今回は「CC-Link ケーブルの加工方法は3ステップ」についての記事です。
CC-Linkケーブルは多芯ケーブルで、使用するためには配線の端を加工する必要があります。
今回の記事では、その加工(電線の色/シールド線/コネクタの接続)について、実際に私がやってみて分かり難かった点を補足しつつ解説しようと思います。
記事の目次
CC-Link ケーブルの基礎情報
CC-Link ケーブルとは
CC-Linkとは三菱電機株式会社によって開発されたオープンフィールドネットワークです。
CC-Link ケーブルはCC-Linkの専用ケーブルで機器をつなぐ通信ケーブルと言う事になります。
ケーブルの構成
このCC-Linkケーブルは多芯ケーブルで、使用するためには加工が必要となります。
加工する為にはケーブルの構成について理解する必要がありますので解説します。
*構造は下記のようになっていますのご覧ください。
CCLink仕様
上記の断面に注目してください。この構成が分かっていないと加工間違いが起きてしまいますので実物と見比べてしっかりと把握しましょう。
私の場合はドレイン線とシールド(遮へい)の区別が良く分からずに混乱してしまいました。
断面図には配線の色とコネクタの端子記号が示されていおり、基本的には相性は決められています。
ケーブルの電線の種類 | コネクタの端子番号 |
青色 | DA |
白色 | DB |
黄色 | DG |
ドレイン線 | SLD |
シールド | SLD(使用しない場合あり) |
実物
コネクタには種類があり、形状によって番号の配列に違いがあります。
FGはフレームグラウンドの事です。基準電位を取ります。
CC-Linkケーブルの電線の色とコネクタの端子番号の相性について
ケーブルの仕様として、色と記号の相性は指定されていますが、指定と違う電線を接続をしても問題ありません。
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電線の色が何色であろうとも機器間のDA同士、DB同士、DG同士が接続されていれば通信は可能です。
ただ指定がある以上はそれに従う方が迷う事がなく、接続の確認もし易いと思います。
ケーブルの加工方法は3ステップ
加工方法
加工方法の手順ですが、
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ケーブルのシースを剥く
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シールド線を作る
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収縮チューブで処理
この3ステップで完成となります。それでは具体的な方法を説明していきます。
シースを剥く
私はまだまだ未熟なのでケーブルストリッパーでシース(保護外被覆)を剥きます。ベテランともなるとニッパーやカッターで上手に剥く事も出来るようです。
作業ポイント
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中身のシールドの網や電線に刃物が到達しないように慎重に作業する
もしシールド線や電線に刃物が到達してしまったら短絡などの原因にもなりかねないので、やり直した方が良いと思います。
シースを剥く
*クリック拡大
シールド線を作る
シースを剥いたら次はシールド線(SLD)を作りますが、シールド線の作り方は2通りあります。
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シールド網を除去してドレイン線のみを使用する方法
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シールド網とドレイン線を組み合わせる方法
それでは2通りのシールド線の作り方を解説します。
シールド網を除去してドレイン線のみを使用する方法
ドレイン線のみ接続する場合は下記の手順です。
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シールドとドレイン線を分離します
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シールドをカットします
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ドレイン線をより合わせます
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絶縁チューブを被せて完了
ドレイン線のみでシールド線を作る場合は絶縁チューブのサイズは内径1.5mmを使用します。
*下記の作業イメージをご覧ください
ドレイン線のみ
*クリック拡大
シールドとドレイン線を分離します。
シールドをカットします。
ドレイン線に絶縁チューブを被せて完了です。
シールド網とドレイン線を組み合わせる方法
シールド網とドレイン線を組み合わせて接続する場合は下記の手順です。
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アルミテープを除去します。
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シールドの網に空間を開ける
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電線を分離する
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シールドとドレイン線をより合わせます
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絶縁チューブを被せて完了
シールド網とドレイン線でシールド線を作る場合は絶縁チューブのサイズは内径3.0mmを使用します。
この方法はシールド網から電線を分離する作業でシールド網がほつれてしまい、最後にドレイン線とより合わせた時に綺麗にまとまらない難しさがありますので、なるべく丁寧な作業を心がけます。
*下記の作業イメージをご覧ください
シールド網とドレイン線
*クリック拡大
アルミテープの除去
シールドの網に空間を開ける
電線を分離する
シールドとドレイン線をより合わせて絶縁チューブを挿入する
*補足
シールド線には絶縁チューブを使用する事になっており、私が使用している絶縁チューブは「イラックスチューブ」の透明です。
引用抜粋:住友電工 イラックスチューブA
一般用の耐熱チューブ
■耐油性・耐薬品性に優れる
■透き通った色彩
✔RoHS10物質対応済み用途
■抵抗、コンデンサ等のリード線の絶縁、保護
■高温にさらされるリード線、部品保護
■AV機器、OA機器、通信機、計測器等の配線用リード線の絶縁
収縮チューブで処理する
シールド線が出来たところで、シースを剥いた部分の境目を収縮チューブで処理します。
アルミテープが巻き付いている場合にはアルミテープを除去して、電線とシールド線をばらけさせた状態にして作業をおこないます。
作業のポイント
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CC-Link ケールブの電線を接続先の電線配列と同じ並びにして収縮チューブで処理する
収縮チューブで処理すると電線の配列が固定されてしまうので、配線の並びに注意すると接続するときの作業性が良いと思います。
収縮チューブ
*クリック拡大
アルミテープを除去
収縮チューブと電線の配列
完成
ここまでの作業で下記の状態となります。
完成
この状態となればあとは電線のを接続するだけですが、接続には色々な方法があります。
例えば下記のような接続パターン
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裸圧着端子(R形とY形)を使用する場合
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圧着端子を使用しない場合
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裸ブレード端子を使用する場合
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フェルール圧着端子を使用する場合
接続方法は様々ですが、コネクタの形状や作業者のセンスなど状況に応じてやり方を変えます。
CC-Link ケーブルの加工方法のポイントまとめ
それでは、CC-Link ケーブルの加工方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 加工方法は、「ケーブルのシースを剥く」「シールド線を作る」「収縮チューブで処理」 の3ステップ
- シールド線(SLD)は、「ドレイン線のみ」 と 「シールド網&ドレイン線」 の2通りある
- シールド線には絶縁チューブを被せること
- 配線の並びに注意して、収縮チューブで処理する
以上4つのポイントです。
参考
*電気配線におすすめの工具はこちらで紹介しています
-
制御盤組立におすすめの工具【圧着工具やワイヤストリッパーなど】
続きを見る
*インバーターの接続について紹介しています
-
インバーターの端子台は棒端子かフェルール端子で接続【方法解説】
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関連記事:【電気配線/制御盤製作 】
以上です。