今回は「「かじったねじ」を除去する方法」についての記事です。
先日のこと、客先の現場で作業していたら、M16のステンレスのねじに「樹脂の粉」が入り込んで「かじってしまう」トラブルがありました。かじったステンレスのねじは「ねじ神様」で外れるはずなのですが、ねじ山に「樹脂の粉」が入り込んでいるために、ねじ神様が浸透せず外すことができませんでした。
「かじったねじ」を除去する方法
何をやっても外せないとき
現場作業では時々起きます。それは、ねじがかじってしまい何をしても外せないこと。
ねじを外す方法は下記の記事にあるように、ねじの緩み材をスプレーしたり、ポンチやエキストラクターを使用する方法がありますが、そのような方法でも外せない時があるんです。
そんな時には、、、、最終手段しかありません。
最終手段はコレです
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ボルトを切断して穴を開けてタップを立てる
この方法は、かじったねじを加工によって除去する力業の方法です。
必要なのは、折れない気持ち、、、それだけです(笑
ボルトを切断して穴を開けるタップを立てる
何をしても外せない場合の最終手段の手順を紹介します。
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ねじを切断
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ねじの中心に下穴を開ける
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タップを立てながら、ねじのカスを除去する
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タップを完全に通して作業完了
必要な工具は、「セーバーソーやディスクグラインダー」「電動ドリル(コードレスドリル)」「下穴のドリル」「タップ」です。
事例紹介
部品の固定をしていたら、M16のステンレスのボルトがかじった。ねじの頭をセーバーソーで切断して部品を撤去した。
残ったねじをディスクグラインダーやセーバーソーで切断し、ディスクグラインダーで平に仕上げる。次に、ねじの中心に穴を開ける。中心がズレると、最後のタップを立てる作業で苦労するので、必ず中心に穴を開けるように、手の角度を調整しながら穴を開ける。材料がステンレスの場合は、切削油をかけるのではなく、こまめにパーツクリーナーで冷却しながら穴あけをするとよい。
ドリルを大きくして徐々に穴を大きくする
タップの下穴のドリルで穴を開ける。うまく行くと、この時にねじのカスがメクレてくるのでラジオペンチでつまんで引きくぬか、ポンチで叩いて除去する。
タップを立てる。ねじのカスが残っているので、相当硬い場合がある。そのため、「タップを立てる ⇒ タップを外して清掃 ⇒ タップを立てる ⇒ タップを外して清掃」を交互に繰り返す。次第に、ねじのカスがメクレてきたり、タップに引っ付いてくるので、除去できる
時々ですが、こんな感じでねじが取れることもあります。
この方法にはいくつかのポイントがあるのでまとめておきます。
ポイント
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必ず、ねじの中心に穴を開ける
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根気よくねじのカスを除去する
ねじの中心に穴を開けられないと、もともとのタップの山をドリルで削り取ってしまうことになるので、最終的にねじを除去したときの穴が「楕円」になったり「ねじのかかりが緩い」と言った症状になります。
そうならないためには、ディスクグラインダーで「加工面を平らにすること」と「穴の中心を修正しながら穴を開ける」ことです。特に、電動ドリル、コードレスドリルでの穴開けは、穴あけ初期段階で穴の中心位置を修正することがキモになります。
ねじのカスはタップに噛みこむと、タップが折れてしまったり、タップが進まなくなったり、するので、非常に厄介です。そうならないためには、切削油をかけてタップを少しづつ立てることです。
タップが硬くなったらタップを外してエアーブローやパーツクリーナーで清掃し、切削油をかけて再度タップを立てる、、、この作業をこまめに繰り返していると、ねじのカスがメクレてくる場合があるので、ラジオペンチでつまんで引きくぬか、ポンチで叩いて除去します。もし、ねじのカスがメクレて来なくても、細かいカスがタップに引っ付いてくるはずなので、それを除去していればタップを完全に通すことが出来ます。
補足のお話し
このような現場で穴あけ加工をする場合、最強の武器になる技能があります。
それは「ディスクグラインダー(サンダー)」でドリル(キリ)が研げることです。
現場作業で穴あけをしていると、ドリルが切れなくことは良くありますが、替えのドリルがないと作業効率はかなり低下します。今回紹介した事例では、ステンレスのねじに穴を開けているので、作業中に何度かディスクグラインダーで研いでいます。
ポイントまとめ
それでは、「かじったねじ」を除去する方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- かじったねじは、ボルトを切断して穴を開けてタップを立てて除去する
- 作業ポイント1「必ず、ねじの中心に穴を開ける」
- 作業ポイント2「根気よくねじのカスを除去する」
以上3つのポイントです。
こちらの記事も参考になります
*タップの切削油の購入はこちらから
*ステンレスのねじにはねじ神様が最強です
関連記事:【材料/溶接/加工/表面処理】
以上です。