今回は「部品のねじ穴を埋める方法」についての記事です。
穴あけ作業を行ったら「邪魔な穴がある(穴がかぶっている)」、はたまた「間違えて穴をあけてしまった」、、、こんな時、あなたはどうしますか?
そのような時には、穴を埋める方法があります。今回は、穴を埋めると言ってもねじで穴を埋める方法を紹介しようと思います。
部品のねじ穴を埋める方法
機械装置を組立てる上で、追加工はつきものです。しかし、追加工と言う作業は中々上手く行かない事が多々あります。
例えば、加工済みの部品に追加加工で穴あけをしようとした時に、既にあいている穴が邪魔(穴が重なる)だったらどうすれば良いでしょうか?
穴が邪魔な時の対応
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邪魔な穴を埋めて、新規の穴あけをする
このような対応が考えられますね。
では、穴埋めの方法としてはどのような方法があるでしょうか?
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溶接で穴を埋める・・・確実性がある(長所)が、溶接作業ができる状況は限られる(欠点)
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ねじで穴を埋める・・・場所を選ばず施工ができる(長所)が、溶接よりも確実性に劣る(欠点)
このような方法があり、長所と短所の違いがあります。
では例えば、「現場改造でベースフレームの穴を埋めたい」としたらどうでしょうか?
ベースフレームは持運びが出来る部品ではありませんから、取り外して溶接する事はできませんし、溶接作業は材料に熱が入る事になるので、歪の発生によって部品精度が低下する恐れもあります。
そう考えると、この場合は「ねじで穴を埋める」方法が最適となることでしょう。
ねじで穴を埋めて穴をあけなおす方法
ねじで穴を埋める方法はコレです
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ねじを穴に入れ嫌気性接着剤で固めて埋める方法(瞬間接着剤を代用しても良い)
*私はこの方法で幾度となく穴を埋めてきました。
実際の現場では、穴を埋めるだけでなく、さらに穴を開けなおす作業が必要となることでしょう。そこで、穴を埋めて穴を開けなおす作業手順を紹介しようと思います。
作業手順
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ねじ山をパーツクリーナーで清掃して油分やゴミを除去しておきます。
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ねじに強度が強い接着剤を塗布します。ロックタイト638は、はめ合いの永久固定接着剤、ロックタイト262はねじの高強度接着剤です。
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ねじをナットでロックし固定します。
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現場では時間の余裕がありませんので固定時間は30分とします。本来は半日以上の固定時間が欲しい所です。
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グラインダーで余分なねじをカットし、表面を仕上げます。
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ポンチで穴をあける位置に揉みつけます。あける穴の面積は埋めたねじの残りを考慮してください。埋めたねじの残りが半分以下になるとねじが取れてしまう事があります。
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穴あけ、タップ加工をし完了です。
*埋める穴にねじ山がない場合には下準備としてタップ加工をしておく必要があります
それでは上記の手順を写真で確認してみましょう。
参考に、作業過程をご覧ください
注意ポイント
- 嫌気性接着剤の成分は合成樹脂ですので高温に弱いと言う欠点があります
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グラインダ作業でねじが高温になりすぎないように作業をしてください
実用できるか検証してみる
では、上記の方法であけなおした穴(タップ)が実用出来るのか?検証してみましょう。
検証方法
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締付け/緩めを10回繰り返しおこなう
検証の状況は下記の写真をご覧ください。
検証してみた
結果
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締付けとねじ山に異常は起きませんでした。
ねじで穴を埋める方法のポイントまとめ
それでは、ねじで穴を埋める方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 穴を埋める方法は「溶接で穴を埋める」または「ねじで穴を埋める」方法がある
- 溶接で穴を埋める方法は、「確実性」があるが「できる状況」が限られます
- ねじで穴を埋めるは、場所を選ばず施工ができるが、溶接よりも確実性に劣る
- 穴を埋める方法は、ねじを穴に入れ嫌気性接着剤で固めて埋める
以上4つのポイントです。
参考
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*手作業のタップ加工にラチェットタップがおすすめです
*マグネットタッパーは強力で簡単に加工ができます
関連記事:【締結要素】
以上です。