ロッドレスシリンダのストローク調整
ロッドレスシリンダの特徴の一つにロングストロークが挙げられますが、ロングストロークが故に終端の停止位置を調整する場合があります。
これはストロークが長いので両端周辺の「部品誤差」「組付け誤差」などが生じて図面通りのの寸法や位置関係となっていない場合や、そもそも調整ありきで設計している場合がある為です。
*この場合のストロークとは「移動距離」の意味です。
そのような場合には「ストローク調整ユニット」を使用してロッドレスシリンダのストローク調整をおこないます。ストローク調整ユニットはロッドレスシリンダの終端に挟み込み取付けする部品で、ストッパーボルトとダンパーが取り付けられます。
今回は「ストローク調整ユニット」の調整注意点についてSMCのシリンダを例に解説します。
調整の注意
ストローク調整ユニットの調整注意点は3つあります。
- ストッパボルトとダンパー位置関係
- ストローク調整ユニットの位置
- オートスイッチの調整
この中でも特に「ストローク調整ユニットの位置」について間違った取付けをしているモノを見かける時があります。
作業自体は簡単ですが、間違った調整や取付をおこなうことがないように、要点をしっかり把握しておきましょう。
ストッパボルトとダンパー位置関係
ストッパボルトとダンパーの注意点は「ストッパボルトはダンパーよりも0.5mm~1.0mm長くする」です。
こちらの記事 ⇨ 「ショックアブソーバー(ダンパー)の注意/緩衝器」 でも解説していますが、ダンパーはどのような場合でもストロークエンドの底突き状態で使用することは破損や短命になります。
また、ダンパーの出代調整ですがロックナットがない挟み込み固定のタイプですので、ストローク調整ユニットの固定ボルトを緩めて出代を調整します。
挟み込み固定だと知らなくて、無理やりダンパーを回すことが無いように注意です。
ストローク調整ユニットの位置
ストッパボルトが届かない場合やストッパボルトの調整が面倒だからと言って、ストローク調整ユニットの取付けを中間位置で固定してはいけません。
その場合にはオプションのスペーサーを入れて、ストローク調整ユニットの取り付け位置を確実に固定する必要があります。
*ストローク調整ユニットはシリンダ本体の溝に挟み込み固定されているので、ボルトを緩めれば簡単に位置が変えられます。
例えば上記のようにスライドテーブルの停止位置を大幅に変更する場合は、ストッパボルトが届きません。その場合にはストローク調整ユニットの取付位置を変更すれば良いのですが、上記のような状態ではストローク調整ユニットがスライドテーブル横行の衝撃でズレてしまう可能性があります。
そのため、オプションのスペーサーをストローク調整ユニットに入れて位置ズレが起きないように確実に固定する必要があるのです。
引用抜粋:SMC ロッドレスシリンダ カタログ
*ストローク調整ユニット
スペーサーを入れると下記のような固定になります。
スペーサーを入れることで、シリンダ本体の溝の終端側にしっかりと当て止めできるのでスライドテーブルの衝撃によるズレがおきません。
オートスイッチの調整
シリンダのストロークを調整したら、オートスイッチなどの停止位置を検出するセンサが反応しない場合があります。
意外と忘れがちで、確認せずに運転したらセンサがONしないので装置が異常停止します。そうなると、もう一度機内に入ってセンサ調整をすることになるので、ストロークを調整したらその場でセンサがONするか確認し、ONしない場合はセンサ位置を変更しましょう。
まとめ
以上がロッドレスシリンダのストローク調整ユニットの注意点になります。自分の判断で調整したらトラブルにならないように、正しい知識で確実に調整しましょう。
以上です。