今回は「ガイド付きシリンダが動かない原因【シリンダブラケットの歪み】」についての記事です。
シリンダは新品の状態でも何らかの影響で動かないことがあります。これはとても稀なことなのですが、私が今まで経験してきたトラブルには何度かそのようなことがありました。
今回の記事ではシリンダの取り付けブラケットに問題があるパターンを紹介しようと思います。
記事の目次
ガイド付きシリンダが動かない原因を考える
先日のこと、、、新規装置を立上げ中の手動動作確認の作業中に「全く動かないガイド付きシリンダ」があり、作業が中断してしまいました。
さて、、、その原因は何だったのでしょうか?
トラブルの現象
まずは、トラブルの現象を整理しておきます。
トラブルの現象
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全く動作しない時もある
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スピコン調整しても解決しなかった
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新品のガイド付きシリンダなのに動かない
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ストローク中間まで動作し動かなくなる
どうでしょうか?この情報ではまだ何が原因かわかりませんよね。
そこで、原因を調べるために、シリンダの取付ブラケットをバラしてシリンダ単体の動作確認を実施してみることにしました。
シリンダブラケットの歪みが原因
ガイド付きシリンダを単体で動作確認してみますと、、、
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正常に動作した
シリンダ単体ですと正常にどうさして、シリンダをブラケットに固定すると動かなくなる、、、、
その疑問を解決すべく、シリンダの取り付けブラケットを調べてみることにしました。
シリンダの取り付けブラケットの歪み
シリンダブラケットを調べてみるとあることに気が付きました。
気が付いたこと
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ブラケットのシリンダの取り付け面が0.5mm反っていた
つまり、ガイド付きシリンダが動かなかった原因は、、、
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ブラケットが0.5mm反っていて、ガイド付きシリンダのボディを歪ませて動作不良がおきた
このような結論に至りました。
ガイド付きシリンダの動作不良の対策
動作不良の原因は、ブラケットに反りが発生していたためでした。
つまり重要なことはこれです、、
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ガイド付きシリンダのブラケットには平面の精度が必要
そこで、考えた対策として、、
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シリンダの取り付け面の精度は0.2mm以下の平面度とする
この程度の精度が確保できれば動作に問題ないと結論付けました(実際にどの程度まで許容できるのか、何度か実験した)
0.2mm以下の平面度とするためには、例えば下記のような方法が考えられます。
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取り付け面は面削する
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黒皮材ではなく、みがき材を使用する
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曲げのブラケットの場合は、曲げた位置から取付面までの距離を30mm以上距離を置く
以上3点を守ればガイド付きシリンダが動かないトラブルは防げます。
注意:取付ブラケットとはシリンダボディとエンドプレートの両方を指しています。どちらかのブラケットの平面度が悪ければ動作しない可能性があります。
ガイド付きシリンダが動かない原因のポイントまとめ
それでは、ガイド付きシリンダが動かない原因ついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- シリンダは取り付け面の精度が悪いと動かないことがある
- シリンダの取り付け面の精度は0.2mm以下とする
以上2つのポイントです。
今回のエアシリンダが動かない(動作不良)には特にガイド付きシリンダに起きやすい現象です。ガイド付きシリンダの場合はブラケットの反りでシリンダのピストンではなくガイドにひずみが生じて動作不良となります。
機械や装置にはエアシリンダは必要不可欠ですから使用頻度が高く、安価に仕上げたい気持ちもわかりますがトラブルが起きないように最低限の対策はしましょう。
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以上です