ノギスは扱いが簡単であまり気を遣う必要がないので定番の測定器です。アナログの場合、測定単位0.05mmと0.02mmがありますが、バーニア目盛りのズレをしっかりと見極めることが出来れば1/100単位を読み取ることができるので、とても優秀な測定器です。例えば、ノギスとマイクロメーターで測定した場合、正常なノギスで正しく測定できればマイクロとの測定値の差はほぼありません。
と言っても、それはノギスが正常な状態であるかどうか、がポイントになります。
一見、測定面のジョウが正常でも、実際触ったらスライダの動きが悪い、、、結構あるあるです。ではどうすれば良いのか?
私は油砥石でスライダをスムーズに動くようにすることがあります。
動きが悪いノギスは油砥石で面修正すればスムーズになる
スライダの動きがぎこちない
寸法を測定するときの定番の測定器にノギスがありますが、使用しているうちに動きの調子が悪くなることがあります。
ノギスの良くある不調
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スライダの動きがぎこちない
ノギスの測定では、必ずバーニア目盛りが付いているスライダ部を滑らせて測定することになるのですが、このスライダの動きがぎこちなくなって「ひっかかる」「重たい」と言った現象が起きることがあります。
ノギスの不調
動きがぎこちない原因
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本尺にゴミ、汚れ、がある
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本尺の摺動面にバリがある
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止めねじ、板バネ部分が変形している
このような原因が考えられるので、まずは本尺をウエスで拭き取り、清掃、するのが先決です。
それでも、もしスムーズに動かなければ摺動面のバリを疑います。
これは私の予測ですが、ノギスの材質はステンレスなので粘りが強く熱伝導が悪い特徴があります。なので、激しくスライドさせる、強い力で測定物を抑える、異物が付着したままスライドさせる、止めねじで板バネを抑えたままスライドさせる、などの行為によって摩擦熱が発生しかじりが起きるのではないかと思っています。
本尺の摺動面に砥石をかける
本尺の摺動面のバリが疑わしい時の対処方法はコレ
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細目、極細の油砥石で面修正する
あまりやりたくはないのですが、摺動面のかじりなどを修正するために行っています。
ですが、この方法は測定器メーカーさんが公認している方法ではないと思うのでお勧めはしませんので、自己判断でお願いします。
ノギスの摺動面
砥石の粒度は細かいものがおすすめで、細目、極細を使用します。
細目以上に粗い砥石だと、摺動面を削りすぎる、面粗度が荒くなる、ことになり測定の精度誤差が大きくなったり、スライダーの動きが悪化する可能性があるためです。
油砥石をかける
砥石と摺動面に油を塗布して、数回往復させます。かじりなどの面のバリはこの程度で除去できるはずです。
やりすぎると測定時の精度誤差が大きくなるので慎重に行います。
砥石をかけ終わったら、パーツクリーナー、アルコールなどの洗浄液とウエスで綺麗に清掃し、スライダの動きを確認してください。
もし、動きが多少改善された程度なら、もう一度砥石をかけてみることもアリですが、全く改善されていない場合は止めねじ、板バネ部分に問題があると思われますので、自分で分解するか心配であればメーカーでO/Hをしてもらうほうが無難です。
*油砥石の使い方については、下記の記事で紹介しています。
ポイントまとめ
それでは、動きが悪いノギスについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ノギスはスライダの動きが悪くなることがある
- 摺動面にバリがあると動きが悪くなる
- バリは油砥石の細目、極細を使って除去できるがおすすめはしません
以上3つのポイントです。
参考
ノギスの解説はこちら
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ノギスの精度と注意点【測定範囲と種類 】
続きを見る
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関連記事:【測定器/工具 /電動工具】
以上です。