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【空気圧/油圧】

メーターイン制御とメータアウト制御の調整方法【シリンダの飛び出し対策】

2019年7月19日

 

今回は「メーターイン制御とメータアウト制御の調整方法/シリンダの飛び出し対策」についての記事です。

エアシリンダのスピードを調整をする時の基本はメーターアウト制御ですが、ロッドの飛び出し現象の対策をする場合にはメーターイン制御とメーターアウト制御を組合わせて使用することになります。

しかし、組合わせて使用するとなると、スピードコントローラーの調整方法がやや複雑になり中々調整ができない作業者もいることでしょう。

そこで今回は、私が実践しているメーターイン、メーターアウト制御の調整方法を紹介しようと思います。

 

メーターイン制御とメータアウト制御の調整方法

メーターイン/メーターアウト制御とは

メーターイン/メーターアウト制御とは、シリンダ(アクチュエータ)の飛び出しを防止する制御方法です。

*この記事ではニードル弁の調整方法について説明します。

 

出典:SMC シリンダカタログ

シリンダの構造イメージ図

 

飛び出し現象が起きる条件は?

飛び出し現象は発生する条件があります。

 

条件の例

  • ①排気側が大気圧や通常動作時よりも圧力が低い時に起きます。

給気側からピストンが排気側へ移動する時に排気側の圧力が低い為、メーターアウト制御で内圧を高める作用が遅れ、給気側の圧力に対抗できない事で、勢い良く排気側へ飛び出してしまう現象です。また、シリンダのストロークが長いと症状が顕著に現れます。

 

  • ②昇降シリンダの下降動作で初動が速くなることがあります。

これはユニットの重量に起因していて、下降に切り替わった時に「ユニットが重力によって落ちる」と「給気側からのエアーで下降する」の2つ力によって、排気側の内圧を高める作用が間に合わず初動の一瞬ですが下降が速くなります。

 

飛び出し現象の実例

飛び出し現象の実例を紹介します。

  • 残圧排気弁でシリンダ内が大気圧になっている
  • 装置の電源投入で1回目の動作のみ飛び出し現象が起きる。(電源OFF時にシリンダの残圧が抜けている)
  • 上下シリンダのユニットが重たい場合に下降する時の初動が速くなる

この様な時には、飛び出し現象が起きます。

 

設定方法

それではメーターアウト/メーターイン制御の設定方法(調整方法)を紹介します。

 

調整方法

  • メーターイン側のニードル弁を全開メーターアウト側のニードル弁を全閉にしておきます。
  • シリンダを動作させながら、シリンダの≪出≫と≪戻り≫両方のメーターアウト側のニードル弁を徐々に≪開≫にしてシリンダの速度を決定します。
  • メーターイン側のニードル弁を徐々に≪閉≫にします。≪閉≫にしていくとメーターアウト側で決定した速度が遅くなるポイントがあります。この、遅くなるポイントからニードル弁を≪開≫にし、決定した速度に戻った位置でニードル弁をロックして設定の完了です。

 

*補足 なぜメーターアウト側から調整するのか?

なぜメーターアウト側から調整するのか?

 

その理由は

  • シリンダ(アクチュエータ)の制御の基本がメーターアウト制御だからです。

 

基本のメーターアウト制御に飛び出し現象の対策として、メーターイン制御を付け加える補助機構ということになります。

*なぜ、メーターアウトが基本か?の説明はこちらの記事をご覧ください

要チェック
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設定が出来ているか?の確認

メーターイン/メーターアウトの設定(調整)が出来ているかの確認方法は、シリンダの残圧を抜きシリンダを動作させることで分かります。

 

確認方法

  • 残圧を抜いた状態で動作させた時に飛び出し現象が起きなければ設定が出来ている

 

もし一瞬飛び出しが起きた場合はメーターイン側の設定を≪閉≫にする必要があります。その場合にはもう一度シリンダを動作させながら設定をやり直しましょう。

 

接続例

メーターイン/メーターアウト制御の接続例を紹介します。

 

接続例① 

シリンダ側にメーターアウトスピコンでインラインスピコンをメーターインとして使用する

 

接続例① 

スピードコントローラー

 

接続例②

シリンダ側に継ぎ手で、メーターアウトスピコンとメーターインスピコン(メーターアウトはシリンダに近い側に入れる)

 

接続例②

継手とスピードコントローラー

 

接続例③

デュアルスピコン1つで制御。

ニードル弁のロックナットの色がシルバーがメーターアウトで黒がメーターインです。

 

接続例③

デュアルスピコン

 

ポイントまとめ

それでは、メーターイン制御とメータアウト制御ついて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • メーターイン/メーターアウト制御とは、シリンダ(アクチュエータ)の飛び出しを防止する制御方法
  • 飛び出し現象は「排気側が大気圧や通常動作時よりも圧力が低い時に起きる」 と 「昇降シリンダの下降動作で初動が速くなることがある」
  • 飛び出し現象の対策が出来ているか?の確認方法は「残圧を抜いた状態で動作させた時に飛び出し現象が起きなければ設定が出来ている」

 

以上3つのポイントです。

*機械設計者のメモブログさんの記事も参考になります。 ⇒ 「スピコンのメータアウトとメータインの違いと使い分け【保存版】」

 

*スピードコントローラーの購入はこちらから

 

 

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以上です。

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