほど残留物が出てくるので、切り離しの方法や保護具を検討して安全に作業するためです。

 

切り離すときのポイント

  • 残留物を厚手のゴミ袋やコンテナで受ける
  • 専用の機械や専門業者に回収してもらう

 

残留物には人体や環境に影響があるものがあるので、「流出防止の対策として厚手のゴミ袋やコンテナで受ける」または「専用の機械や専門業者に回収してもらう」ことが必要となります。

仮に、水であったとしても、一旦はゴミ袋、コンテナで回収してから処理することにします。それは、見た目が水であっても、実は無色透明な薬品だった、、、、とか、チラー(冷却水循環装置)の循環液だった、、、などあるからです。私の経験の一例を紹介すると、設備の排気の塩ビパイプを切断したら、「得体のしれない白い結晶」がでてきて吸い込んだ次の日には「喉の痛み」「鼻のなかにデキモノ」ができました。お客さんに聞いても「白い結晶がなんなのか分からない」と言っていました。ゾッとしますね。

 

 

では最後に、ユーティリティの切離しをする時の切離し方のポイントを紹介しておきます

 

切り離し方のポイント

  • 漏れても安全な方向から切離し(切断)をする

 

切離しをする時は、液体、気体、個体、が飛散する方向を考えて切離し(切断)をおこないます。

例えば、残留物が顔に降りかからないよう目線より下側を、切り離す、切込みを入れる、のが鉄則となります。何も考えずに作業をしていると配管の上に切込みを入れて自分の顔に薬品が降りかかる、、、なんてことが起きます。なので、切離しをする時は、配管、パイプ、ダクトなどのどの部分から切離す(切断)のか良く考えましょう。

また、もしもを考えて危険性が高い残留物の場合は、ゴーグル、防塵マスク、耐薬品性の高い手袋、などの保護具を着用するのも鉄則です。

 

 

ポイントまとめ

それでは、ユーティリティの切り離しについて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • ユーティリティの切離しはバルブ、ダンパーがある部分でおこなう
  • 切離しをしたら末端にプラグ、閉止めフランジを必ず取付ける
  • 切離し(切断)するときは、残留物が飛散しない方向から切離しする

 

以上3つのポイントです。

 

*ユーティリティ関する知識強化におすすめです

 

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以上です。

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