今回は「人間の行動と心理を理解してデザインする本」についての記事です。
先日、工作機械見本市のメカトロテックジャパン2021に行ったところ日刊工業新聞社さんのブース「よくわかるデザイン心理学」という本を見つけました。
モノづくりをしている人やヒューマンエラーについて学んでいる人には非常に参考になる本だと思うので、今回の記事で紹介しようと思います。
人間の行動と心理を理解してデザインする本
ヒューマンエラーから学ぶこと
私は機械装置メーカーに勤めていますが、「人間がミスを犯してしまう=ヒューマンエラー」について関心がありました。
ヒューマンエラーとは「どんな人間でもエラーを起してしまう」ことなのですが、例えば、ボタンの押し間違いで「死亡事故」が起きてしまうのがヒューマンエラーです。
過去の航空機事故を振り返れば、こんな単純なミスが起きているわけです。
私は最近「人間が扱うモノ」=「デザイン」に注目しています。失敗したくて失敗する人はいないわけではないので、扱うモノのデザインが悪くて失敗やミスをするのではないか?ってことです。
逆に言うと、人間が失敗やミスをしない「デザイン」であればヒューマンエラーはかなり少なくなるのではないか?と考えています。
例えばこんなデザインはどうでしょうか
これは石油ファンヒーターの操作ボタンです。
さて、温度調整をしたいときに、どのボタンを押せばいいのか?瞬間的に分かりますでしょうか?
一瞬迷いませんか?
これが、デザインの影響なんです。
よくわかるデザイン心理学
ヒューマンエラーを少なくするヒントを探してていたところ、デザインに関する面白い本を見つけたので紹介します。
デザインの勉強に参考になった本はコレです
-
よくわかるデザイン心理学
よくわかるデザイン心理学
本の中身はこのような構成になっています。
-
第1章 デザイン心理学とは
-
第2章 デザインへのヒント 人間の特性を知る
-
第3章 シニア向け商品をデザインする
-
第4章 ノートをデザインする、文字をデザインする
-
第5章 空間をデザインする
-
第6章 色とデザイン
-
第7章 科学的根拠が求められる理由
この本を読むと、人間の行動と心理がいかなるものなのか?を理解できるので、デザインの考え方を学ぶことが出来ます。
なので、この本を読んだからと言って「どんなデザインにすればいいのか」がダイレクトに分かる訳じゃありません。デザインの考え方を学ぶ本です。
学んだこと
よくわかるデザイン心理学を読んでみて、学んだことをまとめておきます。
デザインに関係する人間の特性
-
「心地よい空間=雰囲気」には個人差がある
-
製品は「第一印象=デザイン」で評価される
-
人間は美しいデザインの製品を使いやすいと感じる
-
人間は自分でやりたい欲求、言うことを聞かせたい欲求がある
-
人間の行動を変化させるためには、さりげなく仕向けること
-
「人間の感覚」と「物理的な尺度(数値)」にはギャップがある
-
人間は無理に押し付けると反発する心理がある=心理的リアクタンス
-
人間には現状維持バイアスの特性があり、無意識に変化を避ける人が多い
-
人間は自分の好まないモノを無意識に避ける性質がある。心地よいものを求める
-
人間は目に入る情報を個別に注目して順番に処理するので、瞬時に気が付かない
デザインする上で注意しなければいけないこと
-
視覚的ストレスは大人より子供の方が受けやすい
-
「書体やフォント=文字」は相手に情報を伝える道具なので、識別性と可読性が高い文字が重要
-
色は感じ方に差がある。冷たく感じる、暗く感じる、大きく感じる、小さく感じる、明るく感じる、暗く感じる、がある
-
人間は規則性がある目に入る情報(視覚情報)に不快感を感じて、気分が悪くなったり、体調不良になる。これが視覚ストレス
-
視覚ストレスにはストライプパターン(しましま)とフリッカー(点滅)があり、明るさ、大きさ、周期などによってストレスの大きさに違いがある
まとめ
今回は、ヒューマンエラー対策の参考になるデザインの本を紹介しました。
気になったら購入してみてください。
*よくわかるデザイン心理学の購入はこちらから
関連記事:【社会の仕組み/本紹介/雑記】
以上です。