今回は「高所作業の危険性と安全対策」についての記事です。
高所作業とは地上2m以上の作業のことで、非常に危険でリスクの高い作業です。私の場合は、配管やダクトに関わる作業で高所作業をすることが結構あるので、リスクと恐怖感は十分に感じているところです。
労働安全衛生法では、高所作業について作業床、囲い、安全帯について明記されていてルール化されているので、法令に従って安全に作業をする必要があります。
そこで今回の記事では、高所作業の危険性や法令、そして安全に作業ができる高所作業車、アップスター、ローリングタワーについて紹介しようと思います。
記事の目次
高所作業の危険性と方法
高所の作業は危険
皆さんは高所で作業をすることはありますか?
そもそも高所作業とは地上2m以上で作業をすることなのですが、普段使用する機会が多い脚立で考えてみますと高さが6尺(1.8m)の脚立より高い脚立を使用する場合は高所作業に範囲に入ってきます。
一般的に普及率の高い6尺以下の脚立で考えてみても、実際に脚立の上まで登ってみると結構高く感じますし、もし落ちたら、、、と考えると恐怖感があります。
つまり、高所作業で最も危険なのがコレです
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墜落と転落
出典:厚生労働省 平成31年/令和元年 労働災害発生状況
厚生労働省の資料を見てわかるように、墜落や転落の災害が多く発生していて高いところでの作業がいかにリスクがあることなのか分かると思います。
高所作業のルール
高所作業は非常にリスクの高い作業なので、墜落や転落が起きないように労働安全衛生法令には下記のような記述があります。
出典:労働安全衛生規則 第二編 第九章 墜落、飛来崩壊等による危険の防止
第五百十八条
事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
(中略)
第五百十九条
事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆(おお)い等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。
このように、法令では高さ2m以上の高所作業をする場合は、作業床と囲いが必要であるとされています。
ただし例外として、労働安全衛生法では高さ2メートル以上のときに墜落防止の対策ができない場合は安全帯の使用でOKとしています。
参考
*安全帯についてはこちらの記事をご覧ください
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【安全帯】フルハーネスの義務化と特別教育【高所や足場作業】
続きを見る
高所作業を安全に行う対策
労働安全衛生法にありますように、高所作業をする場合は作業床と囲いが必要とされていますが、今回は固定式の足場ではなく工場内での作業を想定して移動が可能なモノで対策を考えみましょう
移動が可能な作業床と囲いの条件に当てはまるのはコレです。
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高所作業車・・・昇降装置、走行装置がある作業車
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アップスター・・・組立不要の昇降式移動足場
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ローリングタワー・・・組立式の移動式足場
皆さんはこのような高所作業するための作業車や足場をご存じでしょうか?
私は実際にこの3つの作業車や足場を使用して作業をすることがありますが、高所作業をするためのモノなので安定性がよくおすすめです。
高所作業車とアップスターとローリングタワーの特徴を比べる
一覧で特徴を比べる
それでは、高所作業で安全に作業ができる高所作業車とアップスターとローリングタワーについて、その特徴を一覧でまとめておきましょう。
特徴一覧(各メーカーの平均値をまとめていますので、おおよその参考値となります)
高所作業車(シザース式) | アップスター | ローリングタワー | |
必要な資格 | 高所作業車が10m未満は特別教育/10m以上は技能講習 | 足場の組立ての技能講習/特別教育 | 足場の組立ての技能講習/特別教育 |
最低地上高 | 0.57m~1.22m | 0.9m~2m | 1.7m~3m |
最大地上高 | 4.8m~9.68m | 2.5m(4段式)~4.2m(5段式) | 6.5m(4段式)~10m(6段式) |
最大荷重の種類 | 115㎏~450㎏ | 133㎏~230㎏ | 140㎏~250㎏ |
作業床の段数切り替え | 無段階 | 4段~6段の段数式で作業床は最上部のみ | 1~6段の段数を設定でき、作業床は各段または最上部のみ |
組立ての有無 | 組立不要 | 組立不要(段数変更の作業は必要) | 組立必要 |
アウトリガーの有無 | なし | あり/必ずアウトリガーを使用すること | あり/必ずアウトリガーを使用すること |
搬入ルートの狭さ | 狭いと通れない | 狭いと通れない(非分解式) | 狭くても通れる(分解式) |
上部の作業床までの登り方 | 登る必要がない、自動昇降 | アップスターの外側をよじ登る | ローリングタワー内の階段で登るタイプと外側をよじ登るタイプがある |
新品価格 | 350万円~600万円 | 35万円~70万円 | 60万円~150万円 |
レンタル価格 | 1日7000円~18000円 | 1日6000~ | 1日7000円~13000円 |
*高所作業車は上下動作のみのタイプであるシザース式で比べています。
比べてみますと、それぞれにメリットデメリットがあります。「これが一番いい」とは言い切れるものではないので状況によって使い分ければよいです。
ただ、ここで安全にかかわるポイントがあるので、お伝えしておきます。
安全のポイントはコレです。
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高所作業車、アップスター、ローリングタワーは絶対安全の保障はないので、必ず安全帯を併用すること
作業車や移動足場には囲いがありますが、転落しない保証はないので必ず安全帯を使用することを忘れてはいけません。
高所作業車
高所作業者とは、作業用バスケット(作業床)が2m以上の高さに上昇出来る能力を持ち、昇降装置、走行装置等により構成され、不特定の場所に動力を用いて自走できる機械のことです。
高所作業は本体価格が非常に高価なので一般的にはレンタルすることになります。レンタルと言ってもそれでもまあまあの費用が掛かりますが、それ以上に操作一つで自走と昇降ができるメリットは大きいです。一人で作業が完結します。
アップスター
アップスターとは組立不要の昇降式移動足場です。
出典:AKTIO アップスター
アップスターは、高所作業車の人力版と言ったイメージです。移動や段数変更には人数が必要で、最低2名の作業者が必要となり作業床までもよじ登る必要があります。ただ、本体価格が安いので本体を購入しておけばいつでもどこでも自分都合で使用できるメリットがあります。
ローリングタワー
ローリングタワーとは組立式の移動式足場です。
出典: 株式会社 ピカ コーポレイション 鋼管製移動式足場 RA ローリングタワー
ローリングタワーは、組立作業が必要で面倒ですがその反面コンパクトになるので搬入ルートが狭くても問題ありません。また、私の使用した感覚だと可動部があるアップスターよりもローリングタワーの方がしっかり感があり安定性があります。
高所作業の危険性と対策のポイントのまとめ
それでは、高所作業の危険性と対策について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 地上2m以上の作業は高所作業となるので、作業床と囲いが必要となる。設置が出来なければ安全帯のみでも可。
- 作業床と囲いの対策には高所作業車、アップスター、ローリングタワーがおすすめ
- 高所作業には特別教育や技能講習の資格が必要
- 高所作業車、アップスター、ローリングタワーにも転落のリスクがあるので、安全帯は必ず使用する
以上4つのポイントが大切です。参考にしてください。
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以上です。