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【潤滑油/グリス/ケミカル 】

バルブコンパウンドの特徴と使い方【硬い粒で金属を削り精度調整】

2022年3月2日

 

今回は「バルブコンパウンドの特徴と使い方」についての記事です。

バルブコンパウンドはエンジンのバルブのすり合わせに使用することで有名な研磨剤ですが、それ以外の「研磨」作業にも使うことができます。私は機械組立をしていますが、1年に一回くらいはすり合わせ、精度調整で使用します。思い返せば、バルブコンパウンドを初めて使用したのが10代の学生時代でした。バイクのシリンダーヘッドの圧縮を上げるために、ガラスを土台にしてリンダーヘッドを手作業で平面研磨したことがありました。

と言うことで、今回は親しみのあるバルブコンパウンドについて、基礎情報をまとめておこうと思います。

 

バルブコンパウンドの特徴と使い方

バルブコンパウンドの特徴

バルブコンパウンドとは、ペースト状の研磨剤のことで、別名みがき剤と呼ばれています。

研磨の主成分は「炭化ケイ素(SIC)」または「アルミナ」の粒子で、ダイヤモンドに次ぐ硬度なので非常に硬く研磨に適しています。

研磨剤だけでは粉状でサラサラした状態なので、すり合わせには不向きです。そのため、油脂(オイル)を研磨剤に混ぜてペースト状になっています。

*補足、一般的には流通していませんが、研磨力が弱い天然の砂を使用しているタイプもあります。柔らかい材質に向いています。

 

バルブコンパウント

バルブコンパウンド

バルブコンパウンド

 

炭化ケイ素が主成分のコンパウンドが研磨できるもの(色が緑色のモノです)

  • 刃物
  • 樹脂
  • 軟質金属
  • 超硬金属

 

アルミナが主成分のコンパウンドが研磨できるもの(色が白色のモノです)

  • 水晶
  • ガラス

 

標準的な粒度の種類はこちらです

  • 荒 #60
  • 中 #120
  • 細 #240

 

粒度はこの他にも、#16~#30000 まで幅広い種類がありますが一般的には流通していません。バルブコンパウンドの製造メーカー大手の株式会社ミナモさんでは指定すれば購入できます。【補足、粉末の研磨剤も購入できるようです。気になる方はお問い合わせください。】

 

バルブコンパウンドの成分(株式会社ミナモさんのデータです)

  • 油脂 57%
  • 研磨剤(炭化ケイ素) 43%
  • 引火点 160℃以上
  • 毒性 特になし

 

実際に使用した感想まとめ(私の個人的感想です)

  • 穏やかに削れる
  • 沢山削りたいときには不向き
  • 長時間研磨すると力加減で斜めに削れる

*実際の研磨方法は記事の後半で紹介しています。

 

バルブコンパウンドの用途

バルブコンパウンドの用途はその名の通り、エンジン(内燃機)のバルブ(吸排気の弁)とバルブシート(弁座)のすり合わせに使用することで知られている研磨剤ですが、基本的には何を研磨してもOKです。

 

バルブコンパウンドの用途

  • 精度調整
  • すり合わせ
  • 汚れや錆を落とす
  • 滑り止めとして使う

 

1/1000~1/100単位の精度調整であったり、メタルタッチ金属部品の密着)を高めるためにすり合わせをしたり、頑固な汚れを落とすためにウエスにつけてこすったり、様々な表面を削る作業に使用ができます。

変わった使い方としては、例えばねじの頭がなめてしまったときに、工具とねじの滑り止めとしてバルブコンパウンドを塗ってねじを緩める方法があります。

 

 

と、、ここで注意なのですが、バルブコンパウンドで研磨するとサンドペーパーをかけたように細かい傷がついて、見た目が濁った感じになるので、傷をつけたくない場合は要注意です。

バルブコンパウンドの粒度は  ~#30000 まであるので、徐々に細かくしていけば透明感が出てくると思いますが、一般的には流通していません。流通している標準的な粒度の 荒#60 中#120 細#240 はザラザラな表面になるので、心配であれば見えない部分でテストすることをおすすめします。

 

参考:使い方

バルブコンパウンドで部品や材料を単体で削るときには、硬くて平面が良い土台が必要になります。

どのような材質の土台が最適なのか一概には言えませんが、私の場合は安価で入手しやすい「ガラス板」を使用しています。

 

作業のポイントはこちら

  • 力加減でななめに削れるリスクがある
  • 縦、横、円、8の字、など、研磨方法は自分で工夫する

 

実際にやってみると、手作業なので力のかけ方が悪くてななめに削れてしまうことがあります。なので、動かす方向や持ち方などは自分で工夫してみてください。

 

では今回は、テストでガラスを土台として廃材のアングル材を研磨してみます。

 

用意したもの

  • ガラス板
  • バルブコンパウンド 粒度:中

 

バルブコンパウント

準備

バルブコンパウンドで研磨する

バルブコンパウンドを研磨する面に塗る

バルブコンパウンドで研磨する

手作業で研磨する

バルブコンパウンドで研磨する

5分研磨した状態です

バルブコンパウンドで研磨する

 

研磨してみると、削れた部分と削れない部分の違いが目視で判断できます。

沢山削れている部分は凸で、削れていない部分は凹です。この作業を引き続き行っていけば、平面が整ってきます。もし、もっと明確に当たりを確認したい場合は「光明丹」などの顔料を使うのがおすすめです。

 

参考

光明丹については、こちらの記事でふれています

 

ポイントまとめ

それでは、バルブコンパウンドの特徴と使い方について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • バルブコンパウンドとは、「炭化ケイ素(SIC)」または「アルミナ」の粒子のペースト状の研磨剤
  • 流通している標準的な粒度は「荒#60」「中#120」「細#240」です
  • 研磨のは力加減でななめに削れるリスクがあるのでやり方を工夫する必要がある

 

以上3つのポイントです。

 

*バルブコンパウンドの購入はこちらから

 

*ガラス板の購入はこちらから

 

*研磨した面の当たりをみる場合は光明丹がおすすめです

 

関連記事:【潤滑油/グリス/ケミカル 】

以上です。

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