今回は「高力六角ボルトの特徴とナットと平座金の組付けの向き」についての記事です。
先日、はじめて高力六角ボルトと言う建築用のボルトを使用したのですが、専用のナットには3つの溝がある面と溝がない面があり、組付けの向きが分かりませんでした。
もう少し詳しく説明すると、高力六角ボルトは平座金とナットをセットで購入してセットで使用するのですが、購入したセットの組合せのナットの向きは「ナットの溝が内側」になっていて、「溝が内側って間違ってないのかな?」と思ったわけです。結論を言えば、ナットの溝は外側で使用しなければなりませんでした。危うく購入したセットの向きで使用するところでした。
と言うことで今回の記事では、高力六角ボルトの特徴とナット、平座金の組合せについてまとめておこうと思います。
高力六角ボルトの特徴とナットと平座金の組付けの向き
高力六角ボルトとは
高力六角ボルトとは建築用のボルトとしてJISのB1186で規格化されている「摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット 」のことで、六角ハイテンとも呼ばれます。
一般的に使用される「一般用のねじ」の強度区分が10.9や12.9をハイテンと呼ぶこともありますが、高力六角ボルトとは規格が違うので混同しないように注意です。
高力六角ボルト
高力六角ボルトのセット。ボルトには等級を表すF10Tの文字がある。ナットには等級のF10を表す3つの溝がある。
高力六角ボルトの特徴まとめ
-
強度と引張が強い
- 再使用はできない
- 六角のサイズが一般用のねじよりも大きい
-
橋梁や鋼構造物などの建築物に使用される
-
締付けはトルク締付けの後に角度締めをして完了となる
-
高力六角ボルト、平座金2枚、ナット、のセット品で使用する
高力六角ボルトの引張り、圧縮、せん断など材料の特性を表す「機械的性質による等級」はボルトが「F10T」ナットが「F10」ワッシャーが「F35」となっており、この組み合わせで使用しなけれなりません。
例えば「一般用のねじ」の強度区分10.9のナットを高力六角ボルトと組合せて使用することは目的の機能を保証できないので禁止です。*高力六角ボルトの機械的性質による等級にF8Tと言う等級もあるようですが、基本的に使用されることは無いようです。
ナットの向きはF10マークが外側
高力六角ボルトのナットには、機械的性質による等級のF10を示す溝が3つあり、このマークがあれば高力六角ボルトのナットであると言えます。
ねじの組付けには、F10の等級マークが外側(反ボルト側)となるように使用します。逆向きに取付けると、設計上の軸力が発揮されない可能性があるので注意が必要です。
高力六角ボルトのナット
高力六角ボルトのナットの側面
高力六角ボルトのナットの外側(反ボルト側)には機械的性質による等級のF10を示す溝が3つあります。
高力六角ボルトのナットの内側はフラットな面になっています。この面に平座金、相手部品が来るように組付けます。
平座金の向きは面取りが外側
高力六角ボルトの平座金(平ワッシャー)には、取付の向きがあります。外周と内側に面取りがある面を表側、面取りがない面を裏側とします。
面取りの向きを間違えると、設計上の軸力が発揮されない可能性があるので注意が必要です。
高力六角ボルトの平座金
引用:高力ボルト検査株式会社 「座金、ナットを逆使いした場合、張力(軸力)はどのようになるか」
ナット、座金を逆使いすると、トルク係数値が不安定となり、共まわりが発生し、本来の張力(軸力)が得られない場合があります。従って、ナット、座金は正しい向きに取付けて使用して下さい。
すなわち、ナットは等級マークが外側になるように、座金は内径面取りがない側を締付け部材側になるよう正しく使用して下さい。
ポイントまとめ
それでは、高力六角ボルトについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 「高力六角ボルト」は建築用のボルトとしてJISで規格化されている
- JIS規格の「一般用のねじ」とは区別されるので混同しない
- ナットは3つの溝がある面を表側とする
- 平座金は面取りがある面を表側とする
以上4つのポイントです。
*高力六角ボルトの購入はこちらから
関連記事:【締結要素】
以上です。