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【作業/工事/ユーティリティ】

【物理的対策)転倒事故の原因と対策を考える【労働災害ワースト1は転倒】

2022年10月12日

 

労働災害とは労働者が業務中に負傷することです。業種で言いますと、「製造業」「建設業」などの体を動かす系の仕事で発生することが多いですね。*通称、労災事故ともいいます。

 

労働災害の発生が一番多いのはコレ

  • 転倒

 

転倒は墜落・転落のように、死亡事故に直結しているわけではないのですが、発生件数が多いので重度な事故につながるリスクが高くなります。なので、転倒を軽視せずにしっかり対策したいところです。

 

出典:厚生労働省 労働災害発生状況 令和3年

労災事故の内訳

 

転倒事故の原因と対策を考える

転倒事故の原因は?

転倒する原因はたくさんありますが、まずは「歩行する環境の問題」と「歩行者自身の問題」に区別してみます。

 

歩行する環境の問題

  • 滑る
  • つまづく
  • 足元が不安定
  • 何かに引っかかる、ぶつかる

 

滑る状況には、「床が濡れている」「靴が滑りやすい」「ワックスや床材が滑りやすい」があります。

つまづく状況には、「床に段差がある」「床ゾロ配線」「部品や資材が置いてある」があります。

足元が不安定な状況には、「床が平面でない」「凹凸がある」「背伸びして作業している」「通路が狭い」「照明がなく暗い」があります。

何かに引っかかる、ぶつかる状況には、通路に「突起物がある」「障害物がある」があります。

 

腰が痛い

 

次に、歩行者自身の問題を考えてみます。

 

歩行者自身の問題

  • ながら歩行
  • 通ってはいけないところを歩く

 

ながら歩行の状況には「誰かとしゃべりながら」「スマホを触りながら」「電話しながら」があり、周囲の状況を正しく認識できない状態です。

通ってはいけないところを歩く状況には、「あえて足元が不安定なところを歩く」「近道して歩きずらいところを歩く」があります。

これら以外にも、高齢者にみられる「筋力不足」が原因ってことがあります。筋力が不足していると、自分の体を支えること、バランスさせること、が衰えているので、歩行する環境が整っていても転倒する可能性があります。これに関しては、改善することが難しく「第三者の介助」によって転倒リスクを低減するしかないと思われます。

 

歩行する環境の対策

「歩行する環境」のリスクを改善するためには「物理的な対策」が有効です。

 

「滑る」の対策

  • 手すりを設置
  • 液体漏れを修理する
  • 滑りにくい靴を着用する
  • 「滑る、転倒注意」の表示をする
  • 滑りにくい床材やすべり止めテープを使用する
  • 液体が流出しないように受け皿や囲いを取り付ける

 

「つまづく」の対策

  • 床ゾロ配線を辞める
  • 通路、床に資材、工具を置かない
  • 床の段差をなくす(フラットにする)
  • 「〇〇mmの段差あり」の表示をする

 

マンホールの修理

 

「足元が不安定」の対策

  • 踏み台、脚立を使用する
  • 照明、ライトを取り付ける
  • 床に板を敷いて安定性を向上
  • モノを移動させて十分な通路、作業エリアを確保する

 

「何かに引っかかる、ぶつかる」の対策

  • 歩行するエリアを白線で明確にする
  • 人が往来するところの突起物と障害物は撤去する

 

このような対策が取れない場合は、対策ができるまで「通行止め」にしておくのが無難です。

 

歩行者自身の対策

次に、「歩行者自身の対策」について考えてみます。

 

「ながら歩行」の対策

  • ながら歩行をしたら罰則
  • ながら歩行のリスクを教育する
  • 「ながら歩行禁止」の表示をする

 

「通ってはいけないところを歩く」の対策

  • 歩行に関する危険予知トレーニングをする
  • 通行できないように「区画する」「閉鎖する」

 

歩行者自身の問題は完全に解決できることは難しいです。なぜかと言えば、人は「正しい行動を不快と感じ、誤った行動を心地よいと感じる」ものなので、予測ができない行動をしがちだからです。なので、教育、トレーニング、罰則、と言った心理に作用する対策では不十分で、物理的な対策と併用するのが得策です。

 

労働災害防止の取り組み

労働災害をゼロにすることはなかなかできませんが、だからと言って危険な状態を放置するわけにはいきません。法律の観点からみても、労働安全衛生法によって労働災害防止の取り組みを事業者(会社)に義務付けています。

 

出典:厚生労働省 労働災害防止

労働災害の取り組み

 

今回のテーマである「転倒」は、日常生活でもよくあることですから、真剣に取り組む心構えが足りない現状があります。やはり、死亡事故に直結する重大リスクにばかり注目してしまうのです。

私はそこに疑問を感じるわけです。注目するところが違うのではないのか?

死亡事故につながる要因はただちに改善しなければいけないのは、もちろんそうですが、小さなリスクをコツコツ改善することも死亡事故を防ぐことにつながってくるはずです。

「作業環境の細かい変化に気が付くようになる」「小さなことも見逃さない意識が作業者に浸透する」「事故発生の複数要因の一を潰すことになるので重大事故につながるリスクが低減する」などなど、目に見えない大きな効果が期待できると思うのです。

そういった意味で、「転倒」の対策にしっかり力を入れていく必要があるわけです。

 

ポイントまとめ

それでは、転倒の労働災害について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 労働災害で一番多いのは「転倒」
  • 転倒の原因には「歩行する環境の問題」と「歩行者自身の問題」があるので区別して対策する
  • 物理的な対策と心理的な対策が必要ですが、人の行動は予測できないので物理的な対策が欠かせない

 

以上3つのポイントです。

 

 

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以上です。

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