今回は「物流を支援する自走ロボット」についての記事です。
先日ですが「ロボットテクノロジージャパン2022」に行ってきたのですが、私が一番興味を持ったのは「デバンニング」と呼ばれるトラックの荷台やコンテナから荷物を取り出す作業に特化した自走ロボットでした。
自走ロボットというと、安全性重視の協働ロボットを採用しているのが普通ですが、中西金属工業さんの自走ロボット「ロボスクエア」はパワフルな産業用ロボットを採用しているようで、非常に印象的でした。
そこで今回の記事では、世の中の根底を支える物流に新しい波「デバンニングロボット」についてまとめておこうと思います。
物流を支援する自走ロボット
物流で大変なことは積み下ろし作業
「モノを運ぶ=物流」は私たちの生活、仕事、に欠かせない存在で、日本の根底を支えています。
単にモノを運ぶと言えば「トラックで輸送」することをイメージしがちですが、実際にはそれ以外にも大変な作業があります。
物流で大変な作業と言えばコレ
-
荷物の積み下ろし
トラックにモノを積み下ろしするときには、フォークリフトに代表されるリフトマシンで作業をするの一般的ですが、人が一つ一つ積み下ろしすることもあります。
いずれにしても、人が関わって作業をするわけなので、いろいろな課題があるんです。
積み下ろしの課題はこんなこと
-
人による作業が欠かせない
-
簡単な作業であっても数が多いと時間がかかる
-
人力で積み下ろしをすれば、肉体的な負担が大きい
リフトマシンを使えば積み下ろしはラクですが、操作するのは人なので、人による作業が欠かせません。しかも、同じ大きさの段ボールが何百個ある場合は、簡単な作業のわりに非常に時間がかかります。パレット積みならパレットごと積み下ろしすればいいだけかもしれませんが、結局はパレットの段ボールを積み下ろす作業(パレタイズ)はあるわけでなので、もし人が段ボールの積み下ろしをしているなら肉体的な負担は大きいです。
余談ですが
私が子供のころに見た、「トラックドライバーのドキュメンタリー」では、深夜、早朝にトラックドライバー自ら鮮魚や果物が入った箱を人力で積み下ろしをしていて、ものすごく大変な仕事なんだって思ったものです。もしかしたら、今もそれが当たり前って環境もあるのかもしれません。
AI搭載の積み下ろしロボット
モノの積み下ろし作業の中でも、「荷下ろし」に特化したロボットがデビューしました。
中西金属工業さんの荷下ろしロボット
-
Robo Square(ロボスクエア)
ロボスクエアはAGVと呼ばれる無人搬送車にAI制御のロボットを搭載し、しかも荷物を搬送するためのコンベアが一体化している荷下ろしロボットです。
川崎重工の6軸の産業用ロボットに中西金属工業の無人搬送車を組合わせて共同開発したそうです。
出典引用:中西金属工業株式会社 Robo Square(ロボスクエア)
人の代わりに、30kgまでの段ボール箱を積み下ろし。
AI制御の精密ロボットアームと、簡単学習で、ルートを自律走行する移動装置のあわせ技で、必要な場所に駆けつけ、人の代わりに重たい荷物を運びます。
荷役現場の脱人力化によって、コスト削減・高効率化を実現します。
このロボットは、「デバンニング」と呼ばれるトラックの荷台やコンテナから荷物を取り出すことに特化していて、「同じ大きさの箱もの」で「数もの」の荷物に最適なんです。
なので、物流の上流側で活躍が見込めます。逆に、宅急便のような多品種の輸送には活躍できません。
ロボスクエア特徴まとめ
ロボスクエアの特徴をまとめるとこんな感じです
特徴まとめ
- 時間に左右されずに24時間積み下ろしが出来る
-
30kgまでの段ボールの荷下ろしに対応(2個どりも可能)
-
AI搭載なので、荷物の形状や走行ルートの学習ができる
- 必要な荷下ろし場に自分で移動し作業が終われば撤収する
-
コンベア一体型なので、荷下ろししながらモノの排出が可能
気になる安全性について
-
無人搬送車にセンサが搭載されていて、周囲のエリアを監視している
障害物や人を検知すると停止します。と言っても、「どの程度の検知能力なのか?」疑問がありますよね。可動範囲が広い6軸ロボットの危険性は非常に高いので、気になるところです。
私も、実機でテストしたわけではないので正確なところがわからないのですが中西金属工業さんはすでに「無人走行ロボットフォークリフト」を販売していて実戦での実績があります。なので、安全性についてはノウハウがあり信頼性があると思われます。
紹介動画
ロボスクエアのデモ動画がありましたのでご覧ください。
こちらは、すでに実践投入されている無人走行ロボットフォークリフトの動画です。
ポイントまとめ
それでは、ロボスクエアについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ロボスクエアは「デバンニング」と呼ばれるトラックの荷台やコンテナから荷物を取り出すことに特化している
- 「同じ大きさの箱もの」で「数もの」の荷物に最適で、物流の上流で活躍する
- 無人走行ロボットフォークリフトはすでに実践投入されているので、今後物流の無人化が加速する
以上3つのポイントです。
参考
*機械装置の出荷と荷積みの方法についてはこちらの記事で紹介しています
-
機械装置の出荷と荷積みの方法【国内と海外の輸送を段取りする】
続きを見る
*AIの参考に「AIにできること、できないこと」
関連記事:【搬送要素】
以上です。