墨打ち作業は、機械装置の位置を決めるために重要な作業です。墨打ち作業は墨ツボやマジックなどを使用して線(芯)をケガくのですが、実はこの線(芯)は消えてしまうことがあります。もし、消えてしまうと作業が遅れるばかりか作業の精度も低下してしまうでしょう。
そこで今回の記事では、墨が消えない方法に焦点をあてて私のやり方を紹介しようと思います。
記事の目次
墨打ちとは
組立における墨打ちとは主に据付などに必要な芯(基準線)をFLに描くことです。
この芯(基準線)は非常に重要で、間違ったり消えてしまったりすると作業の後戻りが発生します。
仮に墨打ちをやり直す場合に、据付がある程度進んだ状態だと装置や資材が邪魔で簡単には墨打ちをやり直すことができないことが予想されます。ですから、そう言った事態が起きないように墨打ちは間違いがなく、墨が消えない工夫が必要なのです。
墨と装置芯
芯を描く道具
芯を描く道具は、例えば下記のような道具を使います。
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墨つぼ(チョークライン)
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油性マジック
墨つぼ
墨(墨汁)を糸に浸み込ませて、墨を含んだ糸を線を描きたいモノ(FLや材料)に弓を弾くように接触させます。「墨の痕を付ける=線を引く」です。
出典: 株式会社TJMデザイン TAJIMA 墨ツボ
油性マジック
油性マジックと直尺で線を描きます。
マジックの細い方を使う
墨打ちの道具の特徴と問題点
墨つぼと油性マジックがどのようなものか説明しましたが、では両者の特徴はどのようなことがあるでしょうか?
特徴
耐久性 | 消す方法 | FLの状態が悪い場合 | 描く距離 | |
墨つぼ | 低い | 水拭き | 影響されにくい | 長距離に向いている |
油性マジック | 高い | シンナーなど | 描きにくい、作業が出来ない | 短距離に向いている |
両者にはこのような特徴を持ち合わせていますので、状況に応じて使分けをすれば良いでしょう。
ただし両者に共通して大きな問題があります。それはいくら気を付けても「線(墨)が消えてしまう」ことがあるのです。
なぜ線(墨)が消えるのか?
なぜ、線(墨)が消えるのでしょうか?
私の経験によりますと、下記の2点に絞られます。
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FLに汚れ/油が付着していて、その上に墨打ちをした
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重機や人の往来などで擦れて線が消えた
殆どの場合がこの2点です。
墨が消えない対策にはヘアスプレーとクリアスプレー
消える理由の1点目の「FLに汚れ/油が付着していて、その上に墨打ちをした」についてはパーツクリーナーなどでしっかりと清掃するしかありません。汚れ/油の上に墨打ちしたものを維持する事は難しいです。
消える理由2点目の「重機や人の往来などで擦れて線が消えた」については十分な対策が可能です。その対策方法とは「墨打ちをした線にスプレーをする」です。(スプレーが使用可能な環境に限ります。スプレーがNGでしたらニスのハケ塗りが良いかもしれません。)
私がおすすめするスプレーは下記の2点です。
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ヘアースプレー
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クリアスプレー(ラッカー)
それでは、この2種類のスプレーの特徴を比べてみましょう。
スプレーの特徴一覧
耐久性 | 消す方法 | |
ヘアースプレー | 低い | 水拭き |
クリアスプレー(ラッカー) | 高い | シンナーなど |
芯(線)が墨でもマジックでもどちらでもヘアースプレーとクリアスプレーが使用できますので組合せは自由です。
描き直しを考えて容易に消したい場合には墨つぼ&ヘアースプレーが良いでしょうし、FLの状態が悪く汚れなどがあり消えてしまう可能性が高ければマジック&クリアスプレーが良いでしょう。
FLの状態が悪く、パーツクリーナーでの清掃とマジック&クリアースプレーで描いた
スプレー使分け
それでは、私の場合のスプレーの使い分けを紹介しておきます。
ヘアースプレー
ヘアースプレーは屋内環境や液体を使用しない状況で使用します。
私の経験では2か月の据付工事でフォークリフトなどの重機や作業者の往来がある中でも消えずに残っていた実例があります。

クリアースプレー
クリアスプレーは屋外環境(屋外に近い環境)や液体を使用する状況で使用します。
悪環境で効果的です。簡単に消える事はなく恒久的に残す事も可能だと思います。
墨打ちのポイントまとめ
それでは、墨打ちついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 墨打ちとは、FLに基準線を描くこと
- 墨打ちには、墨ツボ(チョークライン)や油性マジックを使用する
- 線(墨)は消えてしまうことがある
- 線(墨)が消えない対策に、ヘアスプレーとクリアスプレーがおすすめ
以上4つのポイントです。
現場作業をやられている方は墨打ちの重要性を理解されていると思いますし、その反面線が消える経験をされた事があると思います。今回紹介したスプレーは手軽に実践できる方法で耐久性もありますので、一度試して頂きたいです。
*墨打ちを間違えない方法はこちらの記事をご覧ください。
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墨打ちを失敗せずに確実におこなう考え方と心得【機械据付のキホン】
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以上です。