今回は「接着剤と液体ガスケットの正しい塗り方」についての記事です。
接着剤や液体ガスケットは「空洞ができる」と接着力が弱くなって剥がれたり液体が漏れたりしますが、その原因は接着剤や液体ガスケットを「指で塗る」「指で広げる」「ヘラで薄く延ばして塗る」が考えられます。私も以前はこのようなやり方で塗っていたし、このようなやり方で塗っている人をたくさん見てきましたが、実は「悪いやり方」なのです。
そこで今回の記事では、接着剤や液体ガスケットの塗り方について事例を交えて紹介しようと思います。
記事の目次
接着剤と液体ガスケットの塗り方
接着剤と液体ガスケットで起きる問題
接着剤や液体ガスケットを塗って何かを固定したり、漏れないように密閉したりすることって仕事でもDIYでもよくある作業ですよね。
もちろん私も頻度高めで行うことが多いのですが、施工後に決まって問題になることがあります。
いろいろな接着剤
接着剤や液体ガスケットで起きる問題
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簡単に剥がれてしまった
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液体が漏れてきた
具体的な例を挙げるとこんなことです
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もともと接着剤で貼り付けてあった部品が剥がれてしまったので、自分で接着剤で貼り合わせて修理したら1週間で剥がれてしまった
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オイルパンをエンジンの修理で外した。組立てる時に液体ガスケットを塗ってオイルパンを組付けたけど、エンジンオイルを入れたら漏れてきた
こんな経験ありませんか?私はこんな経験を沢山してきましたが、正直このようなトラブルの原因が何なのか?は一概に断言できないのが辛いところです。「脱脂している」「部品の表面にゴミはなく状態は良好」「使用目的に合った接着剤/液体ガスケットを使っている」と言った場合には「何が悪いのか?」分からずじまいで困ってしまうんです。
で、そんな時に注目してほしいのが「施工方法」なんです。私が言っている施工方法とは「塗り方」なのですが、接着剤や液体ガスケットの塗り方が悪いと「剥がれやすい」「漏れる」ことが起きるんです。
塗り方が悪いと剥がれて漏れる
接着剤や液体ガスケットの塗り方が悪いとこんなことが起きます
- 接着剤や液体ガスケットに空洞(すき間)ができる
空洞(すき間)ができる理由は2つあります。
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接着剤や液体ガスケットの量が足りなくて空洞ができてしまう
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空気が入ったり、抜けなかったりして密着せずに空洞になってしまう
これって知らない人が多いのですが、空洞があれば接着力や密閉力は低下するし、一見接着良好で漏れがないと言っても経年劣化で早期に剥がれてきたり、漏れてくることあるのです。
高い接着力と漏れない液体ガスケットの施工方法
接着剤や液体ガスケットに空洞ができないようにするためには塗り方がポイントになります。
指で広げて塗ると漏れやすくなります
ノズルを使って高く盛ると空洞ができにくいです
こんな風に指で塗ったり広げたりしていませんか?これが接着力の低下、漏れの原因かもしれませんよ
空洞ができない塗り方はコレ
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ノズルを使って、広げずに高く盛る
- 指で塗ったり、指で広げたり、ヘラで薄く延ばして塗らない
たったこれだけです、簡単ですよね。ノズルを使って盛って貼り合わせると全体に行き渡って密着するので空洞ができにくくなるんです。
逆に、指で塗ったり、指で広げたり、ヘラで薄く延ばして塗ってしまうと、実は空洞ができてしまう確率が高くて接着力が低下したり、液体が漏れやすくなってしまいます。
参考 貼り合わせの注意ポイント
接着剤や液体ガスケットを貼り合わせるときの注意ポイントは塗り方だけではないので紹介しておきます。
注意ポイント1:ねじ固定で貼り合わせる時について(下記の記事を参考)
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部品やフランジのボルトを締める順番【歪みと漏れの関係性】
続きを見る
注意ポイント2:貼り付け力について
貼り付けるときの力は、力を加えたら硬化する前に力を弱くしない方が良いです。貼り合わせの力の強弱は空洞ができる原因になります。なので、貼り合わせて力を加えたらそのままの状態で硬化させましょう。」
注意ポイント3:接着剤や液体ガスケットの硬化について
例えばドライヤーなどで加熱して硬化(乾燥)させると、いくら気を使っても部品に温度差が生じて温度が高いところと低いところが発生します。温度差は見た目では分からないレベルの部品の変形の原因で、接着剤や液体ガスケットに空洞ができやすくなってしまいます。なので、加熱したときに部品全体の温度を均一にできない場合は「自然硬化」「自然乾燥」が無難でおすすめです。
塗り方の実践
おすすめの塗り方と空洞ができる塗り方
接着剤や液体ガスケットのおすすめの塗り方は「ノズルを使って、広げずに高く盛る」方法で、ダメな塗り方は「指で塗ったり、指で広げたり、ヘラで薄く延ばして塗る」方法です。
その違いを実際に検証してみたので下記の写真をご覧ください。
「ノズルで塗る」と「指で広げて塗る」の違い
「ノズルで塗る」と「指で広げて塗る」を比べてみました。
板を軽く貼り合わせるとこんな感じです
板を強く貼り合わせてみるとこんな感じです。
ヘラで薄く均一に塗る
接着剤に付属しているヘラで薄く均一に広げて塗ってみました。
板を強く貼り合わせるとこんな感じです。
この結果いかがでしょうか?
指で塗ったり、指で広げたり、ヘラで薄く延ばして塗ると気泡や空洞ができやすいのが確認できたと思います。
つまり、綺麗に密着させるポイントは「山を押しつぶして均等に広げる」ってことなので、これができない塗り方はお勧めできないのです。
ノズルの形状を山型にして高く盛る方法
接着剤や液体ガスケットをノズルを使って塗る方法のポイントを紹介します。
ノズルを使って塗るポイントはコレ
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均一な量を高く盛る
と言っても実際にやってみると分かりますが、ノズルの先端を切って塗るだけでは均一な量を塗ることが難しいし、手元が安定しないので自分が塗りたい部分を的確に塗るが難しかったりします。
もちろん、何度も繰返し経験するれば感覚で覚えるので上手に塗ることはできると思いますが、やっぱり簡単ではないのです。
そこで私がおすすめしたい方法があります。
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ノズルの先端を山型にカットして使用する
ノズルを山型にしてみる
このように山型にすると、ノズル先端の谷の部分が材料に当たるのでノズルの固定が出来て安定するし、塗る量も山型になり高く均一にできます。
実際にやってみましたので下記の写真をご覧ください。
先端の形状の違い
ノズルをただ切っただけと山型にカットしたのを比べてみました。
断面はこんな感じです
この違いは、見た目よりも実際にやってみるとよく理解できます。上手く塗れない人は試す価値あります。
塗る面積が大きい場合
接着剤で部品を貼り付ける場合に、貼り付け面積が大きいとついつい接着剤を指で広げたりヘラで薄く延ばしたくなりますが、その方法では空気が抜けなかったり空洞ができるのでお勧めできません。
ここまでの説明にあるように、「ノズルを使って、広げずに高く盛る」ことを意識して「川の字」で塗ったり、英数字の「X」に塗ったりする方法が良いでしょう。
そしてこんな塗り方もアリです
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部分的に山盛りに塗る
部分的に山盛りに塗る
いくつかの山を作って塗る
板を貼り合わせるとこんな感じです。
どうでしょうか?
このような塗り方でもきれいに広がって、気泡も空洞もできずに貼り合わせることが出来ます。面積が大きい場合にはいろいろと塗り方を試してみると面白いです。
接着材と液体ガスケットの塗り方のポイントまとめ
それでは、接着材と液体ガスケットの塗り方について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 接着材や液体ガスケットは気泡や空洞ができると剥がれやすくて漏れやすくなる
- 塗るポイントは「ノズルを使って、広げずに高く盛る」ことで、「指で塗ったり、指で広げたり、ヘラで薄く延ばす」はやらない方が良い
- ノズルの先端は山型にカットすると安定して均一に塗ることが出来る
以上3つのポイントです。参考にしてください。
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関連記事:【潤滑油/グリス/ケミカル 】
以上です。