【締結要素】 【材料/溶接/加工/表面処理】

ヘリサートの基礎情報【ねじ山の補強と下穴表】

2019年7月27日

今回は「ヘリサート」についての記事です。

機械装置に関わっていれば「ヘリサート」を使用したことがなくても、一度は聞いたことがあると思います。ヘリサートはねじ山の修正や補強に使用されるので、いざというときには役立つアイテムです。

今回の記事では、ヘリサートとは何か?その特徴は?どうやって施工するのか?について紹介しようと思います。

 

ヘリサートの基礎情報

ヘリサートとは

ヘリサートとは、インサートと呼ばれるステンレス製のコイル形状の部品を、ヘリサートタップを施工した穴に挿入することです。

主に、タップの山が舐めてしまったときの補修や、樹脂やアルミ材などの軟質材に強固なタップを成型する為に使用されます。ヘリサートは名称が変更されて「Eサート」となりましたが、一般的にはヘリサートの呼び名が浸透していますし、インサートのこともヘリサートと呼ばれることがあります。

 

インサート

左=1.0Dのインサート  真ん中=1.5Dのインサート  右=2.0Dのヘリサート

 

ヘリサートの長さ

ヘリサートの長さは「1.0D」「1.5D」「2.0D」の3種類があり、長さの単位は【D】です。Dはヘリサートタップの穴に挿入したときの全長を表しています。

 

ヘリサートの長さの単位【D】とは、こんな意味です

  • ネジの直径=1D

 

例えば1.5Dのヘリサートの全長は、、、

  • ねじの直径×1.5=ヘリサートを挿入したときの全長

 

もう少し詳しく説明すると、M6の1.5Dのヘリサートの場合は

  • 6mm(M6の直径)×1.5D=9mm(ヘリサートを挿入したときの全長)

 

このように計算され、例えば、板厚6mmの穴にM6の1.5Dのヘリサートを挿入すると、3mm部品から抜けてしまうので施工ができないと言うことが分かります。

 

ヘリサート送入機

 

ヘリサートの「強さ」と「使用する状況」

ヘリサートの強さ

ヘリサートを使用するとねじ山の強度が増しますが、それには下記の理由が上げられます。

  • ヘリサートを使用するとねじ山にかかる力が分散/均一になる
  • 材質はステンレス鋼で硬度はHRC43~50、引っ張り強さは約1,000MPa以上ある

 

ねじとタップの関係を考えてみますと、実はねじを締めこんだ時にねじ山とねじ山は部分的にしか接触していないため力が均一に作用していません。そのため部分的に力が集中してねじ山が損傷するリスクが高いのです。

しかし、ヘリサートを使用するとヘリサートはタップ側とボルトの間にありますから、ボルトを締めこんでヘリサートのねじ山に部分的に接触しても、その力はヘリサートを通してタップに対しては均一に作用するためタップを損傷しにくくなります。

しかもヘリサート自体の強度も高いので、全体的に強度が高くなるのです。

 

ねじ

 

使用する状況

では、具体的にヘリサートはどのような状況で使用するのでしょうか?いくつか使用例を挙げておきましょう。

 

例1.タップのネジ山が無くなった時

  • タップ加工時の下穴径が大きすぎてねじ山が少なかった
  • 何度もボルトの脱着を繰り返したのでねじ山が摩耗した

 

例2.タップのサイズを間違えた時  *間違えたタップのサイズが大きすぎた場合は不可です

  • 例えば「M6タップ穴をヘリサートでM5にする」のように1ランクタップを小さくすることはギリギリ可能です。なぜギリギリかと言うとヘリサートタップの下穴より大きい穴が開いていることになるからです。

 

例3.MCナイロンやアルミ材などの軟質材に

  • ボルトの強度の方が強い場合には、タップが負けてしまいねじ山が機能しません。あらかじめヘリサートを挿入しておきます。

 

キリとタップ

 

ヘリサートの施工方法

それでは、ヘリサートの施工方法について紹介しておきます。

 

挿入方法

挿入は下記の手順でおこないます。

  1. 挿入には挿入機が必要です。挿入機にヘリサートをセットし先端を少しだけ出しておきます。
  2. 母材(ヘリサートタップ側)に挿入機を垂直に立てて、少しずつ回転させて挿入していきます。ヘリサートが馴染みながら入って行く感覚を感じてください。
  3. 深さに注意しながら回転させます。入りシロ(入れた面からどれくらい入っているか)は半周~1周です。
  4. 最後に、タングと呼ばれるヘリサートを回転させるためのひっかけを、ポンチで折りって完成です。

 

ヘリサートを施工した穴に、ねじが引っかかって入り難ければヘリサートに通常のタップを通すことで対処できます。ただし、切削油を塗布するなどして慎重に作業を進めないと、タップとヘリサートが噛みこんでしまい、ヘリサートが抜けてくることがあるので注意が必要です。

 

ヘリサート送入機

挿入機にヘリサートをセットし、ヘリサートの先端を半山以下出しておく。

 

ヘリサートタップの下穴表

一般的に使用頻度が高い、並目のヘリサートタップの下穴について下記にまとめてみました。

 

タップサイズ 下穴径
M3 3.2mm
M4 4.3mm
M5 5.3mm
M6 6.4mm
M8 8.5mm
M10 10.6mm

 

全てのヘリサートサイズに関しては、下記の三友精機さんのデータをご覧ください。

出典:株式会社 三友精機 Eサートサイズ一覧

 

ヘリサートの長さは調整できる

ヘリサートの長さについては冒頭で紹介しましたが、もし手元にあるヘリサートが長すぎて使用できない場合には裏技があります。

 

ヘリサートが長すぎる場合の裏技

  • ヘリサートのコイルを強力ニッパーで切断してヘリサートの全長を短くする

 

裏技として覚えておくと役立ちます。

 

ヘリサートのポイントまとめ

それでは、ヘリサートついて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • ヘリサートには長さに種類があり、単位は【 D (ねじの直径)】で表される
  • ヘリサートを使用するとねじ山の強度が高くなる
  • ねじ山の修正や軟質材のねじ山強化に使用する
  • ヘリサートの長さはニッパーで短くできる
  • ヘリサートにねじが入りにくい時にはタップを通すと修正できる

 

以上5つのポイントです。

 

参考動作

ヘリサートの挿入方法の参考に下記の動画を載せておきます。

 

 

 

*ヘリサート挿入機(スプリュー挿入機)の購入はこちらから

 

 

*ヘリコイルの購入はこちらから

 

 

関連記事:【材料/溶接/加工/表面処理】

以上です

-【締結要素】, 【材料/溶接/加工/表面処理】
-

© 2022 機械組立の部屋