今回は「カムフォロアの特徴と組付け注意点」の記事です。
カムフォロアは重荷重を伴う部分に使用されることが多いベアリングの一種です。
特殊なベアリングなので通常のベアリングと違い特有の注意点がありますので、今回はその点を抑えておこうと思います。
記事の目次
カムフォロアの特徴
カムフォロアとは
カムフォロアとは細長い円筒のころ(針状ころ)が内蔵された軸付きのベアリングです。
出典:日本トムソン株式会社(IKO) カムフォロア&ローラフォロアのご提案
特徴
針状ころが内蔵れさているカムフォロアは、一般的なベアリングの点接触の球と違い線接触の針状ころなので特有の特徴があります。
カムフォロアの特徴は下記の3つです
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高荷重に耐えうることができる
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高速回転に向いている
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外輪が肉厚なので衝撃荷重に強い
*針状ころはニードルベアリングのニードルローラーと同じ形状のものですので、ニードルベアリングが内蔵されている考えるとイメージしやすいと思います。
参考 ニードルベアリング
組付け注意点
カムフォロアを組立てるときには注意したいことがあるので確認しておきましょう。
組立注意点は下記の3つです。
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締付けの方法(工具のかけ方)
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カムフォロアの取付向き
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偏心カムフォロアの取付け
それではそれぞれの注意点を掘り下げていきましょう。
締付けの方法(工具のかけ方)
カムフォロアを取付けるときの「ねじの締め付け」について注意したいことがあります。
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ベアリング側を回転させてはいけない・・・六角レンチORマイナスドライバーを差し込む形状になっていますが回転させずに固定しておきます。
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軸のナットを締め付けてカムフォロアを固定する・・・ベアリング側は軸の固定として、ナットを締め付けて固定します。
このような理由には、ベアリング側を回転させて締付けると六角レンチORマイナスドライバーの差し込み口が「欠け」たり「割れ」たりするためです。
ですから、カムフォロアを破損させないようにナットで締付けるように気を付けましょう。
IKOのカムフォロア
カムフォロアの取付向き
カムフォロアの取付けには「向き」に注意しなければなりません。
注意しなければならない向きは「荷重を受ける位置」のことです。荷重を受ける位置はカムフォロア内部の給油口(軸の穴)と一致させてはいけません。
負荷する領域に給油口が入らないようにするため荷重が加わる位置と180度ズレた位置とする方が確実で、重荷重を負荷する場合には確実に180度ズレた位置としておきます。
IKOのカムフォロア
内部の油穴位置は下記の資料をご覧ください。
*給油口に負荷が加わると短命になるようです。
引用抜粋:日本トムソン株式会社(IKO) カタログ
偏心カムフォロアの取付け
カムフォロアには負荷の具合を調整できる偏心タイプの「偏心カムフォロア」があります。
偏心カムフォロアは軸(スタッド)が偏心しているので、軸の回転方向の位置によって外輪の位置も変化するので負荷の具合を調整できます。
負荷側の相手部品に強く押し当てたり、若干接触する程度に設定したりと任意の負荷具合で調整ができますが、どの程度に設定するかは作業者次第ですので機構と設計思想を把握して組付けます。
引用抜粋:IKO 偏心カラー付きカムフォロア
カムフォロアのポイントのまとめ
それでは、カムフォロアについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- カムフォロアとは細長い円筒のころ(針状ころ)が内蔵された軸付きのベアリング
- 特徴は、高荷重、高速回転、衝撃荷重、に強いこと
- 組付けの注意点は、締付けの方法、取付向き、偏心カムフォロア、の3つの項目を確認すること
以上4つのポイントが大切です。
今回はカムフォロアの組付け注意点をまとめてみました。前述で解説したように組立の注意点は3つあり、それらを守らないと破損したり適切に負荷ができません。通常のベアリングとは違いカムフォロアは使用頻度が低い回転部品なので、要点を抑えて取付けましょう。
*ベアリングの基礎知識に
関連記事:【回転運動の要素】
以上です。