ケミカルアンカーって何?って話しですが、、、、
コンクリートなどに穴を開けて、アンカーとなるボルトや鉄筋を差し込んで固定する場合に使用する溶剤のことを一般的に「ケミカルアンカー」と言います。とここで注意ですが、「ケミカルアンカー」は日本デコラックスの商品名であり商標登録されています。旭化成の場合は「ARケミカルセッター」と言う商品名になります。
主成分はメーカーや種類によって違いますが、ざっくりまとめると「樹脂」または「セメント」です。
施工方法としては大きく分けてカプセルタイプとカートリッジタイプの2通りあります。カプセルタイプは穴にカプセルを入れて、その上からアンカーを差し込んでカプセル破壊、攪拌することで硬化剤と混ざり硬化する。カートリッジタイプはコーキングのようなタイプで、ガンから主成分と硬化剤が自動的に混ざって出ててきます。したがって、アンカーの穴に直接注入してその後アンカーを差し込んで硬化させます。
ざっくり説明するとこんな感じですが、実際にケミカルアンカーを施行してみると「失敗することがある」ので、施工方法はポイントを押さえておく必要があります。
説明していきます。
ケミカルアンカーを失敗せずに施行する方法
ケミカルアンカーの失敗の原因
設備を固定するためにカプセルタイプのケミカルアンカーを使うのですが、過去を振り返ると何度か失敗してしまったことがありました。
施工を失敗するとどうなるのか?
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アンカーが空回りする
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アンカーが抜けてくる
固まったであろうアンカーボルトのナットを締付けたら、、、、アンカーボルトごと空回りしてしまう、ナットを締付けるとアンカーボルトが抜けてくる、なんてことが起きました。
失敗の原因はコレ
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穴の清掃ができていない
なんども失敗した結果、施工不良となる原因のほとんどは「穴の清掃ができていない」ことだと分かりました。
本来はアンカーとコンクリートを溶剤が強固に固定するはずが、清掃が出来ていないために溶剤がアンカーとコンクリートのすき間に存在するコンクリートの粉や破片と硬化してしまい、アンカーがコンクリートに対して固定されないのです。
現に抜けたアンカーを観察すると、アンカー自体には溶剤が絡みついて硬化しているのですが、溶剤表面にはコンクリートの粉や破片が付着していて、穴のコンクリート側にはほとんど溶剤が付着していませんでした。
単純な失敗ですが清掃を怠ることはありがちです、穴を開けたあとの清掃は「ブラシ」「エアーブロー」「掃除機」を使いしっかり清掃しましょう。
失敗せずに施行する方法
ケミカルアンカーの施工で特に注意したいのは「穴の清掃」ですが、それ以外にも施工の注意点があります。
ケミカルアンカーの施行注意点
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穴の深さ
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ドリルのサイズ
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穴の清掃は必ず行う
- 硬化時間は温度で違う
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アンカーの形状は種類あり
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アンカーの打込み方法は3通り
出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
それでは次項からざっくりですが5項目のポイントを紹介します。
穴の深さ
穴の深さはカプセルタイプの場合、ケミカル本体の全長よりも約10mm~40mm程度深めです。
詳しくはカタログ、取扱説明書で確認する必要があります。
穴あけのポイントは、ドリルに深さの位置をマーキングまたはテープで深さの目印をつけておく事です。
*日本デコラックスの定番ケミカルアンカー「Rタイプ」のデータを載せておきます。
出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
ドリルのサイズ
ドリルの大きさはアンカーサイズ、ケミカルのカプセルのサイズ、よりも大きめのサイズを使用します。
詳しくはカタログ、取扱説明書で確認する必要があります。
*日本デコラックスの定番ケミカルアンカー「Rタイプ」のデータを載せておきます。
出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
参考
*アンカードリルは4枚刃が精度が良いのでおすすめです。下記の記事をご覧ください。
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深さを気にせず簡単施工できるメスアンカー【ヒルティは超おすすめ】
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穴の清掃方法
私が実践している穴の清掃方法を紹介します。
「穴をアンカードリルで開ける」⇒「掃除機で穴を吸う」⇒「ブラシを入れてゴミを掻き出しつつ掃除機で吸う」⇒「穴をエアーブローしつつ掃除機で吸う」⇒「清掃完了」
こんな感じの手順で穴の清掃しています。ブラシは100円ショップでお掃除道具として売っているものを使用していて、エアーブローはホームセンターに売っている「ポンプ式のエアーブロワー」を使用しています。
*ダイソーさんでは「注ぎ口ブラシ」「ボトルブラシ」などの名前で細長いブラシが売っています。
出典:ダイソー ペットボトル洗いブラシ
*ポンプ式のエアーブロワーは下記のような商品です。先端がロングタイプがおすすめです。
出典:SK11 アンカーホールブロワー
硬化時間を守る
硬化時間は温度(気温)によって違います、温度が低ければ長時間、温度が高ければ数十分、で硬化完了となります。
例えばですが、20℃なら1時間以内に硬化完了するタイプが多いです。
未硬化でアンカーを締めると、アンカーが抜ける、空回りする、ことになりますので要注意です。
出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
アンカーの形状
アンカーの形状は使用するケミカルアンカーで指定された形状を使用しましょう。
形状のポイントは2つあります
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先端の形状
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側面の形状
アンカーの先端は、フラット、片面カット、両面カット、など色々な形状があり、どの形状に対応しているか?はケミカルアンカーの種類によって違います。
アンカーの側面の形状は、打込むアンカーの種類によって違いがあります。ねじ、鉄筋、丸棒、などアンカーとなる素材によって側面形状が違い、どの形状に対応しているか?確認しておく必要があります。
出典:出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
アンカーの打込み方法
穴にアンカーを打ち込む方法は大きく分けて3つの方法があります。
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ただ打ち込むだけ
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回転させながら打込む
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回転&打撃で打ち込む
どの方法なのか?カタログ、取扱説明書で確認しておく必要があります。
コンクリートが薄い場合の対処方法
土間コンクリートと呼ばれる地面(床)に打ってあるコンクリートはの厚さは、設備や工作機械の設置を前提としている工場は最低でも200mm以上の厚さがあります。
ところが例外として、100mmの厚さしかない工場もあります。
正確には、土間コンクリートを施工する場合の最低厚さは100mmなので、100mm以上の厚さを確保するために実際には150mm前後の厚さになっています。
実はこの間、こんなことがありました
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穴を130mmの深さで開けたら地面に到達した
ケミカルアンカー施行のために穴を開けたらコンクリートを貫通して地面に到達してしまったことがありました。こうなってしまうと、ケミカルのカプセルは地面の土の中に落ちてしまうので施工はできません。
コンクリートが薄い時の対処方法
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ショートタイプのケミカルアンカーを使用する
出典:出典:日本デコラックス ケミカルアンカー カタログ Rタイプ
そもそもですがアンカーを施行する場合、事前にコンクリートの厚さを確認しておく必要がありますが、特に築30年以上たっているような古い工場はコンクリートが薄いことが多いので要注意です。
話しを戻しまして、、、、コンクリートに深い穴があけられない場合は、ショートタイプのケミカルアンカーを使用することで施行できる場合があります。
日本デコラックスのRタイプのケミカルアンカーの場合は、例えばM16のケミカルアンカーの標準タイプの穴深さが「130mm」ですが、ショートサイズの穴深さは「100mm」となっています。
私もこのショートサイズのケミカルアンカーを使用して施行したことがあるのですが、問題なく施工できました。
もしものときに、是非覚えておきましょう。
ポイントまとめ
それでは、ケミカルアンカーを失敗せずに施行する方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 失敗の原因は「穴の清掃ができていない」ことが多い
- 穴の清掃は「ブラシ」「エアーブロー」「掃除機」を使うこと
- コンクリートのが薄い場合はショートタイプのケミカルアンカーを使うこと
以上3つのポイントです。
関連記事:【締結要素】
以上です。