今回は「部品を平滑に方法はバフ研磨と電解研磨」についての記事です。
機械装置を組立てていると、部品の表面が平滑でないとトラブルが起きることがあります。部品の平滑化は機械加工では高精度な研削で可能ですが、それではコストがかかりすぎて現実的ではありません。
そこで一般的な方法で考えますと「バフ研磨」と「電解研磨」が考えられます。私も実際に何度もこの2つの研磨で部品を平滑にしてきました。
そこで今回の記事では、部品の表面を平滑にする「バフ研磨」と「電解研磨」についてまとめておこうと思います。
記事の目次
部品を平滑にする方法はバフ研磨と電解研磨
「ツルツル」「ピカピカ」の方法
皆さんは、金属の表面を「ツルツル」「ピカピカ」にしたい!と思ったことはありませんか?
私のように機械装置の組立をしていると、ワーク(製品)が接触する部分はワークに傷などの損傷を与えないためであったり、定期的な清掃を簡単にするためにツルツルな状態でないと「ダメ!」な時があります。
そのようなときに金属の表面を「ツルツル」「ピカピカ」にするためにはどのような方法があるでしょうか?
ツルツルのピカピカにする方法はこれです。
- バフ研磨
-
電解研磨
部品を研磨する場合は、この2つの方法が一般的です。特にバフ研磨はDIYでも可能な作業なので「やったことがある」人も多いのではないでしょうか?
このような研磨は、ステンレスやアルミニウムなどの表面処理をせずにそのまま使用することが多い材料に施すことが多い手法です。
バフ研磨と電解研磨を比べる
それでは、バフ研磨と電解研磨について特徴を比べてみます。
バフ研磨 | 電解研磨 | |
作業方法 | グラインダーやリューターがあれば可能 | 薬品を扱うため専門の業者に依頼 |
価格 | 安価 | 高価 |
研磨の難しさ | 人が作業するので、高度な技能が必要 | 機械でおこうなうため安定している |
平滑イメージ | 凹凸のまま平滑化する | 凸を溶解して平滑化する |
研磨できる凹凸 | 大きな凹凸を平滑化するのに向いている | 細かな凹凸を平滑化するの向いている |
バリの除去 | 除去可能だが、1/10mm以上のバリは取りにくい | 大きなバリは除去できない |
研磨できる形状 | バフが当たらない複雑形状は研磨できない | 複雑な形状でも研磨可能 |
光沢 | 光沢あり | 下地が悪いと光沢がなくなる場合がある |
このような違いがあり、どちらが良いとか悪いと言うことはないのですが、もし研磨の仕上がりを重視したいのならば、バフ研磨と電解研磨を併用すると良いです。
私も過去に、粉体搬送の部品を扱ったときにバフ研磨では平面の均一性がなくバリが取り切れていない状態だったので、バフ研磨後に電解研磨をしたことがあります。
それでは、次項からバフ研磨と電解研磨について詳しくまとめていきます。
バフ研磨
バフ研磨とは
バフ研磨とは、バフと呼ばれる「布」「フェルト」「ウール」に液体や固形の「研磨剤」を塗布して部品を磨き上げる研磨のことです。具体的には、バフを卓上グラインダーやリューターにセットして、回転させながら研磨剤を塗布して部品を当てて磨きます。
バフ研磨は回転する道具さえあれば作業ができるので、電解研磨よりも一般的でお手軽です。しかしその反面、道具を使用してバフ研磨を行うので、部品の当て方や力加減で研磨しすぎてしまうことがあり、均一にバフ研磨することは熟練した技能が必要となります。
代表的なバフの種類
布のバフ
代表的なバフの種類をまとめておきます。
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麻・・・固めのバフなので、粗目の研磨に向いている
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布(綿)・・・スタンダードなバフ。中間的な硬さ、細かさです。
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フェルト・・・固めで、きめ細かいバフ。強い力で研磨できる
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ウール・・・柔らかく(モフモフ)、きめ細かいので、最終仕上げで使用される
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スポンジ・・・塗装を磨くときに使用される
代表的な研磨剤の種類
青棒の研磨剤
代表的な研磨剤の種類をまとめておきます。
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白棒(固形)・・・中間仕上げ用
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青棒(固形)・・・仕上げ用、鉄やステンレスなど
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赤棒(固形)・・・仕上げ用、金や銀など
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液体研磨剤・・・様々な種類があり、液体なので伸びが良く扱いやすいが、飛散しやすい
バフ研磨の長所と短所
それでは、バフ研磨の長所と短所をまとめておきます。
長所
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安価
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光沢がでる
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平滑化する
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スピーディー
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精度より見た目重視
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グラインダーやリューターで作業できる
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大きな凹凸を平滑化するのに向いている
短所
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バフが当たらない複雑形状は研磨できない
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研磨剤が残留する。取り除けないことがある
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均一にバフをかけることは非常に難しく、職人技が必要
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一部分が研磨されすぎて部品の精度が悪くなることがある
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研磨で平滑になるが、凹凸を取り切れない。傷が残ってしまう
参考動画
バフ研磨はこちらの動画が参考になります
電解研磨
電解研磨とは
電解研磨とは、酸系(リン酸、硫酸)の液に部品を入れて部品を陽極にして電流を流すことで、金属の表面を溶解させる方法です。溶解は凹凸の凸が優先的に溶解して表面が平滑になります。
この方法は、専門の業者に依頼するためコストが高くなりますが、バフ研磨と違い部品の形状に左右されずに研磨でき、凸が溶解するのでより平滑な状態となるので部品の精度が悪くなるリスクが少ないです。
電解研磨の長所と短所
それでは、電解研磨の長所と短所をまとめておきます。
長所
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光沢がでる
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平滑化する
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安定した研磨の仕上がり
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部品の形状に左右されない
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汚れや異物を除去できる
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部品の精度が悪くならない
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細かい凹凸を平滑化するのに向いている
短所
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高価
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下地が悪いと光沢が出ない、ムラが発生することがある(白く濁る)
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ある程度下地が良い状態が必要(大きな凹凸は平滑化できない)
参考動画
電解研磨についてはこちらの動画が参考になります
バフ研磨と電解研磨のポイントのまとめ
それでは、バフ研磨と電解研磨について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 部品をツルツルにする方法にはバフ研磨と電解研磨がある
- バフ研磨は、均一に研磨するのが難しいが安価で一般的。DIYでできる
- 電解研磨は、高価だが細かな凹凸の平滑にするのに向いている。
- 研磨の仕上がりに拘る場合は、バフ研磨と電解研磨を併用すると良い
以上4つのポイントが大切です。
今回は、部品の表面を平滑にする方法として、バフ研磨と電解研磨を紹介しました。普通はバフ研磨で問題ないことが多いですが、平滑化に拘る場合は機械加工した精度と面粗度が良い部品を電解研磨(場合によってバフ研磨を併用)すると満足のいくモノができると思います。参考にしてください。
参考
*ステンレスのバリ取り方法についてはこちらの記事で紹介しています
-
ステンレスのバリ取りは電動リューターが最強【マイクロカットの超硬刃】
続きを見る
*バフの購入はこちらから
*研磨剤の購入はこちらから
関連記事:【材料/溶接/加工/表面処理】
以上です。