エアシリンダは新品の状態でも何らかの影響で動かないことがあります。これはとても稀なことなのですが、私が今まで経験してきたトラブルには何度かそのようなことがありました。
今回の記事ではシリンダの取り付けブラケットに問題があるパターンを紹介しようと思います。
記事の目次
ガイド付きシリンダが動かない原因を考える
先日のこと、、、新規装置を立上げ中の手動動作確認の作業中に「新品なのに動かないガイド付きシリンダ」があり、作業が中断してしまいました。
さて、、、その原因は何だったのでしょうか?
出典:SMC ガイド付薄形シリンダ MGP
トラブルの現象
まずは、トラブルの現象を整理しておきます。
トラブルの現象
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ときどき動くこともあるが、基本動かない
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動いてもストローク中間で動かなくなる
やってみたこと
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スピコン調整
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エアーの元圧を0.4Mpaから0.5Mpaにアップ
シリンダがまともに動作しないので、まず初めにスピコン調整をしてみましたが、スピコンを全開にすれば何とか動きました。ただ、それでは実用的でないので、問題解決とはなりません。
次に、エアーの供給圧力を0.4Mpaから0.5Mpa挙げてみたのですが、すると動作するように0.4Mpaよりは動作する回数が増えましたが、これも結局は動くようになっただけ、、、の話しなので問題解決とはなりません。
そこで、もっと深く原因追及するために、シリンダの取付ブラケットをバラしてシリンダ単体の動作確認を実施してみることにしました。
シリンダブラケットの歪みと対策
ガイド付きシリンダ単体の動作はどうか?
機械に組付けられていたシリンダを単体にして、動作確認をしてみました。
単体で動作確認した結果、、
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正常に動作した
シリンダ単体ですと正常に動作するので、シリンダ本体には問題がない事が明らかになりました。
シリンダ単体だと正常だけど、組付けると動かなくなる、、、、と言うことは、シリンダの組付けに問題があると言うことになります。
その疑問を解決すべく、シリンダの取り付けブラケットを調べてみることにしました。
シリンダの取り付けブラケットの歪み
シリンダブラケットを調べてみるとあることに気が付きました。
気が付いたこと
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ブラケットのシリンダの取り付け面が0.5mm反っていた
つまり、ガイド付きシリンダが動かなかった原因は、、、
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ブラケットの反りによってシリンダのボディが歪み動作不良がおきた
シリンダのボディが歪むとガイドとすべり軸受け(ブッシュ)に芯ずれが起きてスムーズな動作が出来なくなり、引っかかり動作になります。動きにくい可動部には大きな力を加えれば無理やり動くので、スピコンを全開にしてエアーの急激な供給の勢いで動く、エアーの供給圧力を上げて推進力を増大させる、ことをすれば一時的には動くわけです。
ガイド付きシリンダの動作不良の対策
動作不良の原因は、ブラケットに反りが発生していたためでした。
つまり重要なことはこれです、、
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ガイド付きシリンダのブラケットには平面の精度が必要
そこで、考えた対策として、、
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シリンダの取り付け面の精度は0.2mm以下の平面度とする
この程度の精度が確保できれば動作に問題ないと結論付けました(実際にどの程度まで許容できるのか、何度か実験した)
0.2mm以下の平面度とするためには、例えば下記のような方法が考えられます。
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取り付け面は面削する
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黒皮材ではなく、みがき材を使用する
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曲げのブラケットの場合は、曲げた位置から取付面までの距離を30mm以上距離を置く
以上3点を守ればガイド付きシリンダが動かないトラブルは防げます。
注意:取付ブラケットとはシリンダボディとエンドプレートの両方を指しています。どちらかのブラケットの平面度が悪ければ動作しない可能性があります。
シリンダ
ポイントまとめ
それでは、ガイド付きシリンダが動かない原因ついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- シリンダは取り付け面の精度が悪いと動かないことがある
- シリンダの取り付け面の精度は0.2mm以下とする
以上2つのポイントです。
今回のエアシリンダが動かない(動作不良)には特にガイド付きシリンダに起きやすい現象です。ガイド付きシリンダの場合はブラケットの反りでシリンダのピストンではなくガイドにひずみが生じて動作不良となります。
機械や装置にはエアシリンダは必要不可欠ですから使用頻度が高く、安価に仕上げたい気持ちもわかりますがトラブルが起きないように最低限の対策はしましょう。
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以上です