【搬送要素】

【アインツ】吸着ハンドを樹脂部品で軽量化する【自己潤滑で長持ち】

 

今回は「吸着ハンドを樹脂部品で軽量化する」についての記事です。

以前から、電子関連では、ワーク(製品)の搬送に吸着を用いられてきましたが、近年ロボットを使った装置が増加したことで、多様な吸着ハンドによる搬送が求められているようですね。

普通に考えたら「吸着なんて吸えばいいだけだから簡単」なんて思われてしまうかもしれませんが、実際は結構難易度が高いです。私自身、吸着搬送の装置を何十台も組立ててきて、クラッシュしたり精度が出なかったり、といろいろな問題に直面してきました。

と言うことで、今回の記事では、吸着に関わる問題を解決するための選択肢として「軽量な樹脂部品」を紹介しようと思います。

 

吸着ハンドを樹脂部品で軽量化する

薄くて軽量なワークを搬送する

「薄くて軽量なワーク」や「柔らかくて変形しやすいワーク」を搬送する方法の一例として「吸着搬送」があります。

吸着は吸着パッドと呼ばれる樹脂やゴム素材でタコの吸盤のような形状の部品をワークに接触させて、真空(負圧)で吸着させる方法が一般的です。

 

 

この中でも、私は「薄くて軽量なワーク」を搬送する機械装置を組立てすることが多いのですが、このような機械装置には共通して求められることがあります。

 

「薄くて軽量なワーク」を搬送する機械装置に求められること

  • 高速動作
  • 狭い空間に搬送
  • キズをつけないように搬送

 

これって実はかなり難易度が高いことなので、苦労することが多いす。

高速動作は割と簡単で、モーターやシリンダの速度を早くすればいいのですが、それによってイナーシャ(慣性モーメント)が大きくなるので「揺れ/振れ」が発生したり「停止精度が悪化」します。結果、構造物に接触してワークに傷がついたり、クラッシュしてしまうことがあるのです。

 

 

このような問題を解決するための方法はいくつもありますが、1つの考え方に「軽量化」が挙げられます。

軽量化すれば、イナーシャ(慣性モーメント)が低減するので、「揺れ/振れ」と「停止精度が悪化」はかなり改善します。しかも、吸着ハンドの軽量化はハンド以外の全ての部品をコンパクトにすることが出来るので、省エネ、低コストになります。

課題をあげるとしたら、軽量化によって「剛性」が低下する可能性があると言うことです。剛性が低下すれば、結局「揺れ/振れ」が発生して「停止精度が悪化」します。このあたりのバランスを考えることも重要ですね。

 

軽量化におすすめの樹脂

吸着ハンドを軽量化したいときには、まずは吸着ハンドの剛性に影響しない部分を検討してみます。

そこで、選択肢として挙がるのは、株式会社スター精機の吸着部品ブランド「アインツ」からリリースされている「樹脂製の軽量パーツ」です。

 

出典:株式会社スター精機 アインツカタログ 吸着金具

*左側は金属と樹脂のハイブリッドタイプ

*右側はオール樹脂タイプ

 

主な樹脂製の軽量パーツのラインナップはこちら

  • エアシリンダ
  • エアマニホールド
  • 吸着パッドの上下可動部品(吸着金具)

 

こちらの商品は展示会で実際に触れてみたのですが、従来の金属製に比べてかなり軽量に感じました。しかも、吸着パッドの上下可動部品(吸着金具)を上下に動かしたところ、非常にスムーズで滑らかでした。

 

アインツの樹脂部品の特徴

それでは、アインツの吸着ハンド用の樹脂部品の特徴をまとめてます。

 

樹脂部品の特徴

  • 耐摩耗性が高い
  • 従来の金属素材に比べて約35%から70%の軽量化

 

自己潤滑性がある低摩擦素材の樹脂を使用しているので、給油がなくとも動きがスムーズで金属製よりも長持ちします。重量に関しては製品の種類によりますが、約35%から70%程度の軽量化です。吸着パッドの数が多いほど軽量化の恩恵がありますね。

とは言え、メリットだけでなく欠点もあるので確認しておきましょう。

 

樹脂分の欠点はコレ

  • 金属に比べて破損しやすい

 

やはりこの点は金属には劣ります。クラッシュしたり大きな負荷が繰り返しかかると破損してしまうリスクがあります。

例えば、「吸着時にワークに押し付ける量が多い」「大きくて重たいワーク」「ワークの形状にバラツキがある」と言った場合には破損のリスクが高まりますので、十分に検討したほうが良いです。

 

今後、期待したいこと

アインツの樹脂部品は採用できる可能性は十分にありますが、まだまだ軽量部品のラインナップが少ないので今後の商品開発にも期待したいです。

 

出典:コンバム株式会社(旧名:妙徳) ワーク落下防止用チェック弁

 

例えば、コンバムの「ワーク落下防止用チェック弁」のような吸着補助部品と組合せて使用できる樹脂部品であったり、PISCO(ピスコ)の吸着パッドの進化系「真空シリンダ」のような画期的な吸着部品を、樹脂製で独自の吸着部品として開発してもらえるとさらに選択肢が広がるわけです。

 

出典:PISCO 真空シリンダ カタログ

 

 

ポイントまとめ

それでは、吸着ハンドについて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 吸着ハンドに樹脂部品を使用すれば軽量化できる
  • 軽量化すれば、イナーシャ低減できるので「揺れ/振れ」と「停止精度が悪化」の対策できる
  • 樹脂部品は自己潤滑なので耐摩耗性があるが、負荷に弱いので破損しやすい

 

以上3つのポイントです。

 

 

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以上です。

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