今回は「機械装置の移設据付の注意点/フレームの歪みで精度が狂う」についての記事です。
機械装置の移設や据付はよくある作業です。
しかし、この作業によってフレームに歪みが生じて機械装置の精度に狂いが起きることがあります。
そこで今回は、移設/据付とフレームの歪みについて私の考えをまとめておこうと思います。
記事の目次
機械装置の移設や据付の注意点
機械装置の移設とは「設置場所を変更すること」で、据付とは「決められた場所に機械装置を設置すること」です。
移設や据付を一口に言っても、その規模や作業内容は様々です。
色々な移設と据付
移設/据付は、例えば下記のようなパターンがあります。
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機械装置メーカーから客先へ
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工場内での配置換え
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海外の工場へ
どのパターンでも、機械装置を「運ぶ」作業が必要になり、運ぶ作業は移設/据付の規模によって扱う道具や重機に違いがあります。
例えばこんな「運ぶ」方法があります
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チルローラー
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フォークリフト
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レッカー(クレーン)
いずれも、良くある運ぶ方法だと思います。
このような、ありがちな移設と据付の方法ですが、実は機械装置の精度に大きく関わってくるのです。
機械装置の精度の狂い
機械装置は移設や据付によって、「装置のレベルがでない」「機内の精度が狂っている」などの問題が起きることがあるのですが、その原因は「フレームの歪み」が考えられます。
精度の狂いはこのような状態です。
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フレームが折れている/捻じれている
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据付作業でのアジャスタパッド(ライナー)の調整不足
この2つのパターンがあると思います。
フレームが折れている/捻じれている
「フレームが折れている/捻じれている=歪み」の原因は下記の2点です。
- フレームの強度が低い
- 「運ぶ」作業での「フレームの支持点」や「支持の数」が悪かった
このようなことが考えられます。
対策としては、「運ぶ」作業を行う前に、「フレームが歪まない支持点を十分に検討」し「支持の数を増やす」ことを考える必要があります。そして、海外へ出荷する場合など多くの業者が関わる時には、「支持の位置を目立つように明記」すると良いです。
また、機械装置のフレームの強度が弱いと分かっている場合や、歪みが懸念される場合は、「補強」の検討や「フレームのストレスが少ない専用の吊り治具」を製作することもいいでしょう。
据付作業でのアジャスタパッド(ライナー)の調整不足
機械装置のフレームの強度がいくら高くても、「運ぶ」作業でフレームを持ち上げれば、必ず歪みが生じます。それは、機内のユニット/部品の重量やバランスにも左右されます。
通常、機械装置はレベル調整の為に、フレーム下部に「アジャスタパッド」や「ライナー(シム)」を使用した調整を持っています。
一般的な考えでは、レベル調整や水平調整に使用することを前提にしていて、作業者もそう考えていると思います。
しかし、この「アジャスタパッド」や「ライナー」で、フレームの歪みを「補正」するという考えで据付をすると、より高精度な据付ができます。
出典:IMAO レベルアジャスター
「歪みを補正しつつ、レベルと水平を出す」と言う考えで作業をおこなうと、作業手順や方法に違いがでますし、機内の精度は大きく違ってくるのです。
精度が悪くなったら再調整
前述で、「フレームの歪み」について解説しましたが、いくら注意深く作業を行っても「精度が悪くなる」「精度が戻らない」と言うことが起きることがあります。
それは、移設によってフレームが歪み、歪みを据付で補正しきれなかった結果です。
この状態に陥ってしまった場合は、現状のフレームの状態を基準として、機内のユニット/部品の精度を出し直すしかありません。
もう一度、組立作業をおこなうのです。
参考 私の経験
このような状態に陥るのは、「移設作業に重大な失敗があったか?」「フレームの強度が大きく不足していたか?」と言う事になります。
実は私は、過去に何度か経験をしています。
その時には、、、
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据付で「歪みの補正」をしきれなかったので、機内のユニット/部品の精度を再調整した
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ロボットのポジションと機内の位置関係にズレが生じてしまったので、すべてのポジションを再ティーチングした
このような対応をしました。
そもそも、移設/据付によって機械装置の精度が悪くなることは、避けるべきでから、、、
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フレームの歪みの懸念
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歪みを最小限にする対策
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歪みを補正する技能
この3点を十分に理解し作業を行うべきです。
私が言っていることは、「当たり前」「簡単なこと」なのかもしれませんが、、、、実際の現場ではこの考えができている人は中々いません。
まとめ
今回は、移設や据付によって機械装置の精度が悪くなる原因や対策、考え方をまとめてみました。全ては私の経験による考えですので、なにかの裏付けがあるわけではないのですが、参考になればと思います。
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以上です。