今回は「水平は再現性があるから基準」についての記事です。
普通、機械装置の組立や据付では「水平」にすることが当たり前とされていますが、それはなぜでしょうか?
今回の記事では、機械装置の組立ての基本となる「水平」の考え方についてまとめておこうと思います。
水平は再現性があるから基準
水平は基準
一般的に機械装置の組立や据付では「水平が基準」とされています。
しかし、なぜ「水平が基準」なのでしょうか?
水平が基準の理由
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水平は再現性がある
つまり、機械や装置を組立てたり据付けたりする時に、水平は再現性があるので基準となるのです。
部品単体でもユニットでもベースフレームでも全ての基準は水平です。
傾きの影響
例えば、ベースフレームが水平に対して傾いたままで組立を進めたとしましょう。
そこに取付ける部品/ユニットは、ベースフレームと平行である場合がほとんどですから、部品/ユニットも傾いた状態となります。
となると、このような状態で組立てをしようとしても、精度測定に必要な高さ測定器は使えないと言うことになります。
イメージ
では、傾きを測定する水準器はどうでしょうか。
水準器は水平に対しての傾きを測定する測定器ですから、傾きありきの状態を前提にしていないので、測定範囲を超えてしまい測定不可になってしまうことが考えられます。なので、傾いたベースフレームに部品を傾けて取付けて測定することは出来ないと思った方が良いです。
となると、ベースフレームから、ダイヤルゲージで高さと平行を測定すれば良いのではないか?、、、という考えが思いつくでしょう。
しかしそれには、ダイヤルゲージで測定ができる条件がそろっていなければなりません。
ダイヤルゲージで測定する条件はコレ
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ベースフレームの平面度が保証されている
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ダイヤルゲージを走らせるスペースがあること
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部品/ユニットの面精度が確保されていること
この条件がそろっている機械装置であれば、ダイヤルゲージで測定する方法も有効です。
もし、ベースフレームが黒皮で平面度が悪い場合でも、定盤でユニット組立するときにはダイヤルゲージで測定する方法が使えます。
それでも水平にするべき
水平にするべき理由は他にもあります。
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芯は水平度合いに影響される
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搬送系は傾きの影響を受けやすい
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組立ての精度確認の要素を増やすため
芯はフレームの傾きによって変化するので、傾いているベースフレームの芯は「どこが芯なのか?」の認識間違いが起きてしまうリスクが高いです。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
搬送系装置が傾いていると、重力の影響で斜め搬送になってしまうリスクが高く、搬送異常やワーク不良が発生し易くなります。
水平で組立てられた機械装置は、オートレベル、水準器、レーザー墨出し器、ダイヤルゲージなどの複数の測定器で評価することができます。なんのメリットがあるかと言えば、1種類の測定器だけで評価するのではなく、複数の測定器で評価することで、測定器の器差や誤差の程度を正しく認識することができ矛盾も含めて総合的な判断ができるし、作業者の測定ミスを低減することができるのです。
このような理由を考えますと、やはり傾きにメリットはなく、水平を基準として考える方法が最善なのです。
水平についてのポイントまとめ
それでは、水平について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 水平は再現性があるから基準となる
- 条件がそろえば、ダイヤルゲージで測定する方法も有効
- 水平を基準として組立てることはメリットしかない
以上3つのポイントです。
参考
*関連記事:【精度測定/精度調整】
以上です。