今回は「電磁弁やマニホールドの元圧エアーの問題」についての記事です。
動力にエアーを使用する機械装置は多いと思いますが、エアーが動力と言うことは電磁弁やマニホールドにエアーを供給する必要があります。しかし、そこには注意しておきたいことがあり、なんとなくエアーをつないで供給すればいい、、、と言うわけにはいきません。
今回の記事では、電磁弁やマニホールドへのエアーの供給に関する問題と対策について解説しようと思います。
記事の目次
電磁弁やマニホールドの元圧エアーの問題
元圧のエアー配管の問題点について話をする前に、まずは電磁弁とマニホールドとは何なのか?まとめておきましょう。
電磁弁とは
電磁弁(ソレノイドバルブ)とは、電磁石の仕組みによって方向弁の切換えをするモノです。通電すると磁力が発生し弁が動作します。
*下記はSMCの電磁弁紹介です。
マニホールドとは
マニホールドとは分配機の事でエアーの場合で説明しますと、元圧エアーを各供給先へを振り分けるモノです。電磁弁はこのマニホールドに取付けて使用します。
*電磁弁とマニホールドが一体型もあります。
元圧エアーの配管の問題点
さてここからが本題です。
機械装置は規模が大きくなると電磁弁やマニホールドを多数使用する場合があります。私の場合ですと、マニホールドが10台以上(マニホールドに搭載される電磁弁は60個以上)の装置を組立てる事があります。
このような場合では、元圧エアーを各マニホールドへ供給配管を施工しますが供給のやり方によっては問題が起きることがあります。
問題
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圧力異常・・・元圧低下
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シリンダの動作異常・・・スピードが遅くなったり動作しない
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タクトが遅くなる・・・エアー機器の速度低下
このような問題が起きることがあるのです。
なぜこのような問題が起きるかと言いますと、、、
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マニホールドが数多くあるので、元圧エアーの供給が間に合わない(供給不足に陥る)
こうなってしまうと、機械装置が設計通りに稼働することは難しいでしょう。
では、このような事態にならないためにはどうすればよいか?考えてみましょう。
電磁弁やマニホールドへのエアー供給を工夫する
エアーの供給不足が起きない為にはどうすれば良いか?
私が実施している対策は下記の2点です。
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元圧エアーの配管(エアーチューブ)の口径を大きくする
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マニホールドへの供給を効率的に配管する
元圧の配管径
元圧の配管の口径を大きくすると、流量が増えますので供給時間が短縮されます。
例えば10mmのエアーチューブでしたら12mmへサイズアップしたり、16mmの大口径のエアーチューブを使用したりとエアーが沢山流れる環境を作ります。
マニホールドへの供給を効率化
マニホールドが数多くある場合はマニホールドへ供給する配管の方法は組立作業者の判断の委ねられる場合が多いと思います。
それは配管図面にはエアーの供給効率を考えた配管図になっていない場合がほとんどだだからです。
それではどのような供給方法が良いのか?悪いのか?を考えてみます。
マニホールドの供給 ≪悪い例≫
供給方法として下記に示しますのは悪い例です。この方法ですと末端へのエアー供給が間に合わない可能性が高いと思われます。
と言いますのは、各電磁弁が動作するたびにエアーを消費する訳なので、元圧エアーの供給元から離れるほど消費されたエアーしか行き届かない(供給が間に合わない為)のです。
下記の場合ですと「♯6」「♯7」「♯8」あたりのマニホールドへ供給が足りず、それに関わる機器に異常が発生する可能性があります。
悪い例
マニホールドの供給 ≪良い例≫
悪い例で解説したような事が起きないように改善した方法が下記の配管です。
エアーは圧力が高い所から低い所へ流れますので、どこかのマニホールドの圧力が低下(エアーの消費)した場合にスムーズに供給できる仕組みになっています。
この供給方法でしたら異常が起きる事は無いと思われます。
良い例
例1
例2
電磁弁やマニホールドへのエアー配管のポイントまとめ
それでは、電磁弁やマニホールドへのエアー配管ついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 電磁弁やマニホールドの数が多いとエアーの供給不足になる。
- 元圧から電磁弁/マニホールドまでの配管の口径を大きくする
- 元圧から電磁弁/マニホールドまでの配管方法を効率よくする
以上3つのポイントが大切です。
電磁弁やマニホールドが多数ある場合には安定した元圧エアーが供給できるような配管となるように配慮しましょう。
参考
*電磁弁の購入はこちらから
関連記事:【空気圧/油圧】
以上です。