今回は「エアー回路の接続間違いの対処法」についての記事です。
機械装置の動力として欠かせない圧縮エアーですが、新規で組立てたときや改造したときに試運転をおこなうと、エアーチューブの接続間違いによる動作不良が発生することがあります。
接続間違いの原因はいくつかあるのですが、元を正せばすべて人為的ミスです。見方を変えると、人がやることなのでミスは起きてしまうってことになります。確率を少なくすることはできますが、ゼロにすることはなかなかできることではありません。
そこで今回の記事では、エアー機器の動作が逆のときに、どのように対処したらよいのか?について私のやり方をまとめておこうと思います。
記事の目次
エアー回路の接続間違いの対処法
新規の機械装置や改造したときのトラブル
機械装置を立上げて試運転すると、色々なトラブルが発生しますね。
例えばこんな事
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空圧制御の可動ユニットの動作が「逆」に動いてしまう
これは新規で機械装置を作った時や、既存の機械装置を改造した時などによく起きることです。特にエアー回路の系統が多いと、このような現象が起きやすくなります。
エアー回路図(図面)どおりに施工したのに、動作が逆になってしまう原因の多くは「エアーチューブの接続間違い」です。本来なら図面を見ながら作業をおこなっているので、接続間違いをすることは無いはずですが、人が作業をおこなうことなので、「見落とし」「勘違い」「差し間違い」などの間違いがどうしても起きてしまいます。これは電気配線にも起こることで、I/Oチェックしたときに信号線の接続間違いが発覚することは良くあります。
なので、エアーチューブの接続間違いは「しかたがないこと」として認識しておき、もし動作が逆の時には間違いの状況に応じて対処しなければなりません。
「動作が逆」になる現象と対処方法
体表的な「動作が逆」の現象はコレです
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エアモータの回転が逆
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エアーバルブの切替わりが逆
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エアシリンダ(アクチュエータ)の動作が逆
そして、このような現象の原因はいくつかあります
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エアーの接続先が逆
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エアー回路図が逆
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電気ハード図面か配線が逆
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PLCの回路が逆になっている(I/O間違い)
試運転するときに、電磁弁の手動操作やPLCからの出力によってエアーを供給したときに、動作に不具合が生じる現象です。
右回転するはずが左回転した、チャック閉のはずがチャック開した、など機械装置の立上げ初期段階で良くあることです。このような不具合の対処方法が分からない場合は、下記のフロー図を参考にしていただくと解決の糸口になります。
動作が逆の時の原因フロー
*クリック拡大
「エアーの接続先が逆」の対処方法
では、ここからはエアーの接続先が逆であった場合の対処方法を紹介します。
エアーの接続先が逆の状況は2つのパターンがあります
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接続先の線番が逆になっている
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線番は回路図と同じで、間違っていない
エアー回路図と実際のエアーチューブの接続を比べたときに、「接続先の線番が逆になっている」場合は、エアー回路図と同様になるようにエアーチューブを差し替えます。
エアーチューブを差し替えたことで、線番の並びはエアー回路図どおりになりそれが正しい状態です。
動作確認して、動きが正しくなっていれば対処完了となります。
もし、エアーチューブの長さが問題で線番が逆になっている部分で差し替えることができない場合は、逆側の末端で差し替えて対処することも可能です。ただし、この方法を行うと逆側の末端の線番が入れ替わってしまうので、線番を正しい並びに付替える必要があります。もちろん、差し替えるはずであった、もともと線番が逆であった部分の線番も付替えて正し並びにしなければなりません。
参考
接続先の線番が逆になっている場合の対処方法
*クリック拡大
接続先の線番が逆になっている事例
エアーチューブの線番が間違っている部分で差替えて対処する方法
エアーチューブを線番が間違っていない部分で差替える方法
「線番は回路図と同じで、間違っていない」場合は、線番の取付つけ間違いが原因です。
本来は系統が同じエアーチューブの両端の線番は同一でなければならないのですが、系統が同じなのに両端に付いている線番が違うのです。
この場合は、エアーチューブを取り外して、エアーガンや電磁弁の手動動作などによって、仮にエアーを吹き出すと、どの系統が何番になっているのか?が明確になります。線番の間違いがわかればエアー回路図に従って線番を正しく取付け、接続すれば対処完了です。
線番は回路図と同じで、間違っていない場合の対処方法
線番は回路図と同じで、間違っていない事例
対処後
絶対にやってはいけない対処方法
機械装置を試運転して、エアー機器の動作が逆だったときに絶対にやってはいけないことがあるので、紹介しておきます。
絶対やってはいけないことはコレです。
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原因を調査せずにエアーチューブを差替える行為
これって、実はよくありがちな行為です。
確かに、エアーチューブを差替えれば「正確な動作」になるのですが、これには大きな危険性があります。
危険性はコレです。
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線番、図面、PLC(ソフト)が間違ったままになる
機能としては正しく動作すれば問題ないのですが、正しく修正されていない状態は、将来のトラブルの元になります。
線番が間違ったままであれば、メンテナンスでエアーチューブを抜いた時に正しく差しなおして動作が逆になってしまいます。
図面が間違ったままであれば、図面を流用したときに同じ問題が発生します。
PLC(ソフト)が間違ったままであれば、ラダーの変更やソフトの流用したときに不具合が発生します。
このように、機械装置は「すべてが正しい状態」ってことが必須なのです。なので、いくら面倒であっても、その場しのぎを対応をせずに、しっかり修正することを心がけましょう。
ポイントまとめ
それでは、エアー回路の接続間違いの対処方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- エアー機器の動作が逆になってしまう原因はいくつかあるので、安易にエアーチューブを差し替えて対処しないこと
- エアーの接続先が逆の場合は「接続先の線番が逆になっている」「線番は回路図と同じで、間違っていない」の2つパターンがある
- 接続先の線番が逆になっている場合は、エアー回路図に従ってエアーチューブを差し替えて対処する
- 線番は回路図と同じで、間違っていない場合は、線番の付け間違いを修正し、エアー回路図に従ってエアーチューブを接続して対処する
以上4つのポイントです。
*エアーチューブの切断にはチューブカッターがおすすめです。真っ直ぐ綺麗にスパッと切れます。
関連記事:【空気圧/油圧】
以上です。