今回は「マグネット付きのタップハンドル」についての記事です。
タップ加工は工作機械でおこなわれるのが一般的ですが、工作機械で加工できない部品であったり、加工機がない場所で加工しなければならない状況では、作業者が手作業で加工することになります。
手作業のタップ加工と言えば、「手回しのタップハンドル」を使うのが定番ですが、「マグネット付きのタップハンドル」い言う便利な工具があるので紹介します。
マグネット付きのタップハンドルの特徴と注意点
現場でのタップ加工に最適な工具
手作業でタップ加工するときにおすすめの工具があるので紹介します。
おすすめの工具はコレ
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マグネット付きのタップハンドル
出典:カネテック カタログ マグタップ
マグネットベースとタップハンドルが融合した工具で、磁石によってタップハンドルをしっかりと固定ができるので、少ない力で直角かつスピーディーにタップ加工ができます。
この商品は、タップを立てる方式に「手回し式」「ラチェット式」「電動式」の3種類があるので、自分の使用環境に合わせて使い分けます。中でも、私が一番おすすめするのは、「手回し式(MTP-13B)」のマグネット付きタップハンドルで、コンパクトで持ち運びが便利なので気に入っています。もし、大量にタップ加工する場合であれば、スピーディーに加工できる電動式がおすすめになります。
*ラチェット式のタップハンドル
出典:オレンジブック TRUSCO T型ラチェットタップホルダーM3-M10
そもそもですが、一般的な手作業によるタップ加工には、いくつか課題がありました。
タップハンドルの課題
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タップの角度が定まらない
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手がブレるとタップが折れる
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大きなタップ加工は疲れる
小さくて持ち運びが便利、狭い場所でも使用できる、と言ったメリットがあるものの、作業者の手加減がダイレクトに影響するので、タップの角度が定まらずに斜めにタップ加工してしまったり、安定性が低いので手がブレてタップを折ってしまうことがありました。しかも、タップのサイズがM8以上になってくると、結構な力が必要になるので加工箇所が多いとかなり疲れます。
と言うことで、このような課題を解決したのがマグネット付きのタップハンドルなのです。
特徴とデメリット
それでは、マグネット付きのタップハンドルの特徴とデメリットをまとめておきます。
特徴
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直角、垂直にタップ加工できる
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少ない力でタップ加工ができる
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加工安定性が高いので折れるリスクが少ない
- 鉄素材の大きめの部品のタップ加工に最も適している
デメリット
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狭い場所では加工できない
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磁石が引っ付かないと使えない
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小さい部品のタップ加工はできない
サイズ感が大きめなので、入り組んだ部分、狭い部分、のようにマグネット付きタップハンドルが入らない場面では加工ができません。さらに、小さな部品の場合は、マグネットの固定ができない、加工穴にタップが届かない、の問題があり加工ができません。
加工する材料がアルミニウムやステンレスのように磁石が引っ付かない材料の場合は、そのままではマグネットが引っ付かないので加工ができません。
裏技としては、加工する材料に鉄、鋼、のフラットバー(FB材)をシャコ万力で固定することで、タップハンドルをマグネットで固定することが可能となり、タップ加工ができます。
【要チェック】タップチャックのセット方法
タップをタップハンドルに固定するときに、ありがちなミスがあるので、紹介しておきます。
ありがちなミス
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タップのチャックが不十分でタップが空転する
タップチャック(タップを掴む部分)の固定が出来ていないと、加工中にタップが空転してしまうことがります。
タップの固定はタップチャックの上部にある「回転方向と軸方向の固定」と下部にある「回転方向と中心位置と軸方向の固定」の2つの機構で成り立っているのですが、良くある事例としてチャック上部の固定が出来ていないために空転してしまうことです。
タップチャック
左)タップの固定が出来ていない
右)タップの固定が出来ている
タップの固定のポイントはコレです
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タップをチャックの奥まで入れる
- 上部のねじと下部のナット締めて固定する
タップ上部の頭は四角形になっています。この四角形をチャック上部で固定することで、加工中にタップが空転することはありません。
と言うことで、手順としては、①「上部のねじを緩めておく」「下部のナットを緩めておく」⇒②「タップを上部まで入れる」⇒③「上部のねじを締付ける」⇒④「下部のナットを締付ける」⇒チャック完了となります。
タップチャック
ポイントまとめ
それでは、マグネット付きタップハンドルについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 手作業のタップ加工にはマグネット付きタップハンドルが最適
- 狭い場所、小さい部品、磁石が引っ付かい部品には使用できない
- 手回しのタップハンドルよりも加工精度が高く失敗のリスクが少なくラクに加工できる
以上3つのポイントです。
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関連記事:【材料/溶接/加工/表面処理】
以上です。