今回は「作動油の漏れと油圧の継手【テーパーに油を塗ってかじらない】」についての記事です。
油圧機器を扱っていると、必ずと言っていいほど油漏れに直面するものです。油はエアーと違い漏れると厄介で、このようなトラブルが起きないために組み立てるとき注意しておきたいことがあります。それは、継手の接続です。
今回の記事では、私が実際に行っている油圧継手の接続方法を紹介しようと思います。
記事の目次
作動油の漏れと油圧の継手
油圧を動力とする機械装置には油圧機器へ作動油を供給するために油圧配管(ホース)が必要ですが、油圧を取り扱う上で注意しておきたいことがあります。
それは、油の漏れです。エアーの場合は多少の漏れは大きな問題になることはありませんが、油圧の場合は油の漏れは大きな問題となります。
油
油が漏れる原因として多いのが、、、
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油圧ホースの摩耗や干渉 ⇐ 詳しくはクリック
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油圧継手から漏れる
この2点です。
今回の記事では「継手から漏れる」に焦点を絞って話を進めますが、その前にまずは「作動油の漏れ」と「油圧の継手」について説明しておきます。
作動油の漏れによる問題点
油圧は少々厄介な問題があります。それは作動油の漏れです。
作動油が漏れによる問題点
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公害
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火災
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清掃
油が漏れるとこのような問題が起きでしまいます。
このなかでも少量の油でも起きる可能性がある「火災」については十分に注意する必要があります。
油圧の継手
まずは下記の画像をご覧ください。
この油圧の継ぎ手は、鋼管と油圧ホースを接続する部分に使用される油圧継手やホースアダプターと呼ばれる継手です。
機器の近くまでは鋼管で配管し、鋼管から機器までは高圧ホースを使用する事が多いと思いますが、この継手はそう言った部分に使用されています。
油圧用継手
このタイプの継手には下記の特徴があります。
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お互いの接続部分が30°テーパー
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テーパー側のねじはストレート(管用平行ねじ)
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形状はストレート(写真のモノ)、エルボ(90°)、45°がある
上記の特徴によって下記のメリットがあります。
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脱着が容易で、ねじを緩める/締め付けるだけで完結する
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シールテープ、液体シール材の除去/塗布は不要
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角度調整が容易。フリーにネジが回転しますのでどの角度で締付けるかは任意です
油圧継手
油圧継手のテーパーに油を塗ることで漏れを防ぐ
それでは私が行っている「油圧継手から漏れる」ことの対策を紹介します。
漏れの対策
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継手のテーパーに油を塗布する
この継手はねじを締める/緩めるだけで脱着ができるのですが、その時に油を塗布して一手間加えています。
なぜ油を塗るのか?
この継手はテーパーとテーパーが密着する構造です。テーパーはフリーに回転するネジに押し付けられており、テーパーが回転してテーパー同士が擦れ合う(回転)事はありません。
ですが、実際に作業をするとテーパーが接触した状態で回転させてしまう事が良くあります。
そうなると「テーパー面に摩擦で傷が入る」可能性があり、その傷が原因で「作動油の漏れ」が起きるかもしれません。
そう言った事の対策として、私はテーパーに油を塗布しています。
その目的は「滑りを良くして摩擦の均一化」です。つまり面と面を適切に密着させるという事です。
油を塗布する
塗布する油は「実際に使用する作動油」か「タービンオイル」を使用します。塗布する時にねじに油が付着しても問題はありませんので、細かくは気にせずに塗布します。
*ねじに油が付着してねじ山の摩擦が均一化するので、締付けが良くなります
継手の接続手順
それでは油圧継手を接続する手順を紹介します。
手順
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ゴミの付着が無い事
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油は両側のテーパーに塗布
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ホースのクセ/ネジレが無く、自然な形状となるような角度で締付ける
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締付けは、継手の両方にスパナを掛けて締付ける
この4点を守れば、漏れる事はないと思います。私はこのやり方で今まで漏れたことはありません。
接続する
作動油の漏れのポイントまとめ
それでは、作動油の漏れついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 油が漏れると公害、火災、清掃の問題が起きる
- 油は油圧ホースや継手から漏れることが多い
- 継手を取り付ける時には油を塗布する
以上3つのポイントが大切です。
今回紹介した、テーパーに油を塗布する手法は調べても見つける事は出来ませんでした。私が実践しているやり方は絶対に漏れない保証はありません。ですが理にかなった考え方だとは思っています。
参考
*油圧継手の購入はこちらから
関連記事:【空気圧/油圧】
以上です。