今回は「PL(パスライン)とFL(フロアレベル)の考え方」についての記事です。
機械装置のなかでも、搬送設備のように装置間のやり取りがある場合にはパスラインとフロアレベルの2つのキーワードが非常に大切です。
しかし、その意味を分かっていたとしても、いざ現場作業となったときにいい加減な作業になってしまったり、そもそもその重要性を理解していなかったり、、、様々な要因で機械装置の組み立てや据え付けのレベル調整に問題を抱えてしまうケースが多く見受けられます。
そこで今回は、パスラインとフロアレベルについて再確認しておこうと思います。
パスラインとは
パスライン(以下PL)とは 「ワークを搬送する高さ」 です
アウトラインで設置する装置には関係ないかもしれませんが、マテハンや装置間のやり取りがある場合には 「パスラインを合わせる」 事は絶対に守るべき条件になります。
例えば、パスラインが合っていないと、、、、
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不良の発生・・・ワーク(製品)に傷やカケが発生する
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搬送異常・・・ワークが引っかかって搬送異常が起きる
このようなことが起きるリスクが高まります。
フロアレベルとは
フロアレベル(以下FL)とは 「装置を設置する床の高低差」 です
据付はこの高低差を吸収してパスラインを合わせる作業になります。
しかし、高低差の吸収には設計段階で吸収できる構造を盛り込んでおく必要があるのですが、設計者によっては現場の知識が浅く、フロアレベルを加味した設計をおろそかにしてしまうケースがあります。
もしも、据え付け段階で吸収できないことが発覚したとすると、、、、
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現場でフレームの足を切断
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新たに部品を追加(改造)
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ライナーの追加が必要
このような事態となるでしょう。
PLとFLの矛盾点
図面に記載されている「PLとFL」の関係性、実際の現場での状態と比べると矛盾が起きます。
それは、図面に記載されている「FL~PL」までの寸法に対して、実際のFLは高低差があるので装置間のPLを合わせる(装置の水平)と図面に記載されているFL寸法は守れないと言うことです。
イメージ
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このような矛盾に惑わされると混乱してしまいますが、気にする必要はありません。
それは、最終的には図面のFL~PLの高さは重要ではなく、守るべきことは「水平かつ搬送高さが一致しているか?」だからです。
PLとFLの矛盾をどうするべきか
考え方
「FLは水平ではない」を前提にする事です。
その為にアジャストボルトがあるわけですが、見落としがちなのはライナーで高さ調整する装置です。
ライナー調整の場合は、図面のFL~PLまでの寸法に対してプラス/マイナス出来る設計が必要で、図面寸法の時の装置にはライナーが入っている状態となり、そこから増やしたり減らしたりしてPLを合わせます。
据付
事前にFLの測定をしておくことが望ましいです。一番高い所と低い所を把握しておけば、図面のFL~PLまでの寸法を何処のFLのポイントで設定するかを把握できます。
これがうまくいかないと、高さ調整が出来ない(調整限界)装置が発生します。
まとめ
私は150mまでのマテハン据付を何度か経験しています。その時に起きる問題は「FL」です。分かっていそうで分かっていないこと、参考にしてください。
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以上です。