今回は「フェルール端子と裸圧着端子の圧着方法/Y形R形ブレード形」についての記事です。
制御盤組立の基本となる作業に、端子の圧着があります。端子には使用用途や規格によって種類があり、圧着方法も種類によって使い分ける必要があります。
今回の記事では、圧着端子のなかでも使用頻度が高い、フェルール端子と裸圧着端子の圧着方法を紹介しようと思います。
記事の目次
フェルール端子と裸圧着端子
圧着端子には規格によって種類がありますが、今回紹介する圧着端子は下記2点です。
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フェルール端子・・・絶縁被覆付きの円筒形端子
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裸圧着端子・・・絶縁被覆が無い端子
*裸圧着端子は先端の形状に種類があります。
圧着端子の種類
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フェルール端子
Y形裸圧着端子
R形裸圧着端子
ブレード形裸圧着端子
フェルール端子は棒端子とも呼ばれるヨーロッパ規格の端子で、裸圧着端子はJIS規格の端子です。
裸圧着端子には「Y形」「R形」「ブレード形」などがあり、Y形は「Y端」R形は「丸端」と呼ばれる事もあります。
圧着端子と電線のサイズ
圧着端子は電線のサイズごとに種類があり、異なるサイズ同士の接合は問題が起きるので注意が必要です。
その問題は下記の2点です。
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圧着端子が緩くて電線が抜ける
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電線が潰れすぎて切れる
このような事が起きてしまうので、圧着端子と電線のサイズは合致したもの同士で接合します。
*下記にニチフの裸圧着端子の品番構成を引用します。電線の公称断面積に適合した圧着端子を使用します。
引用抜粋:ニチフ 総合カタログ P14
*電線のサイズはパッケージの箱に記載がありますが、電線単体でも被覆に印刷されているので識別ができます。私のような不慣れな場合は必ず確認します。
電線のサイズ
2㎟=2sqの電線
補足
*サイズ(電線の太さ)の表記を「sq(スケア)」と言うJIS規格の単位で表しますが、それは電線の公称断面積(㎟)を英語読みでスクエアミリメートル(sq)として読んでいる単位です。
*制御盤内の制御回路に使用する絶縁電線は1.25㎟(1.25sq)が基本です。
それでは圧着のポイントを解説します。
フェルール端子の圧着
フェルール端子の圧着に準備するモノは以下の通りです。
圧着には専用のフェルール端子圧着工具が必要です。
準備するモノ
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フェルール端子の注意点
フェルール端子の注意点は裸圧着端子とは圧着する部分が違う点が上げられます。
下記の写真をご覧いただくと分かると思いますが、圧着端子の先端側を圧着する構造になっています。
間違っても保護被覆を圧着しないでください。この部分を圧着しても導通しません。
フェルール端子の注意点
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フェルール端子の圧着手順
それでは圧着手順を下記に示しますのでご覧ください。
圧着方法
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電線の絶縁被覆をワイヤストリッパで剥き、フェルール端子を挿入する。
フェルール端子の先端から心線が出ないようにします。理想はツラが揃う長さです。
セットしたフェルール端子の先端を圧着工具にセットする
フェルール端子用圧着工具で圧着する
フェルール端子の先端が圧着出来ました。
参考
*フェルール端子のマークチューブのズレ対策の方法を紹介しています。
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フェルール端子にはマークチューブのズレ止め対策をする【ひだ付きと後付けストッパーの種類あります】
続きを見る
裸圧着端子の圧着
裸圧着端子の圧着に準備するモノは以下の通りです。
圧着には専用の裸端子用圧着工具が必要です。
準備するモノ
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裸圧着端子の注意点
裸圧着端子の注意点としては、「圧着工具のサイズ」「圧着する位置」「圧着端子に挿入する心線の位置関係」の3点を重点的に注意します。
圧着する位置は非常に細かく規定されており、圧着工具と圧着端子は同一サイズで、かつ圧着端子の中心を圧着しなければなりません。
挿入する心線の位置は、端子の先端側が0.5~1.0mmで電線側が0.5~2.0mmが適正とされています。(「制御盤の設計と製作」著:佐藤一郎 参考)
圧着方法
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圧着すると圧着端子の裏側に圧着工具のダイス番号が刻印されるので、電線と圧着端子のサイズがあっているか分かる。
圧着の位置と心線の挿入位置
裸圧着端子の圧着手順
それでは圧着手順を下記に示しますのでご覧ください。
圧着方法
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電線の絶縁被覆をワイヤストリッパで剥きます
圧着端子を圧着工具にくわえます。この時に圧着端子の位置角度に注意します。
心線を圧着端子に挿入します。挿入位置には注意します。
圧着完了
補足
圧着端子に電線を繋ぐ作業の補足として、やめた方が良い接続方法があります。
それは1つの圧着端子から1本以上の電線を圧着する事です。下記の画像をご覧ください。
圧着方法
1つの圧着端子に複数本の電線を圧着する方法は、1本1本の電線が確実に端子と接続しているのかの疑問があるし、後に改造となった時にこのような配線では非常に混乱し作業性が悪くなります。
フェルール端子と裸圧着端子の圧着方法のポイントまとめ
それでは、フェルール端子と裸圧着端子の圧着方法ついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 端子のサイズ、電線の太さの組合せを間違わないようにする
- 専用の圧着工具を使用する
- フェルール端子は先端を圧着する
- 裸圧着端子は心線の出シロに注意。端子の先端側が0.5~1.0mmで電線側が0.5~2.0mm
以上4つのポイントが大切です。
参考
*電気配線におすすめの工具はこちらで紹介しています
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制御盤組立におすすめの工具【圧着工具やワイヤストリッパーなど】
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関連記事:【電気配線/制御盤製作 】
以上です。