今回は「丸ダクトとスパイラルダクトの差込接続はドリルビス(テクス)とアルミテープで施工する」の記事です。
ダクトの施工は、機械装置に比べれば精度も低く、大雑把だと言えるかもしれません。しかし、ダクトにはダクトのやり方、注意点があり実際にやってみると意外と難しい作業です。
そこで今回は、スパイラルダクトを代表とする、ダクトの差込接続の方法についてまとめておこうと思います。
記事の目次
丸ダクトの区別とスパイラルダクト
丸ダクトとは断面が円形のダクトですが、丸ダクトは製造方法によってスパイラルダクトと巻きダクトに区別されます。
丸ダクトの区別
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スパイラルダクト・・・鋼板をらせん状に巻いて、機械によるカシメ(はぜ折り)で接合された、断面が円形の規格化されているダクト。
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巻きダクト・・・鋼板を圧延機で円形にし、溶接によって接合された断面が円形のダクト。図面によって製作するダクトなので、規格化はされていませんが、スパイラルダクトの規格に準じるのが基本です。
*はぜ折りとは、折り曲げて接合する板金技術で、手作業か機械で施工ができます。
出典:株式会社栗本鐵工所 スパイラルダクト総合カタログ
丸ダクトには上記のように2つの種類がありますが、私の使い分けを説明しますと、
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スパイラルダクト・・・施工する時に特に指定が無ければ、規格化されたスパイラルダクトを使用
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巻きダクト・・・強度や耐久性を考慮した場合には、材質や厚さを指定して巻きダクトを使用
このような基準で使い分けをしています。
丸ダクトの接続方法
丸ダクトの接続方法は2通りの方法があります。
接続方法
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差込接続・・・直管にソケット(ニップル)、エルボ、レジューサー、Y管などの継手を差込んでで接続
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フランジ接続・・・直管と継手の端にフランジを取付けて、フランジ間はガスケットとボルトナットで接続
*補足・・・フランジにはルーズフランジと固定フランジがあります。ルーズフランジは円周方向に回転するので穴位置を気にする必要がなく、固定フランジはフランジの角度を変えられないので接続の向きに注意が必要です。
差込接続とフランジ接続の方法のうち、スパイラルダクトは、現場で切断して現合で施工することが前提なので、基本的には差込接続となります。
*スパイラルダクトを溶接やコーキングによって追加工して、フランジ化しているモノも見かけることもあります。
スパイラルダクトの差込接続の方法
それでは、ここからはスパイラルダクトの差込接続の方法について解説をしていきます。
まず初めに、知っておくべきことは
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スパイラルダクトの差込接続は、ただ差し込めばいいわけではなく、差し込んで固定と気密処理をする必要がある
と言うことです。
固定と気密処理の作業は簡単なので、この認識をないがしろにしがちですが、基本なので再確認しておきます。
スパイラルダクト
では次に、差込接続の固定と気密接続の作業ポイントですが、、、
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固定・・・差込部に4本のドリルビス(テクス)を打ち込んで固定する
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気密処理・・・アルミテープかコーキングで気密処理する
このようなことが言えると思います。
では、この2つのポイントについて解説していきます。
差込部に4本のドリルビス(テクス)を打ち込んで固定する
ドリルビスとは、薄板固定用のねじで、先端がドリル形状となっているので下穴は不要です。私の周りでは「テクス」と呼んでいます。
ドリルビス
ドリルビスには、ねじの頭がなべタイプと皿タイプがあります。
ドリルビスでダクトを固定する場合には、差込部に均等割りで4本打ち込みます。
本数が4本以下だと、差込部が安定しないので「曲がり」「折れ」の原因となり、4本の打ち込みであれば「固定」「安定」は十分です。逆に、4本以上打ち込んだ場合は「固定」「安定」に殆ど変化がないので、必要以上に打ち込む意味はないと思います。
もし、工具や体が入らないなどによって、4本打ち込めない場合には3本でも良いでしょう。安定性は欠けますが、それほど問題にはならないと思います。*3本以下固定は全く安定しないので避けてください。
テクスの打ち込みのイメージ図
さて実際に、ダクトにテクスを打ち込む作業をおこなってみると、意外と難しい作業と分かります。
特に、スパイラルダクトような円形ですと、打ち込む時に左右のどちらかにズレてしまったり、脚立や高所作業車での上空作業となると力が入らないので、テクスを落としてしまったり、穴が開かなかったりと苦労します。
難しい作業ですが、このような状況に陥らないために、最低限守るべきポイントがありますので紹介します。
インパクトとビットとビス
インパクトの先端には、ドリルビスのサイズにフィットするビットを使用しましょう。
最低限守るべきポイント
- ステンレスのダクトには、ステンレスのテクスを使用する。鉄のテクスは、ドリルの先端がなめてしまい、穴が開かないので使用しない。
- テクスの打ち込みは、打撃&回転の力が必要なので、充電式のインパクトドリルドライバを使用する
- インパクトドライバーの先端工具(ビット)はテクスの頭にしっかりフィットするモノを使用する。
これらは、最低限守るポイントであり、作業の難易度が低くなるわけではありません。うまく打ち込めるようになるためには、作業の回数をこなして感覚で覚えましょう。
ドリルビスの打ち込み
アルミテープかコーキングで気密処理する
スパイラルダクトの差込接続は、アルミテープかコーキングをして気密処理をします。
アルミテープとコーキングを比べてみますと、、、
アルミテープ | コーキング | |
施工の手間 | 張るだけなので簡単 | 養生や乾燥など、時間がかかる |
気密性 | やや低い | 高い |
それぞれの特徴を考慮すると、差込部分の気密はアルミテープ施工、ダクトの折り曲げ部(はぜ折り)や溶接部などの小さな隙間はコーキング、が基本となります。
稀に、差込部にコーキングしているダクトもありますが、それは気密を重視した施工になります。
アルミテープの施工
アルミテープの貼り付けは簡単な作業なのですが、下記の2つのポイントを押さえておきましょう。
- 張り付ける量は、1周半前後が基本。張りすぎても気密性に変化なく、アルミテープの無駄となります。
- アルミテープは、アルミ箔のテープ使用する。アルミテープには種類があるので使い分けが必要です。
アルミテープの種類については、次項にまとめておきます
アルミテープ種類
アルミテープは材質の違いによって3種類あります。
アルミテープ
左上=アルミ箔のアルミテープ
右下=クラフトアルミテープ
アルミテープの特徴一覧
アルミテープ | クラフトアルミテープ | アルミガラスクロステープ | |
価格 | 普通 | 安い | 高い |
材質 | アルミ箔 | 紙とアルミを張合わせたテープ | ガラスクロスとアルミを組合せたテープ |
カット方法 | 手で切れる | 手で切れる | ハサミ |
厚さ | 0.1mm前後 | 0.1前後 | 0.3mm前後 |
強度 | 強い | 普通 | 強い |
剥がしやすさ | 剥がしやすいが千切れる | 剥がしにくい、破れる | 剥がしやすい、千切れない |
使用される部分 | ダクトの差込 | 低温の保温やカバーの継ぎ目 | 高温の保温の継ぎ目 |
今回の使用目的である、スパイラルダクトの差込部の気密には、アルミ箔のアルミテープを使用することが基本となります。
その理由には、テープの強度が高く、硬さと柔軟性が丁度良いので継ぎ目の凹凸にしっかりと密着することが挙げられます。
スパイラルダクトの差込接続まとめ
それでは、スパイラルダクトの差込接続の方法についてまとめておきましょう。
スパイラルダクトの差込接続のポイント
- ドリルビスで固定する
- アルミ箔のアルミテープを張り付ける
- テープは1周半張り付ける
- ステンレスには、ステンレスドリルビスを使用する
- 先端工具のビットのサイズは、ドリルビスにフィットするモノを選択
- ドリルビスの打ち込みには、インパクトドライバーを使用する
以上、6つのポイントです。
まとめ
私は、現場作業で直径800mmのスパイラルダクトの施工をしたことがありますが、高所作業車での作業に付け加え、口径が大きいため非常に大変な作業でした。しかし、大変な作業だった半面、楽しくもやりがいのある作業でした。ダクトはダクトの難しさがあり、どのような作業であっても侮ってはいけないと言うことですね。
*私のおすすめのインパクトドライバーはマキタ製
*ドリルビス(テクス)の購入はこちらから
*アルミテープの購入はこちらから
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以上です。