今回は「エアモーターの特徴と種類と構造」についての記事です。
モーターと言えば電力を動力とした電気モータが一般的ですが、実は圧縮空気(エアー)を動力としたエアモータと言うモノがあります。
私にとっては、エアモータはあまり使用する機会がないのですが、覚書としてエアモータの特徴と種類と構造について基礎情報をまとめておこうと思います。
エアモーターの特徴と種類と構造
エアモータとは
エアモータとは、圧縮空気(エアー)のエネルギーを回転運動で出力する原動機で、エアーの動力しかない仕様や環境であったり、粉塵や可燃瀬ガスなどの爆発や火災が起きやすい現場などで使用されます。
*原動機とはエネルギー変換機構のことです。
出典:TAIYO エアモータ カタログ
普通、回転運動の原動機と言えば電力エネルギーによる電気モータが一般的ですが、実は圧縮空気を動力とするモータもあるということなのです。
特徴
エアモータの特徴と欠点をまとめてみます。
特徴
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防爆対応
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発熱しない
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電気モータより軽量
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電気モータより小型
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過負荷になっても焼損しない
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速度はスピードコントローラーで調整する
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トルクは減圧弁(レギュレータ)で調整する
欠点
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エアー源が必要
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低回転が安定しない
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エアー独特の騒音がある
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潤滑油やグリスの給油が必要
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潤滑油の大気解放は公害になる
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停止していても若干のエアーを消費する
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回転数、トルク、位置の高精度な制御ができない
エアモータと電気モータの特徴を一覧で比べてみますと、こんな感じになります。
エアモータ | 電気モータ | |
防爆対応 | ◎ | ○(防爆仕様のモータあり) |
軽さ | ○ | △ |
大きさ | ○ | △ |
トルク制御 | ○ | ◎ |
速度性制御 | ○ | ◎ |
低回転の安定性 | △ | ○ |
過負荷の焼損 | ない | ある |
騒音 | △ | ◎ |
動力 | 圧縮空気 | 電力 |
発熱 | なし | あり |
給油 | タービン油VG32 | 不要 |
公害 | △ | ◎ |
回転数、トルク、位置の高精度な制御 | × | ◎ |
種類と構造
エアモータの空気圧を回転運動に変換する機構には種類がありますが、その代表的な機構はベーン形とピストン形の2種類です。
ベーン形のエアモータ
ベーン形のエアモータは、ケース内にベーンと呼ばれる羽根が円周上に数枚組みこまれている構造で、ベーンは供給された圧縮空気によってローターを回転させます。
出典:出典:TAIYO エアモータ カタログ ベーン形エアモータ
ベーン形の本体は縦長でスリムなので、エアリューター、エアグラインダ、エアドリルなどのエアーツールに採用されています。
ピストン形のエアモータ
ピストン形のエアモータは自動車のエンジンと似た構造で、ピストン、コンロッド、クランクシャフトで構成されています。
圧縮空気が各シリンダに供給されることで、ピストンが上下運動をし、それによってコンロッドがクランクシャフトを回転させています。
出典:出典:TAIYO エアモータ カタログ ラジアルピストン形エアモータ
ポイントのまとめ
それでは、エアモーターの特徴と種類と構造について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- エアモータとは、圧縮空気(エアー)のエネルギーを回転運動で出力する原動機
- エアーの動力しかない、防爆対策などの環境で使用される
- エアモータの機構はベーン形とピストン形が代表的
以上3つのポイントが大切です。
関連記事:【回転運動の要素】
以上です。