今回は「スイングチャッキバルブの分解方法」についての記事です。
チャッキバルブは流体が一定方向にしか流れていはいけない、逆流してはいけない、逆流してしまう、ような状況に欠かせない部品です。中でも鋼管に使用するチャッキバルブは分解が可能な構造になっており、何かしらの理由で分解しなければいけない状況もあるでしょう。
そこで今回の記事では、チャッキバルブの中でも一般的なスイングチャッキバルブの分解方法についてまとめておこうと思います。
記事の目次
チャッキ弁の分解方法
チャッキ弁の構造
チャッキ弁とは逆止弁のことで、一定方向のみに流体が流れることができて、その逆方向には流体が流れない構造になっているバルブです。
鋼管に使用される代表的なチャッキ弁は3種類あります。
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スイングチャッキバルブ
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リフトチャッキバルブ
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ウエハチャッキバルブ
この中でも、一般的に使用頻度が高いタイプは、水平配管でも垂直配管でも使用できるスイングチャッキバルブです。
出典:KITZ バルブの基礎知識 チャッキバルブ
スイングチャッキバルブ
リフトチャッキバルブ
ウエハチャッキバルブ
スイングチャッキバルブの分解ポイント
スイングチャッキバルブは単純構造なので分解は簡単ですが、いくつかポイントがあります。
スイングチャッキバルブの分解ポイントはコレです。
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ジクスのシート面に傷をつけないこと
- ヒンジピンはボディをハンマーで軽く叩くと出てくる
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ヒンジピンのねじを取り付けるときにはシールテープを巻く
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カバーがねじ込みの場合、ねじがものすごく硬いので簡単に緩まない
スイングチャッキバルブ
ジクスとは弁体のことですが、気密を保つためにシール面は機械加工されていて面精度が良い状態になっています。分解したときに、弁体を落としてしまうってことが高確率で起きるので、注意しなければなりません。うっかりジクスを落として、シール面に傷がついたり凹んでしまったら流体が逆流したときに漏れが起きて逆止弁の効果がなくなってしまいます。なので、工具で摘まんで取り出すとか、ウエスを使って落とさないようにキャッチするとか、作業に工夫が必要です。
ヒンジピンはジグスがスイングするための支持軸のことですが、このヒンジピンはボディの中に入り込んでいるので、取り出すのが面倒です。先端が細いラジオペンチのような工具で摘まんで引き抜くこともできますが、チャッキバルブのボディをハンマーで軽くコンコンして振動を与えるのもおすすめです。ボディに衝撃を与えるとヒンジピンがカタカタ踊って抜けてきます。
ヒンジピンはプラグ(ねじ)によって抜けないように固定されていています。分解するときにはこのプラグは取り外すことになりますが、再度組付ける時にはシールテープを巻いてねじ込まないと外部に液漏れしてしまうので注意です。
チャッキ弁のカバーはフランジタイプとねじタイプがあります。フランジタイプはのねじを一つ一つバラせば取り外すことが出来ますが、上記の写真のようにねじタイプのカバーは簡単にはバラせません。と言いますのは、このねじはかなり硬いです。普通の力では緩めることができないので、大きなモンキーやパイプレンチで気合一発で緩めなければいけません。なので、大前提としてチャッキ弁本体はしっかりと固定されていなければなりませんし、緩んだ瞬間や工具が滑った時にはケガをするかもしれないので十分に気を付けて作業をしましょう。
スイングチャッキバルブの分解方法解説
ステンレス25Aのスイングチャッキバルブを題材にして分解してみます。カバーのタイプはねじタイプです。
スイングチャッキバルの分解手順はこんな感じです。
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カバーを取りはずす
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ヒンジピンのプラグを取り外す
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ヒンジピンを取り外す
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ジクス(弁体)を取り外す
チャッキバルブの分解
①カバーを取りはずす
分解ポイントでも説明しているように、カバーのねじは硬く締まっているのでチャッキバルブをしっかり固定して大きな工具で緩めます。
②ヒンジピンのプラグ(ねじ)を取り外す
組付ける時にはプラグにシールテープを忘れずに
③ヒンジピンを取り外す
ハンマーでボディをコンコンすると抜けてくる。工具で摘まんで抜いても良いです
④ジクス(弁体)を取り外す
ジグスのシート面は傷をつけないように
チャッキ弁のよくあるトラブル紹介
実は、チャッキ弁を取り付けて液体を流した液体が流れない、、、、なんてトラブルが結構あります。
その原因は、チャッキ弁の中に入っている「つめ物」を取り忘れていることが多いです。
現場作業では慌ただしく作業をしているので、つめ物を見落としがちです。気を付けましょう。
チャッキ弁の中にはつめ物が入っている
チャッキ弁の中にはつめ物が入っている
注意書きと中身
ポイントのまとめ
それでは、チャッキバルブの分解について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- チャッキバルブとは逆止弁のことで、一定方向にしか流体が流れない
- 代表的なチャッキバルブは3種類あるが、一般的なタイプはスイングチャッキバルブ
- 分解のポイントを押さえておかないと、ケガをしたり、ジグスに傷をつけたり、そもそも分解できないことがある
以上3つのポイントです。
*シールテープを綺麗に巻く方法はこちらの記事で解説しています
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シールテープの巻き方解説【綺麗に巻くポイントはテープの幅】
続きを見る
*私が使用している配管用の液体シールはヘルメシールF-119です
*チャッキバルブの購入はこちらから
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以上です。