当ページのリンクには広告が含まれます

【搬送要素】

プラスチックチェーンのたるみ量の考え方【コンベアのテンション調整と受けのレイアウト】

2022年6月5日

 

搬送に使用されるプラスチックチェーン(通称プラチェーン)は、金属チェーンと違った注意点がります。

特に、たるみ量50mm~100mmと受けのレイアウトが重要になります。

 

プラスチックチェーンのたるみ量の考え方

プラスチックチェーンの特徴と注意点

プラスチックチェーンとは材質が樹脂で、搬送に使用されるチェーンのことです。通称「プラチェーン」と呼ばれます。

主に軽量な金属、樹脂、ガラス、陶器、食品などの搬送に向いています。

 

特徴

  • ワークへの攻撃性が低い
  • 耐食性が高いのでクリーン
  • モーターの消費電力が低い
  • 曲面搬送が可能な種類がある
  • 自己潤滑性があるため摩耗しにくい
  • 継手不要でリンクを「切る」「継ぐ」が可能
  • 樹脂の種類が豊富なので広い環境で使用可能

 

出典:株式会社椿本チエイン トップチェーン プラスチックモジュラーチェーン&トップチェーン&プラブロックチェーンカタログ

プラチェーンの種類

 

プラスチックチェーンは金属チェーンと違い樹脂特有の注意点があります。

 

取扱いの注意点

  • 強度と耐熱性が低い

 

金属チェーンと違い「高荷重」「高負荷」「高温」の環境には不向きです。

そして意外と知られていないのが、プラスチックチェーンをコンベアに組付けたときのたるみ量(テンション)です。強度が低く許容張力も低いため、金属チェーンのように張ることが出来ません。

普通、金属チェーンのたるみ量はチェーンの帰り側の中央でスパン長さの4%とされていますが、プラスチックチェーンは帰り側のチェーンの「受けと受けの間」か「受けとスプロケットの間」で50mm~100mmのたるみ量が基本となっています。

さらに言いますと、プラスチックチェーンのリンクの継手ピンには「ステンレス」と「樹脂」があり、樹脂ピンの許容張力はステンレスピンの1/2となるので要注意です。

 

 

プラチェーンのたるみ量

プラスチックチェーンのたるみ量は種類によって違いがあるが、基本は「50mm~100mm」です。

 

*下記情報はプラスチックチェーン全般に言えることですが、種類によってたるみ量、受けの位置関係などの推奨値に違いがあります。実際に使用するチェーンの品番を確認してください。

出典:株式会社椿本チエイン トップチェーン プラスチックモジュラーチェーン&トップチェーン&プラブロックチェーンカタログ

プラチェーンのレイアウト例

プラチェーンのたるみ量とかみ合い角度

チェーンの帰りのレイアウト例

*上記の資料によると、戻り側の受けなしのレイアウトは推奨されていません。

 

たるみ量以外の重要ポイントもあります

  • テンション調整はあった方がいい
  • 帰り側の受けの位置関係は重要

 

チェーンをたるませて使用するからテンション調整(テークアップユニット)が不要と考えるかもしれませんが、たるみ量を50mm~100mmの範囲におさめるためにはテンション調整があった方がいいので、スプロケットかアイドラーでテンションが調整できるようにします。

チェーンの帰り側にはリターンローラーやレールなどの受けを取付けますが、たるみを持たせる位置の都合上、受けの位置関係が重要になります。カタログに記載があるレイアウトを参考にします。

よく見かける間違った受けの取付け例を紹介すると、スプロケットの駆動側の真下から従動側の真下まで一本もののレールや受け皿がレイアウトされているコンベアがあります。この場合だと、金属チェーン程度までに張る必要があります。仮に50mm~100mmのたるみ量を持たせると、たるんだチェーンの逃げ場がないためにスプロケットに巻き込まれてチェーンが切れてしまいます。

 

良くある「たるみ」の悩み

「たるみ」が確保できない場合

良くある事例ですが、プラスチックチェーンのコンベアはトレー搬送に使われることが多いので、設備の低い位置にレイアウトされることがあります。そうなると、FLからの距離がないためコンベア真下の空間がほぼない、、、なんてことがあります。

このような場合だと、プラスチックチェーンのたるみ量50mm~100mmを確保することが出来ない可能性があり、脈動や歯飛びが起きる可能性あります。

 

たるみ量が確保できない場合の対処方法

  • たるみが50mm以下しか確保できなくても受けのレイアウトはメーカー推奨値にする

 

椿本チエインさんにお聞きしたところ、「十分なたるみ量が確保できなくても、カタログに記載のスプロケットと受けのレイアウトを守ってください。それによって、チェーンがスプロケットに巻き付く力を発生させる、歯飛びや脈動が最小限になる」とのことです。

 

正転と逆転がある場合のたるみ

たるみ量が多い状態で正転と逆転がある場合、たるみがスプロケットに巻き込まれてしまったり、歯飛びしてしまう心配があります。そのため、正転の場合とはレイアウトを変える必要があります。

 

*正転と逆転のレイアウト参考資料

出典:株式会社椿本チエイン トップチェーン プラスチックモジュラーチェーン&トップチェーン&プラブロックチェーンカタログ

正転と逆転が場合のレイアウト

 

参考資料では正転と逆転の場合、駆動側と従動側の両方にたるみが生じるので、モーターを中央に配置してどちらに回転してもたるみが吸収できるレイアウトとなっています。

 

ポイントまとめ

それでは、プラスチックチェーンについて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • プラスチックチェーンのたるみ量は50mm~100mmが基本
  • 受けのレイアウトはメーカー推奨を参考にする

 

以上2つのポイントです。

 

*この記事は株式会社椿本チエインさんのプラスチックチェーンの情報を参考にしています。

関連記事:【搬送要素】

以上です。

-【搬送要素】
-,

© 2024 機械組立の部屋