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ボルトを締めたときに適切な軸力を発生させるためには、ボルトに軸力安定剤を塗布することが有効です。
と言うことで、今回の記事では、代表的な軸力安定剤の、東日製作所さん「エフコン」と言う商品を紹介します。
記事の目次
エフコンの特徴と締付けトルクを試験する方法
「潤滑剤なし」「潤滑剤あり」の違い
機械装置の組立作業において、ボルトを締めるときには「潤滑剤を塗布しない」ことが一般的ですが、それはそれで「いろいろな欠点」があります。
潤滑剤なしでボルトを締めると、、、
- 「高温環境で使用するボルト」や「SUSボルト」が固着してしまう
- 摩擦係数が大きくて不安定なので「軸力がばらつく」「ねじ山が焼付く」可能性がある
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軸力オーバーになりにくいのでボルトを折るリスクが少ないが、かじりで折るリスクはある
このような欠点によって、最悪の場合は「ボルトが緩む」「設計通りの機能が発揮されない」「焼付き・かじり・固着が発生」と言った問題が起きることがありますが、これを解決するために、潤滑剤をボルトに塗布することがあります。
ボルトの潤滑剤

潤滑剤あり(オイル・グリス)でボルトを締付けると、、、
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「焼付き・かじり・固着」を防ぐことができる
- 摩擦係数が小さくて安定するので「軸力が安定」するし「ねじ山が焼付く」リスクが少ない
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低摩擦で締め付けができるので、締めすぎてボルト破断する危険があるが、かじりで折るリスクがない
このように、潤滑剤を塗布することで、大きな効果が得られますが、潤滑剤には種類が多く、目的や使用環境に応じて使分けなければなりません。
例えば、モリブデン系は高温環境で使用するボルトの焼付き対策に効果がありますが、ボルトが緩みやすくなるリスクがあり、汚れも目立ちます。フッ素系は、摩擦係数が低くクリーンに使用できるためSUSボルトにおすすめですが、高価です。
このように、ボルト用の潤滑剤には様々な種類がありますが、ほとんどの製品が「焼付き・かじり・固着」を防ぐという目的に重点を置いて開発・使用されています。
そんな中で、多くの潤滑剤とは一線を画し「軸力を安定させる」ことに特化して開発された製品があるので紹介します。
軸力とは
ボルトを締め付けると軸が引き伸ばされ、その戻ろうとする力(引張力)が発生します。この引張力によって、ねじ山や部品同士の接触面、平座金には強い摩擦力が生じます。このときの引張力を「軸力」と呼びます。
「軸力を安定させる」ことに特化した「エフコン」
「軸力を安定させる」ことに特化した潤滑剤はコレ!
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東日製作所の「エフコン」
エフコンの最大の特徴はコレ!
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トルク係数の変動を抑制し軸力を安定化させる
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締付け速度が変動してもトルク係数の変動が極めて少ない
「何度も脱着するボルト」「高トルクで締め付けるボルト」「エンジンのように軸力が性能に影響する場合」「トルクレンチで締め付けるボルト」などなど、様々な用途に使用できる軸力安定剤がエフコンです。
出典:株式会社東日製作所 エフコン
ただし、使用にあたっては以下の点に注意が必要です!
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適切な締付けトルクは、試験しなければ分からない
ボルトを締付けるときの摩擦係数は、潤滑油の有無によって大きく異なります。しかも、環境の温度、表面状態(ねじ山や座面)などの条件によっても変動します。
そのため、軸力安定剤であるエフコンを使用する前準備として、試験して適切な締付けトルクを決定する必要があります。
出典:東日製作所 ねじの締付け
潤滑剤を塗布する場合と塗布しない場合
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潤滑剤を塗布すると摩擦係数が下がるため、同じ軸力を得るために必要な締付けトルクは少なくなります
もし、試験せずに、いつも通りの締付けトルクで締め付けると、締まりすぎてねじが必要以上に伸びてしまい、適切な軸力が得られないばかりか、ボルトが折れてしまうことがあります。
締付けトルクの簡易試験
エフコンを使用するときの締付けトルクは、ボルトの伸び量(ボルトに発生する軸力)で判断するので、そのための試験を行います。
実験の内容を簡単にまとめると、エフコン(潤滑剤)を塗布しない状態で得られた伸び量を、エフコンの塗布したときの状態を再現するために必要なトルクを割出します。
ざっくりまとめると、試験の手順は下記の通りです
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エフコン(潤滑油)塗布しない状態で、規定値の締付けトルクで締め付けたときに、どれだけボルトが伸びるのか調べる
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エフコン塗布した状態で締付けを実施し、エフコン塗布なしで締めたときのボルトの伸び量と同一の伸び量となる締付けトルクを規定値とする
*この試験は、現場でできる簡易的な方法です。厳密な試験では、軸力測定器を使用してください。
試験するボルト
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六角穴付きボルト
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強度区分は10.9
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サイズは「6×15」「M8×20」×「M10×20」の3種類
基準となる、エフコン(潤滑油)塗布しない状態の締付けトルクは、東日製作所のカタログに記載の≪参考値≫としました。
強度区分10.9は2.4T系列が該当します。
出典:東日製作所 ねじの締付け
それでは、試験の手順を写真を見ながら解説していきます。
初めに、エフコン(潤滑油)塗布しない状態で、規定値の締付けトルクで締め付けたときに、どれだけボルトが伸びるのか調べます。
エフコン塗布なし
試験に使用するボルトは、新品の三価クロメートの六角穴付きボルトです。
エフコンの塗布なしの試験で2本、エフコン塗布ありの試験で2本使用しました。

締付けトルクにはKTCのトルクレンチを使用し、角度は分度器で読取ります。

ボルトを締付けトルクの1/4で締付けてマーキングします
次に、締付けトルクまで締付けて、何度回転したか?を分度器で測定します。



上記の試験によって、エフコン塗布がないときに、締付けトルクまで締めたときに、どれだけボルトが伸びるのか?を角度で測定することができました。
次に、ボルトにエフコンを塗布して、試験結果の角度まで締めたときの締付けトルクを測定します。
この締付けトルクが、エフコン塗布したときに締付けるトルクと言うことになります。
エフコン塗布アリ
エフコンを塗布します。接触する部分には、全て塗布します。ねじ山や座面のなどです。
エフコンは蜂蜜のように「ねっとり」していて、締付けの感覚は「ヌルヌル」しています。

ボルトを締付けトルクの1/4で締付けてマーキングします。
試験結果の角度にもマーキングします。
トルクレンチを使用し、マーキングが試験結果の角度と一致するところまで締付けます。
一致したときのトルクを読み取ります。
注意点として、慎重に締付けないと、正しく測定できないので慎重に行ってください。

試験結果の角度は下記の通りです。
| 六角穴付きボルト | スナッグトルク(N・m) | 締付けトルク(N・m) | 締付け後の角度(°) |
| 強度区分10.9 | 締付けトルクの1/4 | エフコンなし | |
| M6×12 | 3.04 | 12.2 | 20 |
| 20 | |||
| M8×20 | 7.38 | 29.5 | 15 |
| 15 | |||
| M10×25 | 14.7 | 59.0 | 15 |
| 15 |
エフコンを塗布した場合の締付けトルクは下記の通りです。
| 六角穴付きボルト | 締付けトルク(N・m) | 締付け後の角度(°) | 締付けトルク(N・m) | 低下率(%) |
| 強度区分10.9 | エフコンなし | エフコンあり | ||
| M6×12 | 12.2 | 20 | 10.5 | 13.9 |
| 10.0 | 18.0 | |||
| M8×20 | 29.5 | 15 | 25.5 | 13.6 |
| 24.8 | 16.1 | |||
| M10×25 | 59.0 | 15 | 49.5 | 16.1 |
| 50.8 | 13.9 |
やはり、エフコンありだと締付けトルクは低下しました。M6は12.2N・m⇒10.0N・m~10.5N・m、M8は29.5N・m⇒24.8N・m~25.5N・m、M10は59.0N・m⇒49.5N・m~50.8N・mといった結果で、低下率では、13.6~18.0%程度でした。
このように、エフコンを使用するときは、最低限、簡易試験を行って締付けトルクを調べて使用する必要があります。
ポイントまとめ
それでは、エフコンの特徴と締付けトルクを試験する方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ボルトに潤滑剤を使用しないと、「ボルトが緩む」「設計通りの機能が発揮されない」「焼付き・かじり・固着が発生」ことがある
- 軸力を安定させることに特化した軸力安定剤は「エフコン」がおすすめ
- あらゆる状況で使用できるが、締付けトルクは試験しなければ分からない
- エフコン塗布すると、摩擦係数が低くなり、ボルトが締まりすぎるリスクがあるので、必ず試験すること
以上4つのポイントです。
*軸力安定剤のエフコンの購入はこちらから
参考
*ボルトの締付け方法についてはこちらの記事で紹介しています
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回転角法とトルクこう配法によるねじの締付け【専用トルクレンチ】
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関連記事:【締結要素】
以上です。



