嫌気性接着剤は機械装置を組立てる上で必要になるケミカルです。一般的には、機械装置のような金属で構成されているモノに接着剤を使用することは「不信」に感じるかもしれませんが、この場合の接着剤の用途は「緩んだり外れたりしないように保険として使用する」と言う意味合いが強く、接着剤のみで部品を固定することは余程ありえません。
今回の記事では、そういった意味で嫌気性接着剤をどのような意味合いで使用するのか?どのように使い分けるのか?について紹介していきます。
記事の目次
嫌気性接着剤の使分け
機械装置に使用する、通称ロックタイトと呼ばれる嫌気性接着剤には大きく分けて2つの種類があります。
嫌気性接着剤の種類
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ねじの緩み止め用
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はめ合い用
このように、ねじの緩み止め用とはめ合い用に区別できるのですが、接着剤の強度や使用環境などの特徴によってさらに種類が細かく存在しています。
そこで、次項から私がおすすめする嫌気性接着剤と、その特徴を紹介していきます。
ねじの緩み止め
ねじの緩み止め用でおすすめする嫌気性接着剤は4種類あります。
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ロックタイト 221
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ロックタイト 241
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ロックタイト 262
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ロックタイト 425
*上記の緩み止め以外にも、耐熱、耐震、油の付着などの種類があります。
型番:221
分類:低強度
破壊トルク:6N/m
用途:金属ネジ
使用箇所:調整ボルト/ホーローセット
型番:241
分類:中強度
破壊トルク:26N/m
用途:金属ネジ
使用箇所:緩んではいけないがバラす可能性がある
型番:262
分類:高強度
破壊トルク:33N/m
用途:金属ネジ
使用箇所:絶対に緩んではいけない/バラさないボルト
型番:425
分類:低強度
破壊トルク:1.1~8.5N/m
用途:樹脂ネジ
使用箇所:樹脂と金属の組合せでも使用可/はみ出た部分も硬化
はめ合い用
はめ合い用でおすすめする嫌気性接着剤は3種類あります。
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ロックタイト 601
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ロックタイト 603
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ロックタイト 638
*上記の嵌め合い用以外にも、強度、耐熱などの種類があります。
型番:601
分類:高強度
せん断荷重:15N/㎟
はめ合い隙間:0.12mm
使用箇所:嵌め合い高強度標準品/位置決めピンには弱い
型番:603
分類:高強度
せん断荷重:25N/㎟
はめ合い隙間:0.12mm
使用箇所:油の付着でも固定可能でバラシ不可/位置決めピンの場合は接着面積が少ないので固定可&バラシ可となる
型番:638
分類:最高強度
せん断荷重:31N/㎟
はめ合い隙間:0.38mm
使用箇所:永久固定でバラシは不可/位置決めピンの場合は接着面積が少ないので固定可&バラシ可となる
嫌気性接着剤の使分けのポイントまとめ
それでは、嫌気性接着剤の使分けについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 嫌気性接着剤は「ねじの緩み止め用」 と 「はめ合い用」 がある
- 嫌気性接着剤は、強度や使用環境などによって使い分ける
以上2つのポイントです。参考にしてください。
参考
*嫌気性接着剤やロックタイトをばらす方法はこちらの記事で紹介しています
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高強度のロックタイトや嫌気性接着剤のばらし方【バーナーで加熱】
続きを見る
*位置決めピンに嫌気性接着剤を使用する場合はこちらの記事を参考にして下さい
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平行ピンにはめ合い接着剤を塗布する注意点【塗布のポイント】
続きを見る
*嫌気性接着剤について、さらに詳しく調べる場合はこちらから ⇒ ロックタイト
関連記事:【潤滑油/グリス/ケミカル 】
以上です