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【締結要素】

テーパーピンの新旧JIS規格まとめ【精度と硬さ呼び長さの一覧表】

2022年3月11日

 

今回は「テーパーピンの新旧JIS規格」についての記事です。

機械装置を試運転した後の出荷前に、テーパーピンを打つことがあります。テーパーピンは組立後の部品の位置決めの目的で使用します。テーパー部分は1/50テーパになっていて、ピンの長さが50mm長くなるごとに外径が1mm大きくなっているピンです。

私は機械組立をしていて、テーパーピンは日常的に使用するのですが、先日テーパピンの規格を調べていたところ旧JISと新JISについていろいろと疑問が生じたので、今回の記事でまとめておこうと思います

 

テーパーピンの新旧JIS規格【精度と硬さ呼び長さの一覧表】

新旧の流通

テーパーピンのJIS規格は1954年に制定されて1975年に改正されました。これが旧JIS規格と言われているものです。その後、ISO規格に合わせるために1988年に改正され新JIS規格となりました。

 

ポイントはコレ

  • 主流は旧JIS規格

 

めねじ付きテーパーピン

テーパーピン

 

新JIS規格となってからかなり長い年月が経ちますが、現在流通しているテーパーピンは旧JIS規格が主流となっています。

2015年のJIS規格では旧JISの規格表を付属書として記述していますが「将来JIS規格に記述しない」となっています。なので、将来旧JISから新JISに移行してくる可能性があります。

とは言え、それほど大きな違いはないので、今まで通りのやり方の施工方法で問題ないと思われます。

 

旧JISと新JISの寸法の違い

旧JISと新JISの寸法に関係する違いをざっくりまとめると、テーパーピンの径の公差が旧JISがプラス公差で、新JIS規格がマイナス公差です。その他にも微妙に違いがあります。

 

呼び径の違い

  • 旧JIS【1.6】 ⇒ 新JIS【1.5】
  • 旧JIS【13】 ⇒ 新JIS【12】

 

呼び長さの違い

  • 旧JIS【25】 ⇒ 新JIS【24】
  • 旧JIS【なし】 ⇒ 新JIS【26】
  • 旧JIS【なし】 ⇒ 新JIS【30】
  • 旧JIS【36】 ⇒ 新JIS【35】
  • 旧JIS【56】 ⇒ 新JIS【55】
  • 旧JIS【63】 ⇒ 新JIS【60】
  • 旧JIS【なし】 ⇒ 新JIS【65】
  • 旧JIS【なし】 ⇒ 新JIS【85】
  • 旧JIS【なし】 ⇒ 新JIS【95】
  • 旧JIS【110】 ⇒ 新JIS【なし】
  • 旧JIS【125】 ⇒ 新JIS【120】
  • 旧JIS【225】 ⇒ 新JIS【なし】
  • 旧JIS【250】 ⇒ 新JIS【なし】
  • 旧JIS【280】 ⇒ 新JIS【なし】

 

呼び長さの公差の違い

  • 旧JISよりも新JISの方が細かく長さの公差を規定している

 

外径寸法の違い

  • 旧JIS【プラス公差】 ⇒ 新JIS【マイナス公差】

 

旧JIS規格

精度と硬度

現在主流の旧JIS規格のテーパーピンの精度と硬度についてまとめておきます。

 

テーパーの精度は、1/50テーパーのテーパー精度と、表面粗さによって1級と2級に等級分けされています。1級の方がテーパー精度の許容差が小さく、表面粗さも小さいので精度が高いです。

 

旧JISのテーパ精度

旧JISのテーパピンの精度表

 

テーパーピンの硬度の規格は、旧JIS、新JISとも同じ規格です

  • SUS303・・・硬度 HV208~280(HRB93~HRC27)
  • 鋼ピン 熱処理なし・・・硬度 HV125~245(HRB70~HRC21)
  • 鋼ピン 焼入れ焼き戻し・・・硬度 HV255~327(HRC23~33)

*焼入れ焼き戻しをした鋼ピンは「Q」の表記をつける

*鋼ピンには基本的に表面処理はしない

 

テーパーピンの寸法表

旧JIS規格のテーパピンの寸法表です。

 

旧JIS規格一覧

テーパーピンの規格 参考 JIS B 1352-1988

テーパーピンの規格

テーパーピンの規格

 

新JIS規格

精度と硬度

新JIS規格のテーパーピンの精度と硬度についてまとめておきます。

 

新JISはテーパー部の表面粗さによって2種類あります。

  • A種・・・テーパーの表面粗さ Ra=0.8μm
  • B種・・・テーパーの表面粗さ Ra=3.2μm

*旧JISに記述があったテーパー精度については新JISでは記述がありませんでした。

簡単にまとめると、A種の方が凸凹の差が少なく、B種はA種よりも荒いです

 

硬さは旧JIS、新JISとも同じ規格です

  • SUS303・・・硬度 HV208~280(HRB93~HRC27)
  • 鋼ピン 熱処理なし・・・硬度 HV125~245(HRB70~HRC21)
  • 鋼ピン 焼入れ焼き戻し・・・硬度 HV255~327(HRC23~33)

*焼入れ焼き戻しをした鋼ピンは「Q」または「焼入れ」と表記する

*鋼ピンには基本的に表面処理はしない

 

テーパーピンの寸法表

新JIS規格のテーパピンの寸法表です。

 

新JIS規格一覧

テーパーピンの規格 参考 JIS B 1352-1988

テーパーピンの規格

テーパーピンの規格

 

ポイントのまとめ

それでは、テーパピンのJIS規格について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • テーパピンのJIS規格は1988年に改正され新JIS規格となったが、現在主流なのは旧JIS規格のテーパーピン
  • ざっくりまとめると、テーパーピンの径の公差が旧JISがプラス公差で、新JIS規格がマイナス公差です。その他、長さと径の設定にも微妙に違いがある
  • テーパーピンの精度は旧JISが1級、2級で新JISがA種、B種のランク分けがあり、硬度は旧JISも新JISも同じ規格

 

以上3つのポイントです。

 

 

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この記事は【JISハンドブック4-2ねじⅡ2015】を参考にしています。

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以上です。

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