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【材料/溶接/加工/表面処理】

溶接部品を応力除去焼鈍して機械加工すると歪が少なくなる【高精度部品の製作方法】

2023年9月17日

この記事はAIで音声配信しています。

溶接部品(製缶部品)に穴あけ、削りなどの機械加工をすると、加工後にひずみや反りが発生して、要求精度に入らないことがあります。

そのような時には、機械加工の前段階で応力除去焼鈍をおこなうと、加工後の精度が向上します。

ということで、今回は応力除去焼鈍についてまとめておこうと思います。

 

溶接部品を応力除去焼鈍して機械加工すると歪が少なくなる

焼鈍とは

焼鈍(しょうどん)とは、金属(鉄・ステンレス)や非金属(アルミ・銅)などの材料を加熱して徐冷(ゆっくり冷却)する熱処理のことです。この熱処理は、材料の組織を均一に整える効果があり、それによって加工や溶接で生じた金属内部の残留応力(内部にたまった力)を除去する効果や、硬度を低下させる効果があります。別名、焼きなましと言います。

 

出典:ジェイテクト 連続焼鈍炉・焼準炉

ジェイテクトの焼鈍炉

 

例えばですが、「溶接部品(製缶部品)⇒機械加工」の工程で部品製作する場合で考えてみます。

製缶で部品を製作する場合、溶接によって局所的に加熱された部分に残留応力が発生します。さらに、もともとの材料自体にも残留応力が存在しています。

その状態で、フライス加工などの機械加工で図面通りの寸法や精度に仕上げようとすると、加工によって内部にたまっていた残留応力が開放されるので、応力のバランスが崩れてしまうことがあります。結果として、加工後に部品が反ったり、ひずんだりする原因になる訳です。

ここで注意すべきなのは、これは「機械加工時の部品の固定方法や加工条件が悪いから起こる反りやひずみ」とは別物だという点です。原因は、あくまで内部に残っていた応力にあります。

このような問題を防ぐためには、機械加工をおこなう前の段階で部品の残留応力を除去しておく必要があります。そこで行うのが 焼鈍(しょうどん) です。「製缶⇒焼鈍⇒機械加工」の工程で製作すると、焼鈍によって金属組織を均一化することで残留応力を除去できるので、機械加工後の寸法や精度を高めることができるのです。

 

参考

 

焼鈍には種類があります

「焼鈍(しょうどん)=焼きなまし」には目的に応じて種類があります。

 

主な焼鈍の種類

名前(呼称) 主な効果・目的
応力除去焼鈍 溶接、鋳造、冷間加工材などの残留応力を除去する
磁気焼鈍 軟磁性材料の磁性方向を揃え、磁気特性を向上させる
完全焼鈍 加工前の材料の組織を均一化し応力除去と軟化させる
拡散焼鈍 組織中の成分の偏りを均一化し、材料の性質を安定させる
真空焼鈍 真空炉で処理するため、材料の酸化、脱炭を抑え、残留応力を除去できる
球状化焼鈍 炭素量が多い材料(炭素工具鋼SK、合金工具鋼SKSなど)の炭化物を球状化させて靭性と加工性を向上する

*温度と処理時間は材料の種類、大きさ、使用する炉などによって違いがあるので、詳しくは施工業者さんに確認してください。

 

応力除去焼鈍をやるべき場面

応力除去焼鈍は、溶接や鋳造、冷間加工材などで生じた残留応力を除去する熱処理です。

そのため、溶接部品(製缶部品)や鋳造部品、冷間加工材などを機械加工する前段階で応力除去焼鈍を施すと、加工後のひずみや寸法精度の誤差が少なくなります。

 

このような場面に有効

  • 薄物の部品
  • ステンレス材
  • 要求精度が㎛単位
  • 加工した面と面の位置関係や直角度が必要な時

 

製缶部品をフライス加工している

 

ただし、機械加工による精度は残留応力だけでなく、部品の材質、形状、板厚などの影響も大きいため、応力除去焼鈍だけで完全に精度を保証できるわけではありません。

まずは、機械加工する部品そのものの材質、形状、板厚をしっかり検討することが重要になります。

例えば、冷間圧延の材料は機械加工して使用しない、製缶部品の機械加工面の裏側にはリブを入れる、削り代を加味した板厚で設計する、、、、、こうした基本を押さえておけば、そもそも応力除去焼鈍をしなくとも、要求精度どおりに機械加工することができるかもしれません。

コスト、納期がかかることなので、最終手段として考えておくことが望ましいと思います。

 

参考

 

ポイントまとめ

それでは、応力除去焼鈍について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 応力除去焼鈍は、溶接、鋳造、冷間加工材などの残留応力を除去する処理
  • 機械加工の前段階で応力除去焼鈍をおこなうと、加工後の精度が向上する
  • 機械加工後の精度は、残留応力以外に、材質・形状・板厚も影響するので、設計段階でしっかり検討すること

 

以上3つのポイントです。

 

*熱処理を勉強するための入門の本はこちら

 

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以上です。

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