今回は「リニアブッシュやスライドブッシュのグリスの給油方法と注意点」についての記事です。
リニアブッシュやスライドブッシュと呼ばれる、ボールが内蔵されている製品には潤滑が必要となります。潤滑にはおもにグリースを使用し、組付けるときにグリース給油をしておく必要があります。
今回の記事でが、潤滑や給油に焦点をあてて解説しようと思います。
記事の目次
リニアブッシュやスライドブッシュの潤滑
リニアブッシュとは
リニアブッシュとは下記の引用をご覧ください。
引用抜粋:THK カタログ リニアブッシュの特徴
構造と特長
リニアブッシュは、円筒LMシャフトと組合わせて使用され、直線運動する製品です。 負荷ボールとLMシャフトは点接触のため、最小の摩擦抵抗で直線運動し、軽快な運動が得られます。 外筒は高炭素クロム軸受鋼を使用し、熱処理後、内径・外径を研削加工し仕上げています。
リニアブッシュは、軽荷重で振動・衝撃等の作用しないOA機器、医療機器、包装機器などに使用され ています。 ただし、回転方向に負荷がかかる用途では使用することができません。
リニアブッシュには似たような名称の「スライドブッシュ」がありますが、呼び名が違うだけで構造は同じです。
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リニアブッシュ・・・THKの商品名
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スライドブッシュ・・・NBの商品名
*以下リニアブッシュに統一して話しを進めます。
リニアブッシュ
潤滑
リニアブッシュにはグリースか油の潤滑が必要で、給油しないと内部の球(ボール)とシャフトが早期摩耗します。
グリース給油はリニアブッシュに直接塗り込む(手作業)ですので、手がグリースでベタベタになり面倒だと感じる方もいますがこの作業を疎かにしては組立とは言えません。
潤滑の必要性は下記を参照してください。
引用抜粋:THK カタログ リニアブッシュの給油
【 グリース潤滑】
LMシャフトに組み込む際は、リニアブッシュのボール列にグリースを塗り込みご使用ください。
その後は、使用状態に応じて、適時上記と同様に塗り込むか、
図1の ようなハウジングを設けてのご使 用、またはLMシャフトにグリースを塗布してご使用ください。 使用グリースは、リチウム石けん基グリース2号を推奨します。【 油潤滑】
LMシャフト上に適時油を滴下するか、グリース 潤滑と同様に図 1の ようなハウジングを設けて ご使用ください。
使用される潤滑油は、タービン油、マシン油、 ス ピンドル油が一般的です。
リニアブッシュとグリース
グリース給油の分からない事こと
グリース給油には「注意すること」と「不透明なこと」がありますので、ここで確認しておきましょう。
注意すること
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リニアブッシュはメーカーによって初めからグリース給油されていたり給油が不要のモノがあります。
不透明なこと
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グリースの給油方法はTHKのカタログには「塗り込む」としか記述がなく、具体的なやり方が分からない。
正直これでは、給油すればよいのか、しなくてよいのか迷ってしまうことがあるでしょうし、そもそもどうやって給油すれば良いか分からないですよね。
グリース給油の必要/不必要の判断方法
私は「グリース給油の必要/不必要」と「グリース給油の完了」を下記のように判断しています。
グリース給油の判断はコレです
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リニアブッシュを振ってみて、球(ボール)のシャカシャカ音が「ある/ない」
つまりこういう事です
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シャカシャカ音がすればグリースが足りない/給油されていない
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シャカシャカ音がしなければグリースが詰まっているので給油の必要がない
この判断で給油の有無を決めています。
グリースの給油方法
給油する為にはまず内部の構造を理解する必要があります。
引用抜粋:THK カタログ リニアブッシュの給油
このような構造ですので、グリースをボールに詰めながらボールを回して全体にグリースを詰め込むイメージです。
グリースは手の指で詰める方法が基本ですが、指が入らない(リニアブッシュが小さい)場合や、内部が金属の場合は指を切ってしまうので手で給油することが出来ません。
そのような場合は六角レンチなどを代用してグリースを詰めます。ただし、道具でグリースを詰めるとボールを損傷させてしまうリスクがありますので注意してください。
金属は指を切る
グリース給油イメージ
このように給油をおこない、リニアブッシュを振ってみてシャカシャカ音が無ければ完了です。
リニアブッシュやスライドブッシュのポイントまとめ
それでは、リニアブッシュやスライドブッシュについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ボールが内蔵されている直線運動をする製品
- グリース潤滑 か 油潤滑 が必要
- グリース給油ができているか?の判断は、振ってみてシャカシャカ音がしないこと
- ホールの保持器の金属が露出している場合は、指をケガするので工具を使用して給油
以上4つのポイントです。
手抜きせずに長持ちして使用できるようグリース給油をしっかり行ってください。
*素手でグリースを触るときにはゴム手袋がおすすめです。
関連記事:【直線運動の要素】
以上です。