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【その他/雑記】

銀行口座と不動産を自分で相続手続きする【法定相続情報一覧図を活用】

2022年1月19日

 

相続手続きの本

 

今回は「銀行口座と不動産を自分で相続手続きする」についての記事です。

先日のこと、私の父親が亡くなりました。まだ70代であったので悔しさがありますが、しかしそうは言っても実際にはそれほど悲しみに打ちひしがれることはありませんでした。

亡くなる半年前に父親から「今までのお前の姿を見てきて、お前に任せたいと思う」と言われていて、経営者であった父の死後の処理や引継ぎを私が行うことになっていたので、私は「やるべきことをやろう」と気持ちを切り替えることが出来たのです。

そこで今回の記事では、相続の中でも割と面倒で難易度が高い不動産と銀行口座の相続について法定相続情報一覧図を活用したやり方をまとめておこうと思います。

 

相続手続きは自分で出来る

亡くなってからやることは沢山ある

家族が亡くなってしまったら、やるべき手続きは山ほどありますので、私が実際にやったことを紹介します。

 

墓標

 

葬儀までに行ったこと

  • 死亡届と世帯主変更

 

葬儀後に行ったこと

  • 印鑑証明の返却
  • 生命保険の請求
  • 携帯電話の解約
  • クレジットカードの解約
  • 免許証、パスポートの返却
  • 健康保険証、介護保険証の返却
  • 国民健康保険葬祭費支給申請書
  • 年金の受給停止と未受給分の申請
  • 水道の契約者名義変更と引落口座変更
  • ガスの契約者名義変更と引落口座変更
  • 電気の契約者名義変更と引落口座変更
  • 電話の契約者名義変更と引落口座変更

 

沢山ありますが、一つ一つかかる時間は長くないので、順番にやっていけば誰でもできます。安心してください。

私は下記の本を購入して各種手続きや相続を行いました。めちゃくちゃ分かりやすいので、皆さんに自信を持ってお勧めできます。

*身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」

 

さて、ここからが本題でして、ここまで紹介した手続きは簡単に終わるのですが、それ以外の相続に関する手続きは結構大変でした。

 

私に該当した相続に関する手続きはコレです。

  • 不動産の所有権移転登記
  • 不動産の根抵当権の抹消
  • 金融機関の口座の解約と名義変更

 

そもそもですが、相続はもめ事の原因なので「遺産分割協議書」を作成し、遺産の分配をきちんと取り決めしておくことをお勧めします。

私の場合は、もめ事に発展することはなく生前父親が言っていたように遺産を分配することで全員が納得したので、その内容を遺産分割協議書に記載して相続人全員に署名と押印をしてもらいました。これさえあれば、後々裁判になっても有効な証拠となるので安心です。

 

参考

遺産分割協議書は決まった書き方がある訳ではないのですが、記載する情報は一字も間違わずに正確に書きます。特に不動産の表記は略式表記であったり、固定資産税を管轄する市役所の税務課の表記と登記の全部事項証明書に記載されている表記に違いがあることがあります。私の場合は登記の全部事項証明書に準じて記載しました。

*参考ひな形はこちら ⇒ 「遺産分割協議書 ひな形」

 

話しを戻しますと、金融機関や不動産と言った故人の財産にかかわるモノは簡単に手続きすることはできません。

 

簡単に説明すると、このようなことを証明しなければなりません。

  • 故人が死亡した証明
  • 相続人が誰なのか?の証明
  • 誰が相続するのか?の証明

 

逆に言いますと、このような証明をするために何が必要なのか?をリストアップして、一つ一つ実行していけば誰にでもできることです。不動産の登記も自分で出来ます。

 

相続の手続きがスムーズに進む証明書

相続の手続きをする前に、相続がスムーズに進む証明書があるので、まずはコレを取得することをお勧めします。

  • 法定相続情報証明書の申請・・・法務局に申請すると法定相続情報一覧図を無料で何枚でも発行してくれる

 

出典:法務局 法定相続情報証明制度について

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度

申請に必要な書類

法定相続情報証明制度

 

法定相続情報一覧図とは相続関係の証明書です。故人が住んでいた住所を管轄する法務局に申請することが出来ます。

これがあれば相続するたびに必要になる、相続人全員の印鑑証明、故人の住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本、などの書類が不要になるので費用の節約、書類の枚数が少なくてミスが少なくなる、などのメリットがあります。

 

参考

法定相続情報証明書の申請については、法務局のHPで案内されていますので、こちらをご覧ください。

⇒ 法定相続情報証明制度の解説(法務局)

⇒ *法定相続情報証明制度の具体的な手続について(法務局)

⇒ *主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例(法務局)

 

ただし、こんなデメリットがあります。

  • 申請してから、発行までに時間がかかる。私の場合は1週間かかった

 

もし、急いで相続を進めたい場合は、すぐに申請できるように事前に準備をしておくか、相続手続きをするたびに必要書類をその場で準備するしかありません。

相続する点数が少なければその都度必要書類を準備する方法でも良いですが、枚数が多くなるので書類の不備があったりすると混乱します。なので、実際に相続手続きをやってみた感想を言えば、法定相続情報証明書を発行してもらう方が良いと思います。

 

不動産と金融機関の相続手続きの方法

ここで紹介する方法は、司法書士に依頼せずに相続人である私が自分で行った方法を紹介します。

*手続は平日にしか出来なかったので、何日か仕事を休んで行いました。

 

不動産の所有権移転登記

不動産の所有権移転登記を行うためには、必要書類を作成して不動産の所在地を管轄する法務局で申請する必要があります。

普通は、故人が住んでいた地元の法務局でよいと思いますが、遠方に不動産を所有している場合は管轄する法務局に直接行くか、オンランで申請する方法しかありませんので、注意が必要です。

 

不動産の所有権移転登記に必要な書類はコレです

  • 登記申請書・・・申請者が作成する
  • 収入印紙貼付台紙・・・白紙でも可。印紙を貼り付けるためのページです
  • 遺産分割協議書・・・相続人全員の署名、押印があるもの
  • 法定相続情報一覧図・・・法務局に法定相続情報証明書の申請をして発行
  • 相続人全員の印鑑証明・・・相続人が住んでいる住所の市役所で発行してもらう
  • 課税台帳記載事項証明書(不動産の評価格)・・・市役所の税務課で発行してもらう

 

遺産分割協議書と法定相続情報一覧図さえあれば特に難しい申請ではありません。法務局で公開されています不動産登記の申請書をダウンロードして作成すればOKです。

もし途中まで作成したけど、本当にこれで良いのか?分からない場合は、法務局で無料相談が受けられます。対面か電話のどちらかで相談できるので活用しましょう。

 

出典:法務局

登記の申請書の記入例

*「申請書の登記識別情報の通知」はチェックしないこと。登記識別情報とは登記簿のことなので、基本的には受け取ります。

登記の申請書の記入例

印紙貼り付け用紙

登記の申請書の記入例

遺産分割協議書の例

遺産分割協議書の例

法定相続情報一覧図の例

法定相続情報証明制度

出典:岐阜市

印鑑登録証明書の例

印鑑登録証明書の例

出典:相模原市

課税台帳記載事項証明書の見本

課税台帳記載事項証明書の見本

 

参考

法務局のHPで申請書のひな形が案内されていますので、こちらをご覧ください。

⇒ 不動産登記の申請書様式について

登記する内容によって種類が多いので、自分の状況に合う書式をダウンロードしてください。

 

書類の作成ができたら、記載事項の文字の間違いがないかしっかり確認してください。私の場合は、一字だけ間違いがあって申請後に電話で「訂正してください」と連絡があり、印鑑持参して再度法務局に行ってきました。特に、不動産の所在、番地、地目など登記されている情報と全く同じになるように気をつけてください。

 

登記完了までの目安はこれぐらいです

  • 書類に不備が無ければ1週間

 

私の場合は1週間でした。ただ、仕事が忙しくなかなか受取に行けなかったので申請から15日後に受取りに行きました。

もし、どうしても受取りが無理な場合は、申請したときに窓口で控えの書類と委任状が貰えるので、委任状に署名、押印して代理人に委任状を預ければ代理人が受取りをすることができます。

 

不動産の根抵当権の抹消

不動産の登記が出来たのも束の間、よくよく調べてみたら土地と建物に根抵当権が設定されていました。

根抵当権とは不動産を一定額の担保にしておき、将来事業などで現金が必要になったら一定額までは何度でも借り入れできる権利で、金融機関は一定額の範囲で何度でも融資することになります。

私の場合は、父親が事業をしていたので金融機関と根抵当権を設定していたのでした。これは、銀行で相続手続きをしていた時に融資課の方から「根抵当権の設定がされていますが、どうされますか?」と言われたことがきっかけで気が付きました。確かに、不動産の全部事項証明書を確認したら、いくつか設定されていた抵当権と根抵当権のうち、1つだけ残っていることが分かりました。

と言うことで、今後金融機関から事業で借り入れをする予定はないので、根抵当権を抹消することにしました。

 

根抵当権の抹消の申請に必要な書類はコレです

  • 登記申請書
  • 登録免許税貼り付け台紙
  • 委任状
  • 根抵当権設定契約書(解除の署名押印あり)

 

登記申請書と登録免許税貼り付け台紙は法務局のHPからダウンロードできるので、所有権移転登記をしたときと同じように申請書を作成します。ただ、内容については所有権移転登記と違いがあるので、間違えないように一つ一つ確認しましょう。

参考

法務局のHPで申請書のひな形が案内されていますので、こちらをご覧ください。

⇒ 不動産登記の申請書様式について

登記する内容によって種類が多いので、自分の状況に合う書式をダウンロードしてください。

 

根抵当権設定契約書は金融機関と根抵当権設定をした時の契約書ですが、この契約書に金融機関の代表者の署名、押印、根抵当権の抹消の旨の記載をして返却してもらいます。

委任状は金融機関が申請者に根抵当権抹消の申請を一任するために必要なので、根抵当権設定契約書と同様に、金融機関の代表者の署名、押印、根抵当権の抹消の旨の記載した委任状を受け取ります。

出典:法務局 根抵当権の抹消の申請書類

根抵当権抹消の申請書

根抵当権抹消の申請書

登録免許税貼り付け台紙

根抵当権抹消の申請書

登記原因証明情報は金融機関から返却された根抵当権設定契約書に解除の署名押印があれば不要です

登記原因証明情報

委任状は自分で申請するなら金融機関の署名、押印があるモノが必要です。私の場合は、根抵当権設定契約書を返却してもらったときに、委任状も一緒に頂けました。

委任状

 

根抵当権抹消のポイントをまとめると以下の3点です。

  • 順位番号を全部事項証明書を取得して調べておくこと
  • 登録免許税は土地又は建物1個につき1000円となる
  • 申請から抹消までには1週間程度かかる

 

順位番号とは不動産の全部事項証明書の権利部の乙区に記載されている順位番号のことです。全部事項証明書は法務局の窓口で誰でも取得できますので、申請書を作成する前に取得しておきます。

根抵当権の抹消には登録免許税が掛かります。土地が3つで建物が1つなら合計4000円の収入印紙を申請書に貼ります。

根抵当権抹消は相続の所有権移転登記とは違い、今手元にある書類(そろっている書類)によって「何を作成すればいいのか?」に違いがあるので、かなり分かりにくかったです。銀行から返却された根抵当権設定契約書と委任状にどのような内容が記載されているか?によって付属させる書類が変わってくるのです。なので、私の場合はある程度書類を作成したのちに、法務局の無料電話相談で必要書類について聞きました。その結果、なんの不備もなく一発で根抵当権の抹消ができました。

 

金融機関の口座の解約と名義変更

金融機関の口座を相続するために私が用意した書類はコレです

  • 法定相続情報一覧図
  • 口座の遺産分割協議書
  • 相続人全員分の印鑑登録証明書
  • 通帳やキャッシュカードやネットバンキングのトークン機器

 

この3つの書類があれば、その場で相続手続きが完了します。

法定相続人情報一覧図があれば、被相続人の死亡診断書や戸籍謄本は不要です。

遺産分割協議書を間違いなく作成するためには事前にどこの金融機関に口座があるか調べておく必要があります。金融機関名、口座番号、名義などです。私の場合は父親個人名義のものと会社名のものとありました。また、相続人の印鑑登録証明書は遺産分割協議書の実印が本物なのか?証明するために必要です。

通帳やクレジットカードなどは紛失したってことにすれば返却しなくてもOKです。ただし、紛失届の書類を別途書かないといけないかもしれません。

 

出典:横浜銀行 残高証明書見本

残高証明

 

金融機関の口座の相続にはいくつかのポイントがあります。

  • 残高証明書の発行をしてもらう
  • 遺産分割協議書の普通預金と総合口座の表記を間違えないように
  • 口座は名義変更して引き継ぐことが出来るが、できない金融機関もある

 

残高証明書は相続税の申告に必要になるので別途費用が掛かりますが、取得した方が良いです。ただし、残高証明書は被相続人が死亡した日の残高になるので、相続したときの残高と差異があるかもしれません。私の場合は、いくつかある口座の中で父親が死亡したあとも凍結されずに生き続けていた口座があり、年金の入金や引落などがあって残高に違いがありました。これは実際に相続した金額を証明するのに矛盾が発生するので、いったいどうすれば良いのか?不安になりますが、まだ相続税の申告をしていないので現段階ではどのようになるか分かっていません。

口座には普通預金と総合口座の種類があり、普通預金は預金の出し入れのみで、総合口座は普通預金に加えて定期預金ができる口座です。遺産分割協議書の記載を普通預金と総合口座を記載間違いすると金融機関によっては受付けてもらえないかもしれませんので注意が必要です。

金融機関の口座は口座番号はそのままに名義だけ変更して引き継ぐことができます。例えば、思い入れのある口座であったり、番号のゴロが良いとか、事業用の口座をそのまま継続して使用したい、といった場合には名義変更がおすすめです。ただし、金融機関によっては名義変更ができない場合もあります。私の場合は地方銀行の口座は名義変更できましたが、信用金庫の口座は名義変更が不可で解約の対応になってしまいました。

 

ポイントのまとめ

それでは、相続手続きについて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 相続の第一歩は遺産分割協議書を作成すること
  • 遺産分割協議書の作成には不動産と金融機関の把握をすること
  • 相続手続きには法定相続情報一覧図を法務局で取得すると、後々の手続きがはかどる
  • 不動産の登記で分からないことがあれば、法務局の無料相談を活用するのがおすすめ
  • 口座の相続は名義変更できる場合とできない場合がある

 

以上5つのポイントです。

*相続手続きが心配でしたら、相談サポートをご利用ください。全国から法律事務所を紹介してくれます。

 

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以上です。

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