今回は「インバーターの端子台には棒端子かフェルール端子で接続する」についての記事です。
インバーターの配線方法について取扱説明書には裸線(より線)で接続するように記載がありますが、それでは不満があるので圧着端子を使用した方法を紹介します。
記事の目次
インバーターの端子台には棒端子かフェルール端子で接続する
インバーターとは
インバーターとは、出力の周波数を変更する機器です。機械装置では電動機(モーター)の回転数を制御(変更)するために使用されています。
*今回は三菱電機の汎用インバーターE700シリーズを例にして話を進めます。
インバーター
端子台とインバーター
コネクタや端子台とは、電線の中継や電気器具の入出力の接続部品で、「ねじで締めこむタイプ」や「差し込みタイプ」などがあります。
今回紹介するインバーターE700の端子はねじ端子台なので、ねじで締めこんで接続する方式です。
インバーターの端子台
インバーターの取扱説明書で端子台の接続方法を確認すると、「電線の被覆をむいてそのまま使用してください」とあります。
*「半田処理はしないでください」の理由は、半田された電線を潰すと半田が割れ/剥がによって半田のくずが発生し、電気器具への混入で短絡のそれがあるためです。
引用抜粋:三菱電機 E700取扱説明書
インバーターの配線の不満
インバーターの取扱説明書には「電線をむいてそのまま使用」とあるので、そのように接続してみたのですが不満に感じる点がありました。
裸線(より線)で接続してみた
「電線をむいてそのまま使用」の不満な点
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より線を直接押さえるので、電線を抜くと潰れて変形しており再接続が嫌な感じ
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圧着端子を使用していないのでマークチューブが緩くて固定できずズレる
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圧着端子を使用しないので、まとまりがなく「ひげ線」が出る可能性がある(短絡の危険性)
そこで、ほかの接続方法について調べていたところオムロンの資料に下記のような記述がありました。
端子台の接続に使用できる方法
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丸棒形 圧着端子
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角棒形 圧着端子
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裸線(より線)
引用抜粋:オムロン 端子台の種類と接続方法
圧着端子が使用できれば私の不満は解消されそうですが、この件に関して知り合いの電気屋さんに聞いてみました。
接続方法は客先仕様やCE規格などによって下記の2通りを使い分けている
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棒形(ブレード形)圧着端子
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フェルール端子
さらに、「裸線(より線)で接続することはダメではないが基本的にはおこなわない」とのことでした。
電気屋さんはこの方法で実績があるので、私もこの方法で作業を行うことにしました。
棒端子(ブレード端子)とフェルール端子で配線する
インバーターの端子台に棒形圧着端子とフェルール端子をテストで接続してみました。
棒形圧着端子で接続
フェルール端子で接続
参考
*フェルール端子のマークチューブのズレ対策の方法を紹介しています。
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フェルール端子にはマークチューブのズレ止め対策をする【ひだ付きと後付けストッパーの種類あります】
続きを見る
コネクタへの配線
今回はインバーターの端子台について話を進めていますが、コネクタにもねじで締めこむタイプ(ねじ式)があります。
ねじ式のコネクタには例えばCC-LinkやDeviceNetのコネクタがありますが、ねじ端子台同様に棒形圧着端子かフェルール端子で接続します。
ねじ式のコネクタ
棒形圧着端子でCC-Linkの接続
インバーターの端子台の接続のポイントまとめ
それでは、インバーターの端子台の接続について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- インバーターとは、出力の周波数を変更する機器です。
- 取扱説明書には端子台の接続は「電線の被覆をむいてそのまま使用」とあるがデメリットがある
- 棒形(ブレード形)圧着端子やフェルール端子で接続するほうが、再使用の観点、マークチューブの固定、短絡の危険性、がないのでおすすめ
以上3つのポイントが大切です。
インバーターの取扱説明書には裸線をそのまま使用とあり実用的には問題はないのですが、作業性や正確性はあまりよくないと思います。ですから、圧着端子を使用した接続の方が良いと思われます。ねじ式のコネクタにも同じことが言えるので、ねじで締めこむタイプの接続方法の基本は圧着端子を使用するように作業をしようと思います。
参考
*圧着端子の種類と圧着方法はこちらの記事
-
フェルール端子と裸圧着端子の圧着方法【Y形R形ブレード形の基本】
続きを見る
*電気配線におすすめの工具はこちらで紹介しています
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制御盤組立におすすめの工具【圧着工具やワイヤストリッパーなど】
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関連記事:【電気配線/制御盤製作 】
以上です。