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【空気圧/油圧】

油圧ホースは伸縮し摩耗する【固定方法と摩耗対策を考える】

2020年7月6日

 

今回は「油圧ホースの固定方法と摩耗対策」のまとめ記事です。

油圧ホースは「加圧すると収縮する」特性があり、それにより固定方法と摩耗対策を考慮する必要があります。今回はそんなお話です。

 

油圧ホースは伸縮し摩耗する

油圧ホースとは

油圧ホースとはゴム製や樹脂製の管で、油圧機器へ作動油を送る専用のホースです。

油圧ホースは油圧の特性上、高圧に耐えうる強度が必要なため補強にもさまざまな種類があります。

また、「適用流体」や作業性にかかわる「曲げ半径」「使用圧力」などにより材質ににも違いがあります。

 

出典:ブリヂストン ハイドロリックホースカタログ

ハイドロリックホースカタログ

 

 

油圧ホースの固定注意点

油圧ホースはエアーチューブや電線と同様に、「何かに固定」して使用するのが一般的です。

 

固定する理由には、

  • 見栄え・・・「束ねる」「整列させる」とすっきりして綺麗
  • 保護・・・干渉や挟まれ、こすれによる損傷を防ぐ

などが挙げられます。非常に大切なことですね。

 

ただ、ここで注意したいことがあります。

それは、油圧ホースの固定は、エアーチューブや電線とは違い特有の注意点があると言うことです。

 

特有の注意点はコレです

  • 油圧ホースは加圧すると伸縮する

 

「ホースが収縮する」ため、固定方法は収縮を考慮しなければならず、エアーチューブや電線のように闇雲に固定しては破損する可能性があるのです。

 

出典:ブリヂストン ハイドロリックホースカタログ

ハイドロリックホースカタログ

 

上記の引用資料に記載がありますが、まとめますと、、

  • ホースの曲がり部分を固定しない
  • 長さに余裕を持たせて、急激に曲げない
  • 加圧時に4%の伸縮を生じるので、十分なゆるみが必要

油圧ホースはこの条件を考慮して、固定する必要があると言うことなのです。

 

油圧ホースの摩耗

油圧ホースは前述で解説したように、「加圧によるホースの収縮」特性があります。

そのため固定方法は考慮が必要なのですが、実はそれだけでは物足りません。

 

それは、、、、

  • いくら固定方法を考慮してもホースの「干渉」が避けられない場合が多い

と言うことなのです。

 

収縮を考えると、ホースの固定箇所は少なる傾向です。固定が少なくなれば固定されていないホースが何かに干渉するリスクは高くなるのです。

だからと言って、ホースの固定箇所を多くすることはできない、、、、

 

そこで干渉を前提として摩耗対策を講じておくのが最善ではないかと思うのです。

 

油圧ホースの固定方法と摩耗対策

油圧ホースの「固定注意点」と「摩耗」について解説してきましたが、では次にそれらを考慮した「固定方法」と「摩耗対策」について考えてみたいと思います。

 

固定方法

私がおすすめする油圧ホースの固定方法はコレです

  • 「マルチクランプ」を使用する方法

 

マルチクランプは「ミスミ」や「日本発条株式会社」からラインナップされている、配管の固定金具です。

 

この固定金具の最大の特徴は「ゴムブッシュ」でホースを保護しつつ、固定することにあり、油圧ホースの「伸縮の吸収」と「伸縮による擦れ」に対応できる固定金具です。

 

マルチクランプ

油圧ホースのマルチクランプ

 

もし、油圧ホースの接続先が長距離を移動する場合には、ケーブルベアやケーブルハンガー(滑車によるスライド)などを併用すると良いと思います。

 

摩耗対策

油圧ホースの摩耗対策はいくつかの方法があります。

  • スプリング・・・注文時にスプリング付きのホースを購入する必要がある
  • スパイラルチューブ・・・状況により任意の場所に巻きるけることができる

 

スプリング付きのホースは強固な保護ですが、スプリングが邪魔でうまく固定できなこともあるので注意が必要です。よほど摩耗する部分(摩耗が予測される部分)に適応するが良いと思います。

出典:ブリヂストン ハイドロリックホースカタログ

ハイドロリックホースカタログ

 

 

通常のスプリングなしのホースを選定する場合はスパイラルチューブの巻き付けで十分だと思います。もし、それでは物足りない場合にはゴムやウレタンをホースに巻き付ける方法も良いと思います。

スパイラルチューブ

スパイラルチューブ

 

固定方法と摩耗対策まとめ

固定方法と摩耗対策をまとめますと、

  • 固定方法は「マルチクランプ」
  • 摩耗対策は「スプリング」または「スパイラルチューブ」

 

そして、メーカーカタログにあるように下記の注意項目を守ること

  • ホースの曲がり部分を固定しない
  • 長さに余裕を持たせて、急激に曲げない
  • 加圧時に4%の伸縮を生じるので、十分なゆるみが必要

 

このポイントが理解できて実施できれば、施工後のドラブルはまず起きないでしょう。

 

余談 油圧ホースの損傷事例

私は過去に油圧ホースが破損し、作動油が大量に流失した経験があります。

当時はそれほど油圧に関して注意してはおらず、保護に関しては手薄でした。

 

損傷したホースは俗に言う「ゾロ配管」でした。つまり、床に固定なしで何となく這わせてあるだけです。

その油圧ホースの一部が「加圧による伸縮」によって金属部品と干渉し摩耗が進行、新品から約半年でホースが破れて作動油が流出しました。

 

反省点は、前述で解説しているように、ホースの伸縮を考慮した「固定方法」と「摩耗対策」がなされていなかったことにあります。

 

まとめ

今回は油圧ホースの固定方法と摩耗対策についてまとめてみました。「油圧ホースは伸縮する」と覚えておけば、固定方法も摩耗対策も考慮した施工ができることと思います。参考にしてください。

 

 

*油圧ホースの購入はこちらから

 

*スパイラルチューブの購入はこちらから

 

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以上です。

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