今回は「頭がなめたネジを外す方法」についての記事です。
機械装置に携わっていると必ず遭遇するトラブルです。取り外す方法はいくつかありますが、今回はドリルを使用した除去方法の解説です。
記事の目次
頭がなめたネジを外す方法
頭がなめた皿ねじと座グリのねじ
ねじ(ボルト)の頭がなめるとは、工具をかける部分の形状が変形や潰れている状態です。
頭がなめたねじ
なめてしまう原因は?
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ねじを締めすぎてなめる
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ねじが緩まなくてなめる
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工具のサイズが合っていない
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工具のかけ方や力の入れ方が悪い
このような状況で起きてしまうのですが、特にメンテナンスでねじを外すときに起きやすいと思います。
メンテナンスでは作業性が悪い状況があり「工具がしっかりかからない」「力がうまく伝わらない」、そもそも「ねじが固着して緩まない」などの問題がありがちです。
嫌な予感がしたら「無理やり」ではなく慎重な作業を心がけた方が良いと思います。
では、もしねじの頭がなめてしまったらどうしたらよいでしょうか?
取り外す方法
ねじの頭がなめていると、簡単にはねじを外すことができません。
頭がなめたねじを外す方法として「ネジザウルス」を使用する方法がありますが、ネジザウルスはねじの側面を掴んで回転させる工具なので、機械装置にありがちな「座グリ」や「皿ねじ」には使用できないのが欠点です。
*とは言え、使える場面も往々にしてあるので、私は道具箱に入れています。
ネジザウルス
そこでネジザウルスの欠点である「座グリ」や「皿ねじ」を外す方法を考えますと、下記の方法が考えられました。
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ドリルでねじの頭を飛ばしてねじを取り外す
この方法は、ねじの頭を除去して軸力を失わせてねじを取り外す考えです。
それでは、掘り下げて解説していきましょう。
ドリルでねじの頭を飛ばす方法
ドリルでねじの頭を飛ばす方法は簡単です。
方法はコレ!
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ねじのサイズに合ったキリ(タップの下穴)でねじの頭の中心に穴をあける
今回は下記の状況を例として、実際に作業を行ってみます。
- 皿ねじ
- 座グリのステンレス低頭ボルト
皿ねじの場合
皿ねじの中でも、ねじ頭がプラス形状はなめやすいねじです。しかも、皿ねじは強く締め付けていなくても思いのほか締まるねじなので、緩めるときになめるリスクがあります。
*皿ねじは、ねじの座であるテーパー部分の面積が広いので摩擦が大きく、テーパーが軸力で食い込むので想像よりも締まっていることがあります。
実際の作業
キリでねじの頭に穴をあけます。キリのサイズは、なめたねじの下穴のサイズを基本として状況によって変更してください。
皿ねじ
*クリック拡大
ねじの頭の厚み分にキリが進行すると、ねじの頭とねじ部が分離します。(切り離される)
残ったねじは、細かい作業ができる道具で回転させて除去します。
皿ねじ
*クリック拡大
ねじの取外しができました。
皿ねじ
*クリック拡大
座グリでSUS低頭ボルトの場合
低頭ボルトはねじ径に対して、工具径が小さいのでなめやすいねじです。
実際の作業
キリでねじの頭に穴をあけます。キリのサイズは、なめたねじの下穴のサイズを基本として状況によって変更してください。
座グリのボルト
*クリック拡大
ねじの頭の厚み分にキリが進行すると、ねじの頭とねじ部が分離します。(切り離される)
残ったねじが食い込んでいる場合にはタガネやエキストラクターを使用して除去します。
座グリのボルト
*クリック拡大
ねじの取外しができました。
座グリのボルト
*クリック拡大
ポイントまとめ
それでは、頭がなめたネジを外す方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ねじの側面を掴めるときは「ネジザウルス」がおすすめ
- 「座グリ」や「皿ねじ」はドリルでねじの頭を飛ばしてねじを取り外す方法がおすすめ
- ドリルを使用する場合は、ねじのサイズに合ったキリ(タップの下穴)でねじの頭の中心に穴をあけること
以上3つのポイントです。
参考
*エキストラクターの購入はこちらから
*ねじ神様の購入はこちらから
関連記事:【締結要素】
以上です。