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【測定器/工具 /電動工具】

引掛けスパナの種類とピンタイプ破損事例【フックとピンの使い分け】

2023年1月24日

 

今回は「引掛けスパナの種類とピンタイプ破損事例」についての記事です。

つい最近まで、引掛けスパナのことをフックスパナと呼んでいたのですが、実は正式名称は「引掛けスパナ」であり、スパナの先端には「ピンタイプ」と「フックタイプ」があると知りました。

しかも使い方を間違えてピンタイプの引掛けスパナを破損させてしまい、、失態を犯しました。

と言うことで、今回の記事では引掛けスパナの種類や用途や注意点をまとめつつ、破損事例と修理方法を紹介しようと思います。

 

引掛けスパナの種類とピンタイプ破損事例

引掛けスパナの種類

引掛けスパナとは「穴付き丸ナット(丸ナット)」や「溝付き丸ナット(溝ナット)」を締めたり緩めたりする工具のことで、先端の形状と大きさに種類があります。

 

先端形状の種類

  • ピンタイプ
  • フックタイプ

 

引掛けスパナの先端の形状にはピンタイプとフックタイプがあります。

 

ピンタイプとフックタイプ

固定タイプのフックスパナです。

ピンタイプとフックタイプ

 

基本の使い分けとしては、ピンタイプは「丸ナット」や「穴付き丸ナット」と呼ばれる円形のナットの側面に「丸穴」が開いているナットに使用し、フックタイプは円形のナットの側面に「溝」が掘られている「溝ナット」や「溝付き丸ナット」と呼ばれるナットに使用します。

因みにですが、ピンタイプには破損につながる注意点が2つあります。

まず一つ目ですが、ピンタイプは溝ナットにも使用することも可能ですが、接触面積が少ないため一転に応力集中してピンが折れることがあります。二つ目は、スパナサイズと穴付き丸ナットのサイズが適合していないと穴とピンのかかりが浅くなりテコの原理で根元に大きな力がかかりピンが折れることがあります。この二点は覚えておきましょう。

 

溝ナット

ナットの外周に溝があります。フックタイプの引掛けスパナで回します。

溝ナットの外観

 

大きさの種類

  • 固定タイプ
  • 調整式(スライド式)

 

固定タイプは使用できるナットの大きさに限りがあるのでナットの外径に応じて使い分ける必要があります。注意としては、ある程度のナットの大きさに対応できるので、例えばナット外径が「25mm~28mm」までは使用可能ですが、許容を超えたミスマッチな組み合わせで使用すると、スパナの掛かりが浅くなり滑って怪我をしたり部品を破損させることがあります。

調整式(スライド式)は様々なナットの大きさに対応しています。固定タイプよりも使用可能なナットサイズの範囲が広いです。例えば、ナット外径が「35mm~105mm」まで適合と言った感じです。ただし、汎用性と引き換えに、剛性は低くなるので使用用途によっては役不足は否めません。

 

出典:TONE フックスパナ(調整式 )

調整式フックスパナ

 

先端がピンタイプは折れる

フックスパナの先端がピンタイプはフックタイプに比べて強度が低いので、先端のピンが折れることがあります。

ピンタイプは、丸棒をスパナ先端に埋め込んで(溶接OR圧入)いるので、その部分から折れてしまうのです。

 

先端のピンが折れる

先端のピンが折れた

 

私が折ってしまった事例を紹介すると、めちゃくちゃ硬く締まっている溝ナットを緩めようとして、スパナを引っかけてハンマーで叩いていたら折れてしまいました。ナットとスパナのサイズは合っていたのですが、溝ナットにピンタイプの引掛けスパナの組合せでハンマーで叩くような使用方法では全然無理だったようです。

そもそもですが、丸ナットや溝ナットのねじ山のピッチは細目であることが多いので、一度締めると緩みにくくて緩める時は硬いです。なのでハンマーでコンコンしながら緩める方が、腕力で緩めるよりも安全なんです。とは言え、破損させてしまった以上は使い方が悪かったのでしょうから、ハンマーで思いっきり叩くような場合は引掛けスパナを使うのではなく、タガネでどつく方法が最善と言えますね。

 

破損したピンタイプの先端を修理する

折れたピンを除去する

破損したピンタイプの引掛けスパナを修理することにしました。

折れたピンは段付きピンで、ピンの太い部分が6mm、細い部分が5mmとなっていて、5mmの部分が引掛けスパナにハマっている状態です。

まずは、残っている5mmのピンを除去してみます。

 

方法はコレ

  • 残留ピンの中心に5mmのドリルで穴を開ける

 

折れたピンを除去する

折れたピンを除去する

 

引掛けスパナの表側から穴を開けたところ、2mmほど進んだところで残留ピンが丸ごと外れました。

どうやら、溶接で接合していた部分を上手くドリルで削れたのでピンが簡単に外れたようです。

 

 

S45Cの丸棒を溶接

残留ピンが取れたので、新しいピンを溶接します。

元々使用されていたピンは段付きピンでしたが、手元に在庫していなかったので、6mmの丸棒で代用することにします。

 

ピンとして使用した材料

  • S45Cの6mm丸棒

 

丁度6mmのS45Cの丸棒がありました。S45Cは炭素量が多い鋼材なので溶接で熱が入って焼きが入ることを期待しつつ使ってみます。

 

溶接する

折れたピンと修復用の丸棒

S45Cの丸棒

 

ではここで、溶接作業を簡単に説明しておきます。

まず初めに、引掛けスパナの穴のサイズが5mmなので6mmのキリで穴を開けて丸棒が入るようにします。

その後、TIG溶接で表側、裏側を溶接します。

溶接が完了したら、丸棒の根元のビードをリューターで削って丸棒の外径と同様になるように仕上げます。

最後に、丸棒を必要な長さにカットして塗装すれば完成です。

 

TIG溶接して仕上げる

TIG溶接でピンを固定

丸棒を溶接する

溶丸棒の根元のビードをリューターで削って丸棒の外径と同様になるように仕上げ、丸棒を必要な長さにカットして塗装すれば完了です

引掛けスパナの修理完了

 

こんな感じに仕上がりました。いい感じに修理できて満足です。

 

ポイントまとめ

それでは、引掛けスパナについて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 引掛けスパナにはピンタイプとフックタイプがある
  • 穴付き丸ナットにはピンタイプ、溝付き丸ナットにはフックタイプを使用する
  • ピンタイプは折れやすいので「ナットとスパナのサイズを合わせる」と「溝ナットに使用しない」を守る
  • ピンタイプはピンが折れても修理が可能です

 

以上4つのポイントです。

 

*引掛けスパナの購入はこちらから

 

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以上です。

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