今回は「塩ビとPP配管のバルブのシール材質」についての記事です。
樹脂系配管と言えば塩ビ配管(PVC)やPP配管(ポリプロピレン樹脂)がありますが、このような樹脂系配管は耐薬品性が求められる環境で使用されることが多いです。
使用する液体の種類は多く、その性質も様々なので配管自体の材質だけではなく「シール材質」も重要になってきます。シールが使われている部分にはバルブ/ストレーナー/継手などがあり、シール材質の使い分けが必要です。
そこで今回の記事では、基本となるシール材質のEPDMとFKMの使い分けと見分け方についてまとめておこうと思います。
記事の目次
塩ビとPP配管のバルブのシール材質は種類がある
バルブや継手にはシールの材質はEPDMとFKM
皆さんは塩ビ配管やPP配管のバルブや継手にはシールの種類があるのはご存じでしょうか?私はつい最近までシールの材質に種類があることを知りませんでした。
*注意:旭有機材の配管を例にして説明します。
*下記のカタログでシールの材質を確認してみてください。
出典: 旭有機材株式会社 カタログ
ボールバルブの商品紹介
プレハブの商品紹介
バルブの一覧表
上記のカタログには数種類のシール材の記載がありますが、基本となる材質は2種類です。
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EPDM(エチレンプロピレンゴム)
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FKM(フッ素ゴム)
*基本はこの2種類で、これら以外にもPTFE(フッ素樹脂)やNBR(ニトリルゴム)もあります。
EPDMとFKMの使い分け/材料の特性
EPDM(エチレンプロピレンゴム)は多くの材質の中でも一番オールマイティな特性を持っている素材ですが、唯一の欠点に耐油性が無いことが挙げられます。FKM(フッ素ゴム)は耐油性と耐熱性が高い材質ですが、耐アルカリ性が低い傾向があります。両社の使い分けは使用する環境や液体によって検討しなければなりません。
出典:ニチアス技術情報 EPDMゴムガスケット
EPDMとFKMの特性
EPDMとFKMの耐油性、耐薬品性については、下記のサイトで一覧にまとめられています。詳しく知りたい方は下記のサイトをご覧ください。
シールの注文についてですが、塩ビ配管やPP配管のバルブや継手を注文するとシールの材質を指定をしなければ「EPDM」仕様となり、シール材の単品注文の場合も特に指定しなければ「EPDM」となります。(取引業者によってはシール材質の確認があります)
なので、「FKM」のシールが欲しい時には、シールの材質を指定しないと「EPDM」で入荷してしまうので気を付けた方が良いです。
ちなみにですが、FKM(フッ素ゴム)は燃やして処理すると、発がん性が非常に高いフッ素ガスが発生するので、産業廃棄物として処理するのが基本です。
EPDMとFKMの見分け方
EPDM(エチレンプロピレンゴム)もFKM(フッ素ゴム)も見た目で判別つかないので、判別方法を紹介します。
材質の見分け方はコレです。
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梱包のラベル
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バルブや継手本体のラベル
- 水に浮かべて浮くのがEPDMで沈むのがFKM
梱包のラベルやバルブ/継手本体のラベルにはシール材質の記載があります。ただし、注意したいのがプレハブジョイントの本体にはラベルが貼っていないので、梱包のラベルでしか見分けることが出来ないことです。
ラベルで見分ける方法
梱包のラベルには必ず記載があります。
本体のラベル(ラベルが貼っていないとシール材質は分かりません)
ラベルで判別できないときは、水の中に入れて判断します。
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EPDMの比重・・・0.86
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FKMの比重・・・1.80
比重が1より小さいEPDMは水に浮き、比重が1よりも大きいFKMは水に沈むので材質の判断ができます。
ただ、この方法はEPDMかFKMの2択しかない時の判別方法なので、それ以外の材質が混ざってしまったときには判断が難しくなります。
塩ビとPP配管のシール材質のポイントまとめ
それでは、塩ビとPP配管のシール材質について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 塩ビ配管やPP配管のバルブや継手にはシールの種類がある
- シール材の基本は「EPDM」と「FKM」
- 使分けは、耐油性以外の場所には「EPDM」、耐油性と耐熱性が必要な場合は「FKM」を使う
- 見分け方は、梱包のラベル、本体のラベルの記載を見るか、水に浮かべて判断する
以上4つのポイントです。参考にしてください。
*EPDMのバルブの購入はこちらから
*FKMのバルブの購入はこちらから
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以上です。