今回は「クラウンローラーの特性」についての記事です。
クラウンローラーは蛇行/片寄り防止のために有効なプーリーです。
しかし「なぜ蛇行/片寄りに有効なのか?」は何となく理解している程度で、良く分かっていない人も多いと思いますので、クラウンローラーについてまとめておこうと思います。
記事の目次
クラウンローラとは
クラウンローラーとは、ローラーの中央の外径を大きく、テーパー形状やR形状によって両端が小さくなっているローラーです。
クラウンローラーの特徴としては、「搬送されるモノはローラーの中央に寄る」と言う点にあり、蛇行や片寄りの対策として有効です。
クラウンローラーの特性と蛇行対策
コンベヤの蛇行/片寄りの対策としてクラウンローラーを使用することがあります。
と、言いますかストレートの円筒ローラーではなくクラウンローラーを採用しているコンベヤの方が多いかもしれません。
参考
コンベヤの蛇行/片寄りの調整方法はこちらの記事で解説しています。
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コンベヤの搬送ベルトの蛇行や片寄りの調整【張力と直角に走る特性】
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クラウンローラーの特性
クラウンローラーがなぜ蛇行/片寄りに有効化なのか?
それはローラーの円錐形状が影響しています。
円錐形状の特性
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円錐の外径が大きい方は張力が強いので、ベルトが外径の大きい方向に寄る
*円錐形状の特性は下記のイメージ図ご覧ください。
円錐形状の特性
*クリック拡大
外径が大きい方が張力が強く、搬送ベルトはローラーに接触する手間で外径が大きい方へ寄り、その後ローラーの芯に直角に進みます。
つまり、少しづつ右に寄りながら進むので、ローラーを回転させ続けると徐々に外径が大きい方にベルトが寄っていくのです。
この様な円錐形状の特性を利用したクラウンプーリーの場合、搬送ベルトは左右から中央に寄ろうとするので蛇行/片寄りに有効なのです。
クラウンプーリーの特性
*クリック拡大
クラウンローラーを複数使用すると問題が起きる
クラウンローラーの注意として、「1つのコンベヤに多数のクラウンローラーを使用する」と問題が起きることがあります。
それは、全てのクラウンローラーが中央に寄ろうとするのですべてのクラウンローラの「製作精度」と「組付け精度」が出ていないと、逆に蛇行/片寄りが発生することがある為です。
クラウンローラーを複数使用する
基本の考えとしては、駆動ローラーをクラウンローラーとし、機長が長い(全長が長いコンベヤ)は駆動側と受動側にクラウンローラを使用すことが多いと思います。
クラウンローラーの嫌い
ここまでの説明で、クラウンローラーの蛇行/片寄りの有効性がわかっていただけたと思いますが、正直なところ、、、私個人的にはクラウンローラーは嫌いです。
理由
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搬送のレベルが安定しない
クラウンローラーを側面から見るとわかりますが、搬送ベルトはローラーの中央では確実に接触していますが、ローラーの端では搬送ベルトがローラーに接触していなかったり、接触していてもパスラインが低くなります。
これにより、特にコンベヤ間の乗り継ぎでワークの搬送がうまくいかない(搬送異常)ことや、搬送レベルが安定しないのでセンサの検知に抜けが発生したりするのです。
クラウンローラーの嫌い
そうは言ってもクラウンローラーは必要ですから、最終的にクラウンローラーで適切に搬送できるかは「搬送するワーク」や「クラウンローラーのサイズ」に関係するので、設計段階で現場サイドの意見も取り入れた方が良いと思います。
クラウンローラーの重要ポイントまとめ
それでは、クラウンローラーついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ベルトは中央によるため、蛇行防止に有効
- 複数使用する場合は蛇行/偏りが発生する可能性がある
- 搬送レベルが安定しないことがある
以上3つのポイントが大切です。
*設計の知識強化におすすめの本を紹介します。
関連記事:【回転運動の要素】
以上です