今回は「PP配管(ポリプロピレン)の特徴と接合方法」についての記事です。
皆さんは材質がポリプロピレンのPP配管を知っていますか?PP配管は樹脂系配管の一種ですが塩ビ配管と違い一般的ではないので、あまり認知されていないと思います。
今回の記事では、PP配管の特徴から作業ポイントと接合方法について私の経験を踏まえて紹介しようと思います。
記事の目次
PP配管(ポリプロピレン)の特徴と接合方法
PP配管とは
PP配管とは、材質がポリプロピレンのパイプと配管継ぎ手によって構成される樹脂配管です。
一般的に樹脂配管と言えば、塩ビ配管と呼ばれるPVC素材の配管が使用されていることが多いのですが、このPP配管は塩ビ配管が不向きな環境で使用されます。
参考
*塩ビ配管についてはこちらの記事をご覧ください。
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塩ビ配管の種類と接着剤の使分け【PVCとエスロン】
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PP配管の特徴
PP配管には多くの特徴がありますが、私が感じている一番の特徴はコレです。
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耐熱性に優れている
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耐薬品性のバランスが良い
PP配管は塩ビ配管と同様に耐薬品性に優れていますが強酸に弱い傾向があります。
耐熱性はPP配管の方が優れており、温度が高い薬品の配管に使用されることが多いと思います。
*PP配管の耐薬液性は下記のようになります。
耐薬品性(詳しい資料はリンクをクリック)
優れているところがあれば欠点もあるわけで、樹脂配管で一般的な塩ビ配管と比べると下記のような欠点があります。
- 配管の接合・・・溶かして接合するので、溶着機と作業経験が必要で時間もかかる
- 熱膨張係数・・・耐熱温度が高いがPVCよりも熱膨するの伸縮対策が必要
- 耐候性・・・耐候性が低いので、屋外での使用は劣化を速める。もし使用する場合は露出しないように覆う
詳しい特徴は下記のPP配管と塩ビ配管の特徴一覧をご覧ください。
PP配管(ポリプロピレン) | 塩ビ配管(PVC,ポリ塩化ビニル管) | |
耐薬品性 | 幅広く使用可能だが強酸に弱い傾向 | 幅広く使用可能 |
耐有機溶剤 | 良好 | 弱い、溶ける |
耐熱性 | 90℃まで | 常温~60℃まで(種類による) |
熱膨張係数( ×10-5/℃) | 11(PVCよりも熱膨張する) | 7 |
対候性 | 耐候性は低い、屋外での使用は注意 | 良好だが劣化は進行する |
難燃性 | 燃えやすい | 燃えるが自己消火性がある |
機械的強度 | 良好 | PPよりも強い |
電気絶縁性 | 絶縁するが帯電しやすくなる | 絶縁するが帯電しやすくなる |
比重 | 0.9前後 | ~1.4(水に沈む) |
接合方法 | 融着、ねじ込み | 接着、ねじ込み |
見た目の色 | 乳白色が多い | 灰色(VP)褐色(HI)褐色(HT) |
価格 | 高価 | 安価 |
入手のしやすさ | 配管材の小売店で購入。一般的に流通していない。 | ホームセンターで入手できる |
PP配管の接合方法
PP配管を接合する上で重要なことがあるので確認しておきましょう。
PP配管の重要なことはコレです
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融着接合
PP配管の接合は、塩ビ配管のように接着材で接合することができないので加熱して溶かして接合する融着接合となります。
これは、PPパイプと継手の両方を溶着機で加熱して差込み面を溶かしてから、パイプと継手を差込み冷却して接合する方法です。
ねじ込みの継手もありますが、それはねじが切ってあるパイプをPP配管に変換するときに使用するもので、PPパイプにねじを切って施工するためのではありません。(PPパイプにねじを切るためには工作機械の旋盤が必要になります)
出典:旭有機材株式会社 PPパイプ・継手 カタログ
融着機
では次に、PPの融着接合にはデメリットがあるので確認しておきましょう。
融着接合のデメリットはコレです。
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融着機が必要となる
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作業の経験がないと施工不良になる
融着はPPパイプと継手を加熱する必要があるので専用の融着機が必要となります。また、一般的な樹脂系配管と言えば塩ビ配管なのでPP配管を施工したことがない作業者も多く、たとえ経験者でも熟練に達していないこともあるので、ぶっつけ本番でPP配管をすると施工不良になって、漏れや寸法が合わない事態が発生することがあります。
とは言え、融着機はレンタルすることもができるし融着接合も事前に練習しておけば問題なく施工できる難易度なので安心してください。
*塩ビ配管の接合方法はこちらの記事をご覧ください ⇒ 「塩ビ配管の接合方法」
PP配管の接合方法とポイント
融着機
PP配管の融着方法は使用する融着機によって若干の違いがあります。私は今まで手動式と機械式と呼ばれる2種類の融着機を使用してきましたが、それぞれにメリットとデメリットがありました。
手動式
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コンパクトで持ち運びが便利。現場作業に向いている
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融着作業が手作業になるので、作業者によって仕上がりに差が出る
機械式
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大きくて重量があるので現場に持っていくのは難しい
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融着が機械的にできるので、溶かしと差込みが安定していて仕上がりに失敗がない
このような違いがありますが、状況に応じて使い分けることをおすすめします。
では次に、私が実際にPP配管の施工をしてきた経験から融着作業で気を付けていることがあるので紹介します。
融着で気を付けることはコレです。
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差込み量・・・加熱による溶け具合によって差込み量に誤差が生じることがある
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加熱のし過ぎ・・・長時間加熱すると溶けすぎるので差し込んだ時にグニャグニャで安定しません
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冷却するときの角度・・・冷却するときの角度に気を付けないと曲がった角度で固まってしまいます
このようなことに気を付けると失敗がない融着ができると思います。
手動式融着機の使用方法
手動式の融着の使用方法について、作業手順と実際の施工動画を引用しておきますのでご覧ください。
*手動式融着機で接合する場合の作業手順です。
出典:旭有機材株式会社 PPパイプ・継手 カタログ
手動式融着機の使用方法
*手動式融着機で接合する場合の紹介動画です。
機械式融着機の使用方法
機械式の融着の使用方法について、作業手順と実際の施工動画を引用しておきますのでご覧ください。
*機械式融着機で融着するときの作業手順です。
出典:旭有機材株式会社 PPパイプ・継手 カタログ
機械式融着機の使用方法
*機械式融着機で融着するときの紹介動画です
PP配管のポイントまとめ
それでは、PP配管について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- PP配管とは、材質がポリプロピレンのパイプと配管継ぎ手によって構成される樹脂配管
- PP配管の一番の特徴は、耐薬品性と耐熱性
- PP配管の接合には融着機が必要で作業経験が必要
以上3つのポイントが大切です。参考にしてください。
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関連記事:【作業/工事/ユーティリティ】
以上です。